深田萌絵氏の藤井一良氏に対する背乗りスパイ疑惑事件にWiLLはどう関わったか

2020-06-25

目次

はじめに

2019年6月11日にWiLLがYoutubeで公開した動画『橋下徹さん、いかがでしょう?これが日本国籍乗っ取りの証拠です!』の内容に対して、「重大な人権侵害の疑いが強い」という意見がある。本稿は「動画内容のどういった点が問題なのか」、「WiLLはどういった認識の下に動画を公開したのか」について、2019年6月から7月のTwitter上の情報を中心に整理し、考察するものである。したがって、本稿の目的が、この事件の真相を明らかにしたり、司法に代わって一方の当事者を断罪したりすることではないということをここで’前置きしておく。


追記 2020年8月、藤井一良氏の大叔母にあたる方の投書が毎日新聞に掲載された。参考情報として本稿末の関連リンクに追加する。また2021年6月、衆議院内閣委員会において足立康史議員が中国残留邦人について政府に質疑を行った。質疑と答弁の要点を《2-4. 中国残留邦人に係る制度についての国会での質疑と答弁》として挿入する。(2021-06-31)

登場人物・組織

深田萌絵(本名:浅田麻衣子)
Revatron代表取締役社長
『月刊WiLL』で執筆、同社運営の『WiLL増刊号』、『萌えちゃんねる』に出演

后健慈/Jason Ho Revatron CTO(技術長)台湾系米国人
※ 当初深田氏はブログ等で「マイケル・コー」、「王源慈」と呼んでいた。
Revatron: Jason Ho 代表プロフィール

白川司
WiLL増刊号編集長

ワック株式会社
『月刊WiLL』などを発行する出版社。深田氏と白川氏の書籍も出版する。

藤井一良
株式会社Alpha-IT System代表取締役

1. 基礎的な情報

1-1. 藤井一良氏の略歴

木星3@tetsulovebird
深田萌絵にスパイ扱いされた人の略歴

「私こと藤井一良は中国残留邦人三世であり、正式な手続きを経た上で、家族と共に幼少期に日本に帰化しております。 中国内陸部で終戦を迎えた私の祖父は、戦後も中国内陸部に残留せざるを得ませんでした。そして、そのまま現地で結婚し、家庭を築きました。
木星3@tetsulovebird
その後、1972年日中国交正常化後に中国に残留日本兵が生存していることが確認され、その後、政府機関等のご支援により祖父の帰国が実現し、次いで私達家族が日本に帰国、帰化したのです。」https://t.co/NAy8XMNEPK
詳しくはリンク先で。
木星3@tetsulovebird
もっとも多くの残留日本兵が発生したのは中国である。(略)戦後には再び内戦状態に戻り国民党側、共産党側に多くの日本人が留用される。中でも医療技術者は重用され、男性医師のほか、女性看護婦も留用されていた

日本に戻らなかった残留日本兵1万人の実態! https://t.co/YmqL23j3ZJ
ぎよみどん-hinyata@hinatanococo
年代、地域、事情も様々で中国国民党・共産党どちらにも捕虜になって戦後「留用」で残留した日本兵が多数いた。数年で帰還出来た人もいれば数十年掛かって国交正常化後になった人、結局帰国しなかった人、洗脳施された人・・
「神の医師」この人は生涯帰国しなかった例。

Nathan(ねーさん)@Nathankirinoha
旧日本兵で湖南省の名医であり、残留邦人一時帰国事業でも日本国に認定され、TVドキュメンタリーになるほどの大人物であった藤井治さんの名誉すら傷つける深田萌絵(本名:浅田麻衣子) / “深田萌絵が「中国残留邦人・孤児」の定義を捏造し、藤井治・一良らの名誉を毀損…” https://t.co/Huh2AWvIJI

1-2. 深田萌絵氏の主張

深田萌絵氏の主張は大きく分けて2つ。

・藤井一良氏が「背乗り」している
・藤井一良氏がスパイ行為をしている
深田萌絵@Fukadamoe
【背乗り発見ブログ】

何故、ファーウェイを告発し、
どうやって、背乗りスパイを発見したのか。

その経緯を明らかにしたブログです。
無料で読めます。

私が「出生地の記載」に拘る理由がここにあります。https://t.co/DjCshG9E7A
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
これは背乗りスパイと戦った一匹狼のITビジネスアナリストの話である。

たとえば、この女。

スパイを嫌い、企業の嘘を嫌い、日本政府の甘さを嫌い、専門家の知識と持ち前のど根性だけが彼女の武器だ。

またの名を、深田萌絵。 https://t.co/Bd6f1w4pjo
以下に主張の一部を紹介しておくが、いずれも立証されておらず、藤井氏はこれを「誹謗中傷」としてブログやSNSで被害を訴えている。

・戸籍は偽物であり、山口県防府市の区役所(原文ママ)に勤める吉井氏が工作に加担している
・深田氏の会社のソースコードをネット上で公開する嫌がらせを行った
・深田氏の会社のソースコードを持ち逃げし、1000万円の精算をしていない
・深田氏の会社を倒産させる計画をしていた
・ファーウェイのスパイ
・中国台湾のダブルスパイ
・人民解放軍に技術を流している
・何度も裁判官を利用して日本人の財産を奪ってきた
・日本人の無知を嘲笑って印象操作してる
・中国解放軍ネット部隊として活躍している
・米軍向けの核ミサイル転用技術を詐取し、父が従事する解放軍ミサイル開発部門に持ち込んだ
・テロリストグループを率いてニュークリアフュエルジャパンを狙っている
・日本撲滅運動の為の裏工作をしている
・ハッキングして深田氏のブログを勝手に消している
・安全部から日本に送り込まれて『日本に来た中国人の言論統制』係
・南京虐殺の復讐という洗脳に突き動かされている
・「日本人に復讐する為に、レバトロンのソースコードを利用して画像センサーによるミサイル開発をやろう」と深田氏の会社のCTOに持ちかけた
・詐欺サイト運営者を雇って誹謗中傷に勤しんでる
・科学技術振興機構のサーバーを開放軍基地に置いた
・父親が中国のマスタースパイ
・父親が核燃料施設を狙ったテロを計画している
・父親が人民解放軍宇宙軍でICBMの開発をしている
・父親がFBIに働きかけて深田氏に対する税務監査を行わせた
・実母は鄧小平の娘である劉玉華
・妻は多くの人のSNSを監視している実行部隊の一人
藤井一良@fujikazu7
自動キャプチャされた画像の整理が終わりました。名指しで誹謗中傷箇所が記載された部分だけを抜粋しても500ページ以上はありました。深田萌絵さん、本当に本当にたくさん書きましたね。印刷するのが大変だな。

藤井一良@fujikazu7
WiLL、コピーするのも大変だなー。

2. 「国籍乗っ取りの証拠」を見つけたか

2-1. 「中国残留邦人」と「中国残留孤児」の混同

藤井一良@fujikazu7
藤井一良本人です。
藤井一良の出生に関する特集番組の動画を公開したので、もしよろしかったらご覧ください。

藤井一良の出生「学徒出陣50年」蘇る"わだつみ"-戦後なき学徒兵の秘話-
前半https://t.co/Jah7TUznpD

後半https://t.co/Lg0lSV1FHb
拓建代表清算人@endmoto
「生前の祖父治の何よりも強い願いは、家族全員の日本への帰国でした。」中国残留を余儀なくされ、戦争の災禍に翻弄され続けても尚、子供らに祖国日本の地に足をつけ生活を営むよう願った、藤井氏の祖父を愚弄する事は許されないと私は思います。
深田萌絵@Fukadamoe
そのストーリーはウソです。彼は中国残留孤児ではありません。
深田萌絵@Fukadamoe
そして、藤井の中国残留孤児主張がウソの理由。
残留孤児が認められているのは旧満州だけです。

その細かい説明もブログに書いています。https://t.co/hmY72ZxNMy
深田氏は「藤井氏が自身を中国残留孤児だと主張しているが、中国残留孤児は旧満州に限られている」と主張しているが、藤井氏は自身が「中国残留孤児」(終戦後に身寄りがなく中国人の養子になった孤児)であるとは主張していない。藤井氏は自身を「中国残留邦人三世」だと説明している。(なお、深田氏は「中国残留孤児」は旧満州に限られていると説明しているが、これも実際の定義とは異なる)
深田萌絵@Fukadamoe
そして、藤井が来日した平成六年ですが、
中国残留孤児リスト平成6年のリストがハッキングされて削除されています。

前日にチェックした時に、彼の名前はリストにありませんでした。https://t.co/twUI02oePC
深田氏がどのような理由から「ハッキングによってリストが削除された」と考えたのかは不明だが、そもそも藤井氏は中国残留孤児ではないのだからリストにその名前が無いのは当然と言える。

2-2. 死亡婚姻があったか

深田萌絵@Fukadamoe
山口県防府市の役所は中国からの偽戸籍作成を幇助し、役人は「書類が揃っているから、なりすましだとしても構わない」と回答した。

日本のIT産業が中国に盗まれている | 深田 萌絵 |本 | 通販 | Amazon https://t.co/24h8euAqni
深田萌絵@Fukadamoe
山口県防府市は中国大使館からの要請で、死後婚姻を認め、40歳の生粋の中国人に『日本戸籍』を与えました。https://t.co/kHE5uhud4K
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
防府市は航空自衛隊があるところ。市役所公認で背乗りまがいとは、すごいことやっているね。https://t.co/Sl9NDe2bOt
木星3@tetsulovebird
「死後、中国大使館が日本の区役所に書類を送り、日本の区役所が死後婚姻を認め、40歳中国人男性が突然「日本人」となった。

・死後婚姻など絶対に認められない。 ・外国人が日本人と結婚しても、国籍は元のままで、日本人の身分事項欄に記載されるのみ。
木星3@tetsulovebird
日本人と外国人が結婚する時、日本人が誰かの戸籍に入っている時は単独戸籍が新たに作られる。
「日本の区役所が死後婚姻を認め」ということは、故人の死亡届は出されているわけで、誰かの戸籍に入っている時は既に「除籍」、単独戸籍の場合はその戸籍は「閉鎖」され、故人と外国人の婚姻は有り得ない
みっきぃ@miki1969max
役所に実際聞いてみました。

:死後婚姻をしようとしてもそもそも死亡届けが受理されてる時点で審査にはねられる。
:仮に中国の働きかけがあったとしても日本の役所が応じること自体あり得ない。
・いつ、誰が、どこで、何を、どのように不正が行われたか。
当然挙証責任は訴えた側。

念の為。
木星3@tetsulovebird
一つ可能性があるとすれば、スパイ扱いされた藤井氏の自己の経歴説明のように、彼の祖父が中国残留日本兵で、現地で結婚し、その子が日本政府の帰還事業の対象だった場合でしょう。
Nathan(ねーさん)@Nathankirinoha
日本での婚姻が認められないと、その子孫が「無戸籍者」になったり、幼い子供で「親の居ない独身世帯」とかになってしまいますからね。

残留邦人一般の話だと緩く認定してる事が問題であるケースがあるようですが、藤井一家の場合は治さんが元日本兵なので、最も身分がハッキリしてるケース。
木星3@tetsulovebird
戦後も外国の戦地から帰還せず、消息不明のまま何年も、何十年もたって、特別失踪により死亡宣告、戸籍が除籍、封鎖後、生きていたことが確認されると、失踪宣告の取り消しにより、家裁の許可により戸籍も訂正。
木星3@tetsulovebird
これを書いたときは、昭和28年施行の「未帰還者に関する特別措置法」を考慮に入れていませんでした。

未帰還者(もとの陸海軍に属していたがまだ復員していない者)への民法第30条による死亡宣告とその取り消しの請求は、留守家族の意向を尊重した上で厚生大臣もできた。https://t.co/9K57XNUjjk
木星3@tetsulovebird
もし、戦後も生きていたが、消息が分かった時には死亡しておれば、民法第32条の異時死亡になり、これも家裁の許可により戸籍も訂正。さらに結婚していたことが確認されれば、これも戸籍に反映させるために訂正が行われるということだろう。これが「死後婚姻」と誤解されているケース。
みっきぃ@miki1969max
単純に適正に帰化しただけの話ですよね。
わざわざ「死後婚姻」というややこしいことをする必要もないでしょう。

もし働きかけがあったのなら役所だけで対応できず、日本の政治家が動かない限りありえない話です。

確実に深田氏のストーリーには無理があります。
木星3@tetsulovebird
政治家というより、外務省、法務省が関わった海外残留邦人帰還事業における特別措置でしょう。現地での外国人妻との婚姻を日本側の戸籍に反映させ、その子供に日本国籍を与える措置であったとおもわれます。日本側の要請で、中国当局が婚姻関係を証明する公文書を大使館経由で提出したのでしょう。
木星3@tetsulovebird
その事業の対象になった時点で、中国残留兵自身が死亡していたために、法務省の裁量で死後に中国人妻を配偶者として故人の戸籍の身分事項欄に記載後、子供は、死亡して閉鎖になった父の戸籍に入れずに、父が日本人のため日本国籍が認められる子供の単独戸籍が作られた。
木星3@tetsulovebird
「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律」という法律の第12条によって、新たに戸籍を作るなど、戸籍に関する手続を円滑に行うことができるようにするため、必要な便宜を供与することになっているので、例外的措置も行われたはず。
ぎよみどん-hinyata@hinatanococo
藤井さん一家の場合は全て、これに当てはまるのでないかと。
つまり「帰化・日本国籍取得」ではなく出生届によって(元からあったはずの)戸籍が戻る=就籍ということ。

2-3. 戸籍の出生地記載で「背乗り」を発見したか

深田萌絵@Fukadamoe
ファーウェイのスパイが中国で死んだ日本人の戸籍を乗っ取った背乗りだと発見できたのは、出生地まで分かる戸籍制度のおかげです。

死後、中国大使館が日本の区役所に書類を送り、日本の区役所が死後婚姻を認め、40歳中国人男性が突然「日本人」となった。
つぶやきの自由@noahopayoku
それ実例なんですか?
死後婚姻って認められるの?
橋下徹@hashimoto_lo
しかしWILLもレベルが低いな。これが事実なら、偽装結婚による戸籍の不正取得の典型例で、出生地に関係なく、死亡者との偽装結婚という事実だけで不正は立証できる。検察に告発すればいいだけ。事件にならなければ、この若いお姉ちゃんの単なる勘違い。https://t.co/TLjV77WKH0
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
橋下徹氏、深田萌絵さんにきっちり反論されて、「若いお姉ちゃん」と「WiLLはだいじょうぶか」を連呼して支離滅裂。戸籍に出身地がなければ、そもそも偽装結婚自体が見破れないよ。
木星3@tetsulovebird
深田氏が偽装結婚を見抜いたと称するプロセスだと、出生地は何の役にも立たず、全て戸籍の身分事項欄に記載される情報が手掛かり。そもそも、死後婚姻など認められず、背乗り扱いされた藤井氏自身が公表した経歴通り、祖父が中国残留日本兵で、帰還事業による特例措置でなければ有り得ない事。
橋下徹@hashimoto_lo
戸籍問題)出生地と国籍と本籍地を正確に理解すること。すべて別物。父または母が日本国籍の子供は日本国籍。出生地は関係ない。本籍地は、戸籍を管理する役所の所在地。どこを本籍地にするのも自由。千代田区千代田1-1にしてもいい。出生地不記載について、日本人のルーツがー!と叫ぶ者は不勉強。
橋下徹@hashimoto_lo
戸籍の不正取得を暴くのに、国籍要件で血統主義を採っている日本においては、出生地は手掛かりにはならない。深田氏が散々主張していることは支離滅裂で、藤井さんの祖父が日本国籍保持者かどうか。これは出生地は関係なく確認できる。WILLは国籍と出生地を混同している?それなら超基本的ミス。
足立康史@adachiyasushi
出生地の問題についても法務省と議論しましたが、南北アメリカ大陸を中心に出生地主義をとっている国々があるため出生地を公証できるようにしているが、逆に言えば、それだけのこと。出生届の記載事項のうち、出生地を戸籍に転載し体重(笑)を転載しない理由はない。当然、背乗りとは何の関係もない。

Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
こちらはその方が該当するかどうかは関知しません。したがって、橋下さんの先走った説明に何の効力もありません。
ホナサルミチ🌈@hona_jp
そもそも、背乗りとはその戸籍の人になりきる事だから、戸籍に出生地の記載が有る無しは全く関係ない話。
深田の詭弁に惑わされたらダメですよ。
ちくわ🌻@millennium1002
本当に背乗りを撲滅するにはマイナンバーに生体認証・血液型等の情報を紐付けるしかない。今の仕組みだと背乗りしようと思ったら身寄りや交友関係の少ない本人○して中身入れ替わったらもう完全犯罪。出生地なんて背乗りにはなんの意味もない。あとわざわざ戸籍に情報を記録する背乗りとかさらにイミフ
本来的な意味での「背乗り」とは次のようなものである。
「書類は合法で、その書類に記載のある日本人として振る舞うこと」を意味します。

言い換えれば、「書類の不法な改変なしに本人と入れ替わること」が背乗りです。

本人の書類を手に入れることで「合法的に」本人として存在するということです。

ただ、身内が居ると容姿が異なることから直ぐにバレるので、身寄りの無い者や社会的な付き合いが無い者を対象に行われるということです。

通常のなりすましと異なってわざわざ「背乗り」という名称がついてるのは、こうした特殊な事態を言い表すためでしょう。

─ 事実を整える - 背乗りとはどういう意味か?

2-4. 中国残留邦人に係る制度についての国会での質疑と答弁

この事件に関して、2021年6月4日、足立康史衆議院議員が「一人の日本人として、国のために戦った中国残留邦人と家族の名誉を守るため」として《第204回国会 衆議院 内閣委員会 第30号》において中国残留邦人に係る制度ついて質疑を行った。以下に質疑と答弁の要点を整理する。

1)中国残留邦人は満州に限るのか?
⇒ 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律において、中国残留邦人には満州以外の地域も含まれる。【厚労省】

2)中国残留孤児名鑑には身元が判明している方も掲載されているのか?
⇒ 掲載されていない。【厚労省】

3)中国残留邦人には中国国籍の旅券で帰国された方もいるのか?
⇒ 中国籍をお持ちの方は中国旅券により帰国するなど、ご本人の国籍の状況に応じ帰国されているものと承知している。【厚労省】

4)配偶者の死後に婚姻届と子の出生届を受理するのは有り得るか?
⇒ 日本人と外国人との間で外国の方式により婚姻が成立した、要件等を満たしてその婚姻が日本でも効力を有する場合、その日本人が亡くなられた後に他方の配偶者の方が報告的な婚姻届を日本に届けることはあり得る。
⇒ そのお子さんが日本国籍を有している場合、3ヶ月が経過した後であっても出生届を受理することとされており、父親が死亡したというだけで不受理になることはない。【法務省】

こうして深田氏がWiLLで行ってきた主張は日本政府から公式に否定され、中国残留邦人に係る制度ついての正確な情報が国会議事録に記録されることになった。これに対して深田氏は「内閣質疑で足立康史が深田萌絵を名指しで侮辱した」「背乗りに操られている足立w」「足立と厚生労働省の背乗り隠蔽工作」とSNSで足立議員と政府を批判している。

なお、足立議員が事前にTwitterで公開していた質問要旨には「深田萌絵氏が中国残留邦人を背乗り呼ばわりし、国のために戦った日本人の名誉を貶めている」という記述があるが、当日の質疑では深田氏は名指しされておらず、「WiLLとかに出ているある女性のユーチューバーか何か分かりませんけども」、「WiLL関係者」などと表現されている。

3. WiLLの問題点

2019年6月11日、WiLLはYoutubeで『橋下徹さん、いかがでしょう?これが日本国籍乗っ取りの証拠です!』という動画を公開した。動画のなかで深田氏は「ファーウェイの背乗りスパイ」である「F井K良」とその父親である「F井T夫」がどのように日本で戸籍を不正取得したかということを説明している。なお、前節で見たようにその「証拠」は深田氏の誤解だったようだ。
橋下徹@hashimoto_lo
この藤井氏のことを、深田氏とWILLという雑誌は戸籍の不正取得者、背のりと断じた。WILLは第三者調査委員会を立ち上げ事実調査をし、深田氏と藤井氏にしかるべき対応をとるべきだ。重大な人権違反行為の疑いが強い。

https://t.co/TLjV77WKH0
橋下徹@hashimoto_lo
人権違反→人権侵害
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
余計なことかもしれませんが、動画は匿名なのに、実名をバラすって、流石にやりすぎでしょう。

まさか打ち合わせ済みではないですよね?
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
(深田萌絵さんの投稿)

橋下さん、藤井君の話を、この回でしてないですよ!!
私は単に呉思国という人の話をしてるだけですよ。

藤井一良さんは、呉思国だと、ご自身が認めていらっしゃるんですか? それとも藤井一良さんの弁護士引き受けたのでしょうか?
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
しかも、今回の話はとりあえずその藤井さんとは関係ない話だとか。
ゴンドウ@redpanderEn
”この回” とはhttps://t.co/Tvi0tp2ONT ですよね?

では、このF井K良氏とはどなたのことか?

Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
お答えできません。
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
個人名を挙げたのは橋下さんですから、もし責任問題を論じるなら、橋下さんの責任も出てきますね。
橋下徹@hashimoto_lo
個人名のところは、法的に問題はない。藤井氏が実名を出して反論ブログを出しているので。WILLと深田氏が、藤井氏の反論ブログ以上の身分情報を公にしたこと、虚偽の情報を流したこと、藤井氏の氏名そのものを公にしなくても全体の話しから深田氏の周辺で個人を特定できる表現をしたことが責任の対象

3-1. 「F井K良」の匿名性

WiLL側の主張は、動画では「F井K良」と名前を伏せているので匿名性が確保できており、「F井K良」の身分情報を無断で公開し、「F井K良」を「ファーウェイの背乗りスパイ」と断定しても問題はない、ということらしい。

だが、この動画が公開される半年前、WiLL編集部は深田氏のブログ記事を「ファーウェイ問題の本質を見抜いている深田さんの記事」、「必読もの」と紹介している。その記事では藤井氏とその父・健夫氏の姓名どころか、顔写真、生年月日などといった情報が伏せられていないそのままの戸籍が無断で公開されており、「なりすまし」、「ファーウェイの工作員」などと書かれている。

なお、問題のWiLL編集部のツイートは本稿を執筆している2020年6月現在でも確認できるが、深田氏のブログ記事へのリンクが貼られているため、ツイートのスクリーンショット画像を提示する。



以下はWiLL編集部が「必読もの」と紹介した深田氏のブログ記事の記述だが、出典URLについてはページにリンクを貼ると藤井氏と藤井氏の父親の顔写真付きの身分事項証明書が表示されるため、そういった箇所を伏せたページのキャプチャー画像にリンクを貼っておく。
下記、私がファーウェイの工作員に会社を潰されたきっかけですが、日本政府発行のオフィシャル偽日本戸籍です。

中国で死んだ『藤井治』という人の戸籍を、呉也凡が息子に成りすまして日本の区役所に中国領事館から書類を送り付けて日本戸籍取得。

さらに息子の呉思国に戸籍を取らせて、呉思国はファーウェイの工作員として日本人のフリをしながら工作活動にあたっています。

藤井一良 (呉の戸籍写真と、藤井の写真と、登記簿の写真)

法務局に問い合わせたけど、
「別に偽物でも手続きが正しければかまいません」
だって!!

これが、この国の実態です!!

─ 深田萌絵 本人公式★ノンポリブログ(2018年12月12日)
深田氏がブログやSNSで藤井氏の名前や身分情報を公開して同様の主張を行ったのはこの一度きりではない。藤井氏は深田氏のブログで自身の戸籍謄本が無断で公開されたことについて、2016年時点ですでに被害を訴えている。それにも関わらず、2018年、WiLL編集部は深田氏のそういった行いを諌めるどころか、深田氏が藤井氏の身分情報を拡散するのに加担している。

つまり、WiLLの視聴読者や深田氏の周辺では、動画で「ファーウェイの背乗りスパイ」と断じられている「F井K良」やその父である「F井T夫」が誰のことを指しているかは容易に特定できるようになっており、全くと言っていいほど匿名性が確保されていなかったことになる。

3-2. 裁判のために取得した戸籍情報の取り扱い

橋下徹@hashimoto_lo
橋下徹氏弁護士照会制度で取得した戸籍を「不正取得」と主張 (207) https://t.co/v7nzWK9hrR
WILLは、護士法23条照会で取得した他人の戸籍情報を、WILLネット番組であのように情報公開してもいいと思っているのか?弁護士に確認しなさい。裁判での人定目的までだ。WILLは即刻廃刊すべき。
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
番組内で言及しているにもかかわらず、橋下さんは不正取得ではないかとツイートなさいました。なぜそのような姑息な情報誘導をなさるのでしょうか。間違った認識から廃刊を叫ぶ飛躍っぷりには呆れるしかありません。
橋下徹@hashimoto_lo
WILLの番組での深田氏の話を聞けば、本当に裁判目的で他人の戸籍を取得したのかの疑いが濃厚になったから。深田氏が弁護士を通じて他人の戸籍を取得できたのは裁判を起こすための相手方特定(人定)のため。それ以外に利用してはいけないことは厳格に定められている。弁護士がやれば一発で懲戒処分。
実際、深田氏はその後出版されたWiLLの2019年08月号で「戸籍を取り寄せる目的で訴訟を起こした」ととれるようなことを書いている。以下、こちらのサイトから該当する記述を引用する。
WiLL (ウィル) 2019年 08月号 雑誌 /ワック
萌絵チャンネル大炎上!私の言い分 40ページ

もしかして、X氏が「中国名A」であり、父親が「中国名B」なのか。中国で訴訟を起こせば、X氏とX氏の父親の中国戸籍を取り寄せることができる。そこで筆者は中国での訴訟を決意し、弁護士に「中国名A」「中国名B」の戸籍謄本を入手するよう依頼した。その戸籍謄本にはX氏と同じ生年月日、同じ顔の人物の写真が貼られ、日本名はなく「中国名A」という名前で登録、民族欄には「汉(漢)族」、出生地には中国のある省が記されていた。
なお、深田氏はブログで「私が公開しているのは呉思国氏の戸籍であって、藤井一良君の戸籍ではない」と主張。再び藤井氏の戸籍情報を公開し、「橋下徹氏が深田萌絵が藤井一良君の戸籍を公開したとデマを流布しています」と反論しているが、藤井氏の戸籍であっても呉氏の戸籍であっても他人の戸籍を無断でネット上で公開するという行為が問題であることは言うまでもない。

3-3. 係争中事案の両論併記

Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
橋下さんは当事者の一方が正しいと決めつけて、深田さんが間違っているとおっしゃっていますが、その点は問題なしと思われているんですか。そもそも実名を出したのは橋下さんですよ。
橋下徹@hashimoto_lo
僕は、深田(WILL)さんの主張と藤井さんの主張を聞いて、藤井さんの方が正しいと感じ、それを述べた。WILLはそのような論じ方をしていますか?そこが大問題。藤井さんの主張を聞けば、深田さんが支離滅裂と感じる者がたくさん出てくるはず。そこは視聴読者の判断。WILLはそれを怠った。
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
TouTubeで発信することに既存メディアのような非対称性はありません。ツイッターと基本構造は同じです。既存メディアでらまともに守っていない両論併記の原則は当てはまりません。
橋下徹@hashimoto_lo
WILLが深田さんの主張に理ありと判断するのは自由。しかし係争中の案件で相手方の藤井さんが理路整然に反論しているのだから、それもきっちりと併記すべき。どちらに理があると判断するかは視聴読者判断。深田氏の主張に理ありとWILLが判断するなら、僕はWILLは低レベルだと判断する。それも自由。
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
深田萌絵さんがブログを更新。
http://fukadamoe.blog.fc2.com/blog-entry-4218.html
藤井君?呉思国君へ (223)
藤井一良@fujikazu7
白川様

深田萌絵さんがブログを更新したことを教えていただき、誠にありがとうございます。
熟読させていただきます。

そして、大変恐縮でお手数ですが、私の下記の記事についても、
コメントをつけてシェアしていただきませんか。

https://twitter.com/fujikazu7/status/1146597773459877888

本当にお願い致します。

3-4. 言論の自由に対する認識

Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
深田萌絵さんが背乗り(戸籍乗っ取り)のリスクを指摘した動画などで、ツイッターのアカウントを凍結されたそうです。言論の自由を尊重できない連中がうごめいています。https://t.co/nbVkmWkQkb
動画公開後、深田氏のTwitterのアカウントが「凍結」されたという。いつから「凍結」されたのか、詳細な日付は分からないが、白川編集長は動画公開の翌日にはそのことをTwitterで伝えている。深田氏もFacebookで「凍結に追い込まれた」と書いている。実際は「凍結」ではなく「ロック」だったようだが、いずれにせよ深田氏のアカウントがそのような措置を受けた理由については定かではない。

アカウントがロックされたあと、深田氏が自身のブログ「中国人背乗り証拠のツイートが削除されたのでこっちに貼ります」、「画像のコピペ保存拡散にご協力をお願いします」と書いており、「戸籍情報を無断で公開したことが利用規約に違反していると判断され、然るべき措置を受けた」という可能性が考えられるが、推測の域を出ない。

言論の自由が認められているからとはいえ、その言論の内容が名誉毀損や侮辱、プライバシー侵害など、他者の人権を侵害するものであれば人権侵害とみなされ得る。そもそも藤井氏が「背乗りスパイ」だという確たる証拠があるのなら粛々と刑事告訴すればいいのであって、指名手配でもするように戸籍を無断で公開してそれを触れて回ったところでその主張が認められるわけではない。

白川編集長の発言には、そういったことについてどのように線引きをしているのかよく分からないところがあり、それが『動画では「F井K良」と名前を伏せているので匿名性が確保できており、深田氏が裁判目的で得た「F井K良」の身分情報を無断で公開し、「F井K良」を「ファーウェイの背乗りスパイ」と断定しても問題はない』というような判断につながったのではないだろうかと思われる。
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
深田さんをスパイだと断定するツイートです。名誉毀損の可能性があるので通報しました。
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
スパイがいると指摘すると、名誉毀損で指摘したほうが罪を着させられるのが日本の現実のようだ。https://t.co/PIKFoNJoBR

3-5. 責任の所在

Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
インターネット番組のWiLL増刊号は雑誌WiLLとは別媒体です。
白川編集長はFacebookで次のように書いている。
ワックよりWiLL8月号の情報解禁です。
実は雑誌のWiLLとインターネットテレビのWiLL増刊号はまるで関係なく、基本的には深田さんと私が自分で考えたことをしゃべって、本や雑誌の宣伝もかねてゲストも呼んで、みたいなやり方。
(中略)
実はWiLL編集部は戸籍や背乗りに全く関心がなく、深田さんがいくら言っても、取り上げてくれませんでした。
雑誌とネットが関係ないことは私も橋下徹さんに何度も伝えたのですが「このクソ雑誌!」ばっかり。
だから、無関心だった編集部が、関心をもってしまいました。
深田さんが大喜びでござる、の巻。ニンニン。

─ Facebook - Tsukasa Shirakawa(2019年6月20日)
印象として言えば「動画の問題の責任は雑誌WiLLには及ばない」というようなことを言いたいように見えるが、「実はWiLL編集部は戸籍や背乗りに全く関心がなく」という説明は事実に反する。前述のように、WiLL編集部は動画公開の半年前に深田氏の「ファーウェイCFOが持つ七つのパスポートと偽日本戸籍の話」というブログ記事を紹介しており、その記事のなかで藤井氏の戸籍が無断で公開されている。

筆者は雑誌WiLLやワックから出版されている深田氏の書籍について詳しく知らないが、WiLL編集部が動画公開の半年前にすでにこの背乗りスパイ事件に関する深田氏のブログ記事を「必読もの」として紹介していることを考えると、「実は動画公開以前にもワックの出版物のなかで深田氏がこの背乗りスパイ疑惑事件について語ったことがあったのではないだろうか」という疑念が生じる。

そもそも動画WiLLの進行役を務めている山根真、金沢佑奈両氏がそれぞれ雑誌WiLLのデスク、編集部員であることを考えてもそこに明確な部署分けがあるように思えない。WiLLを運営するワックの採用情報を見ると編集部門の業務には「雑誌・単行本の企画立案」、「インタビュー原稿の作成及び完成までの編集業務」のほかに「インターネット番組の制作、編集」も含まれている。

なお、橋下氏は責任の所在について次のような見解を示している。
橋下徹@hashimoto_lo
WILLという看板を付けることと番組の背景にあのロゴを使うことを雑誌WILLが承諾しているなら、それは外観法理によって雑誌WILLの責任となります。そもそも出版社であるWAC出版が承諾しているなら出版社の責任です。貴殿の論は、雑誌WILLとネット番組という部署間での責任の擦り付け合いにすぎません。
WiLL編集部@WiLL_edit
出版局長の真柄です。
弊社運営のインターネットテレビ「萌絵チャンネル」及び「WiLL増刊号」へ、橋下徹氏から、いささか上品とは思えないご意見がヒートアップしております。
6月26日発売の8月号で、初めて紙の雑誌「WiLL」誌面におきまして、この間の事情を明らかにいたします。

4. この事件の論点は何か

Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
深田萌絵さんがブログを更新。

背乗り疑惑はファーウェイスパイ事件から。橋下徹氏の論点ずらしに騙されないで。 (218) https://t.co/0ND2GjPslU
こうしたことについてWiLLと深田氏は謝罪どころか訂正すら行っていないように思うが、深田氏によると論点は戸籍手続きの問題ではなく**「藤井氏が深田氏の経営するRevatronからソースコードを持ち逃げしたか否か」**という民事の事案であるらしい。それが深田氏の「藤井氏が戸籍を不正に取得した」という主張とどのように関係するのかは全くもって定かではないが、いずれにせよ白川編集長がツイートしたブログ記事には次のような記述がある。
弊社のソースコードを「ファーウェイにライセンスしたい」と言ったのは間違いなく藤井一良氏です

マイケルは自分がFBI保護プログラムにあり、ファーウェイは米国でスパイ企業だと認識されているから、ライセンスできないと断りました。

そこで藤井君は「ソースコードちょっと見せて欲しい」と言ってきたのです。
弊社は彼から保証金を預かり、彼はソースコードを持ち逃げしました。


(中略)

その後、私たちは米国歳入庁から監査を受けます。
F35事件で被害者である私たちのマイケルが事件の加害者かのように扱われ、米国歳入庁は「日本にマイケルの隠し口座があると通報者からの証拠がある」として藤井君との裁判資料を持ち出してきました。

通報者の名前には、藤井君だけでなく、ウィンボンドの焦佑鈞、F35事件で技術を盗んだ犯人が、私たちを犯人に仕立て上げて自らの罪を免れようとしている恐ろしい事件に巻き込まれていました。

─ 深田萌絵 公式ノンポリ★ブログ(2019年6月22日)
青の部分、F35事件はおそらく本件とは直接関係するものではないので本稿では取り上げない。筆者が検証情報をまとめたものがあるのでそれを紹介しておく。一読していただければ「FBIの保護プログラムで名前が変わった」という主張などは深田氏自身が提示する資料のなかで齟齬があることが分かるはずだが、WiLLはこの事件についてしっかり裏取りを行っているのだろうか?

緑の部分、「藤井氏がソースコードを持ち逃げした」という主張について、次節で少し詳しく見ていくことにする。

5. RevatronとAlpha-IT Systemの企業間紛争

5-1. Revatronの耐放射線技術

あれは5年前だ。
マイケルとの出会い。
福島原発事故、津波被害が遭ったというのに、日本の技術が遅れている為に高解像度動画はリアルタイムに送れないので事故の様子を知ることすらできないと知った。
更に、事故後の原発内部は高放射線下にあるので、放射線が電子にぶつかれば半導体チップがエラーを起こしてしまう。
そこで思い出したのが、マイケルだ。半導体大手Intelの元社長に紹介された天才エンジニア。彼は、耐放射線チップ設計を開発したので米軍に採用された。
原発事故の後、深田はすぐにマイケルに電話して投資の約束をした。それが全ての始まり。
─ 深田萌絵 本人公式ノン★ポリブログ(2015年11月9日)
※ マイケル=后健慈=RevatronのCTO
2012年、経済産業省が福島第一原子力発電所の廃炉事業のために公募した技術カタログ提案(除染関連・一次公募分)の37ページ38ページに、その天才エンジニアが開発したものと思われるRevatronの耐放射線技術が掲載されている。筆者は技術の世界に詳しくないので、技術内容を見てもどれほど優れた技術なのかよく分からないが、エンジニアの方たちは次のような感想を述べている。
ZF ⚡@ZF_phantom
それにしても…

これがもし物理破壊を意味してるならもう映画の世界ですね。

【耐破壊性】
・全体の 30%程度までが破壊されても通常動作が可能。(※ダイのみ)
・放射線によって穴を開けられても動作可能。(※ダイのみ)
ゴンドウ@redpanderEn
ZFさんも見ていただけるとはありがたいです!

単純な性能面においても、ダイサイズは2mm×2mmで、8k8k(8k4k??)のエンコードまで可能な代物を2012年で用意出来る訳ないですからね。机上スペックでも盛り過ぎです。
ZF ⚡@ZF_phantom
そうですよね。

ここだけ見るとFPGAっぽいので、
《本コンピュータチップは破壊されても自動的に 1 秒 以内で再構築され》

これと併せると、
《画質 8k8k の映像をエンコードすることが可能》

Vatroniのターミネーター的進化版?

PROMその他周辺はどうすんだか知りませんけど。
ゴンドウ@redpanderEn
ちょうどいま、ターミネーターのT-800のWikipedia見てましたwそんなチップあったなぁと。
これは「実在していれば」耐放射線技術という領域で済まない、未来のコンピュータですわ。溶鉱炉に今すぐ投げ入れるレベル。

いくら廃炉が猫の手も借りたい状況だからと言っても、化け猫の手はアカンですね。
こうした感想を聞けば、門外漢の筆者でもRevatronの「耐放射線技術」がいかに画期的な技術であるかということくらいは分かる。確かにそれなら廃炉事業を大いに助けることが期待される。だが、深田氏によるとその「耐放射線技術」は「中国人」によって盗まれてしまったという。そして、その「中国人」というのが藤井氏のことであるらしい。

5-2. 「盗まれた」のはどのような技術のソースコードか

深田萌絵@Fukadamoe
ホントは福島の為に耐放射線技術を持ってきた。それを中国人に盗まれた。なのに、国は知らんぷり。
深田氏のブログによると、旅費だけでも100万円近い費用を費やして中国共産党トップ10幹部の秘書にコンタクトし、中国の諜報機関から情報を得るなどして証拠資料を集め、Revatronから「耐放射線技術」を詐取したとして藤井氏が経営するAlpha-IT Systemを訴えたが、「耐放射線技術には価値が無いから、盗まれても構わない」というような判決が出て、敗訴したという。 ところが、Revatronが敗訴したその2014年の裁判の記録(事件番号:平成26年ワ2779)を見ると、Revatronが「詐取された」と主張していた技術は「暗号化ソフト」「画像圧縮ソフト」のソースコードであり、「耐放射線技術」は係争事案と全く関係が無かったことが分かる。

「暗号化ソフト」のソースコードは、深田氏は「CTOがUSBメモリに入れて藤井氏に渡した」と主張しているが、藤井氏がそれを受領したとする的確な証拠は提出されていない。(藤井氏に渡したというCTO本人の供述も証拠として提出されていなかったようである)

「画像圧縮ソフト」のソースコードについては「RevatronのCTOからFTPサーバーからダウンロードするように教えられてダウンロードしたもの」ということで両者一致しているようだが、「詐取された」という主張は裁判で退けられている。

「耐放射線技術」の話の行方は定かではないが、2018年、国連女性の地位向上委員会でGAHT(歴史の真実を求める世界連合会)が主催したパラレルイベントでは、Revatronが「耐放射線技術」を活かして廃炉事業を助けていること、日本政府機関と航空宇宙技術に関する共同研究を開始したことなどが深田氏によって語られている(スピーチの動画はこちら、有志による日本語訳

5-3. ソースコードの権利者は誰なのか

以前にも書いたのですが、アルファアイティーシステム(ALpha-IT System)株式会社の代表藤井一良の悪質な行為、嫌がらせにより弊社のソースコード(6年前に開発したもの)がネット上で公開されました。

そして、裁判で「ネット上で公開されているソースコードは無償である」と主張しています。
─ 深田萌絵 本人公式★ノンポリブログ(2016年6月10日)
これについて藤井氏は2016年時点ですでに「深田氏の誤解」だとブログで説明している。以下、藤井氏のブログから要点をまとめる。

(1)深田氏は裁判で『藤井氏が「http://iphome.hhi.de/suehring/tml/」というサイトにRevatronのソースコードを無断で公開した』と主張していた。

(2)そのサイトはAlpha-IT Systemの管轄ではなく、アップロード権限を持たない。そのサイトにソースコードをアップロードしたのは「http://iphome.hhi.de/」を運営する「Dolby Laboratories Inc., Fraunhofer-Institute HHI」。

(3)そのサイトのダウンロードリンクは2004年に開設されており、当時Alpha-IT SystemもRevatronもまだ設立されていない。

(4)そのソースコードとは「H.264/AVC reference software」というオープンソースのソースコード(以下OSS)
オープンソース (英: open source) とは、ソースコードを商用、非商用の目的を問わず利用、修正、頒布することを許し、それを利用する個人や団体の努力や利益を遮ることがないソフトウェア開発の手法。
─ Wikipedia - オープンソース
裁判で争われた画像圧縮ソフトのソースコードがOSSだったのであれば、言葉足らずではあるにしても藤井氏の「ネット上で公開されているソースコードは無償である」という主張に特におかしな点はないように思われる。

だが、そうなるとよく分からないのは深田氏の『弊社のソースコードを「ファーウェイにライセンスしたい」と言ったのは間違いなく藤井一良氏です』(2019年6月22日])、『弊社のソースコードは某大手カメラ企業にライセンスし、一製品に利用するごとに「約2000万円」のライセンス料を頂いております』(2019年6月17日)といった発言である。

H.264のライセンスはMPEG LAという団体が管理しているはずだが、Revatronが他社にライセンスして2000万円のライセンス料を請求しているということなのだろうか。「H.264は商用利用にあたってライセンス料の支払いが必要なOSSだが、ライセンス料を支払っている企業のリストにRevatronの名前は確認できない」という指摘もある。

5-4. ソースコードを「持ち逃げ」されたか

事業提携の契約で、一千万円は保証金です。

彼は、預けた弊社のソースコードを持ちにげしてファーウェイに転売をし、「預けた一千万円は実は貸した金だから返せ」と言い出したのです。

藤井氏は「レバトロンのソースコードはまだ持っている」と裁判で証言し、「返却してもいい」と言いましたが、弊社が被った損害金を支払っていないのでまだ返却できていないのです。

─ 深田萌絵 本人公式★ノンポリブログ(2019年6月15日)
RevatronがAlpha-IT Systemに預けたというソースコードが前節で見たようにオープンソースだったのであれば、「ソースコードを転売した」、「それが返却されずに損害が出た」という主張は無理があるように思われる。現実に訴訟で「被告側の債務不履行は無い」と認定されているようであるから、藤井氏に「損害金」を支払う義務は無いはずである。

藤井氏はオープンソースのソースコードを返却していない理由を説明していない。深田氏の「損害金を支払っていないのでまだ返却できいない」という言葉の意味が「損害金を支払わない限り、返却は受け付けない」というものであれば、藤井氏としては返却しようにも返却できないのではないだろうか。

そもそも、業務提携が中止になった場合の設計資産の取り扱いについて、契約書にはどのように書かれていたのだろうか。深田氏のブログ記事にある「預けた一千万円は実は貸した金だから返せ」の記述と併せて次の節で見ていくことにする。

5-5. 事業提携に関する契約書

深田萌絵氏はブログで次のように書いている。
私が藤井君から一千万円を借りたというデマを流している人がいますが、
私と彼の間の借用書を見たことはありますか?

ないと思います。
何故ならば、お金を借りていないからです。

(中略)

まずは係争の中心となっている弊社のソースコード(エンコーダ)の話から。
弊社のソースコードは某大手カメラ企業にライセンスし、一製品に利用するごとに「約2000万円」のライセンス料を頂いております。

そのソースコードを販売したいということで、藤井君とは業務提携に関する契約を提携しました。

─ 深田萌絵 本人公式★ノンポリブログ(2019年6月17日)
このブログ記事ではRevatronとAlpha-IT Systemの業務提携の契約書とされる画像が公開されている。



画像からは「第一条 目的」の項目しか確認できないが、これを見る限り、ソースコードではなくFPGAボードを販売するための業務提携のように思える。契約書の続きには何が書かれているのだろうか。以下、再び2014年の裁判の記録(事件番号:平成26年ワ2779)から引用する。(改行を行ったが、誤字はそのまま)
平成23年12月16日

一条目的 原告と被告会社は、vatroni FPGAボード販売のために密に協力し合う。原告と被告会社は、共同で本件製品のプロモーション、マーケティング、販売などの市場開拓を行う。

二条役割分担 原告は、被告会社の本件製品の技術理解に対するサポーとを行う。被告会社は、本件製品のアプリケーション開発を優先的に行い、原告はそれに際して被告会社のサポートを行う。原告は、被告会社を本件製品のソフトウェア・サービスなどを優先的に行うぱーとなーとする。

三条報酬。原告は、被告会社と本件製品販売によって得られる祖利益を以下のように分配する。祖利益は売値から本件製品の仕入れ代金を引いたものとする。
販売業者 15%
被告会社 25%
原告 60%

四条 保証金 被告会社は、原告とのVatroni FPGAボード教務を開始するにあたり、一千万円の保証金を原告に収める。内金の300万円は平成23年11月29日に受領済みである。
原告は、被告会社から預かった保証金を以下のように分割返済する。
平成24年6月30日 5000000円
平成24年9月30日 2500000円
平成24年12月31日 2500000円


五条 保証金返還に対する罰則 原告は、被告会社への返還が遅滞した場合は、返還時に年利1%の金利を付して返還する。
この契約書に「ソースコードを販売する」といった旨は書かれていない。業務提携が中止になった際の設計資産の取り扱いについても特に書かれていない。つまりこの契約書だけから判断するのであれば、藤井氏にソースコードを返却する義務は無いように思える。

そして、深田氏が公開していなかった部分には保証金の返済期限が書かれている。これについても業務提携が中止になった際の取り扱いは特に書かれていない。つまりこの契約書だけから判断するのであれば、藤井氏が「預けた一千万円を返せ」と主張することにおかしな点は無いように思える。

なお、この契約書について藤井氏は次のように弁明している。
藤井一良@fujikazu7
ザルで詰めが甘い契約書で契約したのは、私が未熟でした。大変耳が痛いです。申し訳ございません。当時は、深田氏から資金繰りが厳しいからお金を貸してくれというのが発端だったので、元旦那様がお世話になったということもあり、契約書の内容をあまり精査せずにサインしました。今は後悔しています。

5-6. 三菱東京UFJ銀行に預金を横領されたか

2014年の裁判の記録(事件番号:平成26年ワ2779)には、2012年に深田氏と藤井氏が保証金の返還方法について話し合いをしたということも書かれている。このとき深田氏は藤井氏に対して分割弁済を求めたが、その後弁済が行われなかったため、Alpha-IT Systemは仮差押えを申し立て、2013年に東京地裁が仮差押命令を出したという。

仮差押命令の債務者に記載されたのが「Revatron株式会社 代表取締役 ジェイソンホー」名義の口座であったことから深田氏は自分は債務者ではないと主張。一審こそは深田氏の訴えが認められたものの、控訴審では三菱東京UFJ銀行が当該口座の預金をすでに法務局に供託していたことを理由にRevatronの口座預金債権は消滅したと判断され、逆転敗訴している。(こちらに裁判の経過が整理されている)

2020年6月現在、Wikipediaに深田氏の一審の勝訴の記述がある。
個人投資家の銀行口座を横領
2013年11月1日に三菱東京UFJ銀行の新宿中央支店長が、同銀行にある経済評論家の深田萌絵の口座より全額を引き出した。問い合わせたところ、「口座を差し押さえた」と回答があった。そこで深田は11月27日に損害賠償請求を起こし、勝訴した。
─ Wikipedia - 三菱UFJ銀行
差押えられた理由が書かれておらず、深田氏の個人口座が突然差押えられたかのような書かれ方になっている。また深田氏の訴えが全て認められたかのように見えるが、実際は損害賠償請求は棄却されている。記述の出典を辿っていくと深田氏のブログ記事に行き着くが、すでに削除されていて確認できない。

そして、2017年に敗訴の判決が出たあとも深田氏は「勝訴したのに預金が返還されない」と主張している。一審で勝訴したときにはブログに判決文の画像を掲載していたが、その後は「三菱東京UFJ側が控訴してきた」というような記事はあっても、どのような判決が出たのかを書いた記事は確認できない。
深田萌絵@Fukadamoe
【拡散お願い!】
三菱UFJ銀行に預金を横領され、裁判でも勝訴しましたが、三菱UFJ銀行側は預金を返還してきません。
他でも三菱UFJ銀行に預金を無断凍結された方もいます!
三菱UFJ銀行から預金を移しましょう!!
深田萌絵@Fukadamoe
ファーウェイは三菱UFJ銀行も支配してる。三菱UFJ銀行は、ファーウェイの要望が通り、私の口座から預金を横領し、勝訴した今でも返金してこない。

日本のIT産業が中国に盗まれている | 深田 萌絵 |本 | 通販 | Amazon https://t.co/WhoGretpot

5-7. どうして決着がつかないのか

藤井氏は深田氏に対して次のように呼びかけている。
藤井一良@fujikazu7
深田萌絵(本名:浅田麻衣子)さん、毎年毎年、裁判に関わった裁判官と書記官を全員を漏らさず忌避申立てするのはもう本当に本当にやめてください!
法を冒涜しています。
忌避申立制度はあなたのような裁判を引き伸ばす作戦に使われるものではありません!!!
本当にやめてください!!!
藤井一良@fujikazu7
深田萌絵(本名:浅田麻衣子)さん、そんなに逃げ回ってないで、正々堂々と戦いましょうよ!!!!
私は早く法に則って結論を出したいだけです。
いろいろな媒体で様々な情報発信をしている時間がございましたら、
なんとか裁判に出ていただけないでしょうか。数時間で済みます。
お待ちしております。
藤井一良@fujikazu7
どうして、7年も逃げ続けているのでしょうか。

こちらは、公正に正々堂々と法に則って結論を出したいだけです。

お互いの時間の無駄だから、もう逃げないでください。

裁判所もうあなたに対して呆れています。
なお、2019年11月の裁判を傍聴された方のツイートがこちらにまとめられているが、深田氏はまだ反論の見出ししかできておらず、その理由として「7月にFからブログで報復宣言をされて以来、私は半年もの間ストーキングにあっています!警察にもお願いしています。怖くて裁判の準備どころではありませんでした!」といったようなことを裁判官に伝えたという。

5-8. WiLLはこの企業間紛争をどう捉えていたか

WiLL編集部のアカウントに寄せられた問い合わせに対して白川編集長は次のように回答している。
いす@chairtochair
深田萌絵さん=浅田麻衣子さんの1000万円の借金はどうなったんでしょうか?https://t.co/7ZBrEwsWAU
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
デマです。深田萌絵さんはお金は借りてません。深田さんの会社の製品を預ける対価として藤井一良氏から保証金として1000万円を預かりましたが、藤井氏がその製品を持ち逃げしたまま返していません。現在、藤井氏は持ち逃げを認めましたが、返却=損害金の支払いをしてないのです。
いす@chairtochair
「深田萌絵さんが経営するrevatron株主会社が技術を盗まれたとアルファITシステムを訴えていた事件で東京地裁は平成28年1月27日、請求棄却
事件番号は平成26年ワ2779号」https://t.co/Kh9VYi1sEU
敗訴してるようですが
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
敗訴とは関係なく、藤井氏が証人尋問で「返す」と明言した記録があります。したがって、あなたのツイートは間違っているので、削除をお勧めします。
いす@chairtochair
商品とはソースコードの事ですか?
ジェイソン・ホーという送付した人物はどうなっているのですか?
随分前の2012年9月に1000万円の返済のやり取りが深田=浅田氏と藤井氏の間であるのと、どう整合性が付くのでしょうか?



2020年6月現在、この質問に対するWiLL側の回答は確認できない。

また白川編集長はFacebookで次のようにも書いている。(そのまま出典URLにリンクを貼ると藤井氏の顔写真付きの身分事項証明書が表示されるため、問題の箇所を伏せたページのキャプチャー画像にリンクを貼っておく)
深田萌絵さんのスパイ事件の説明について、ある方から「複雑でわからないので、おまえがシンプルに説明せよ」と依頼があった。

(中略)

深田さんの主張は実はシンプルで、藤井父が2つのパスポートをとれるなら、藤井一良さんも2つのパスポートをもっているはず、それはおかしいということ。

─ Facebook - Tsukasa Shirakawa(2019年7月6日)
中国残留邦人の戸籍手続の特殊性に対して何らかの問題意識を持つにしても、帰還事業関連の法令に基づいて正常に手続が行われていたのであれば「藤井氏が戸籍を不正に取得した」という主張は事実に反するものであるといえる。日本政府が帰化あるいは就籍を認めたことで戸籍を取得したという事実は厳然とあるのだから、それがおかしいというなら法務省の手続きの問題を具体的に指摘して国を相手に訴えるべきである。

そもそも「パスポートを2つ持っていること」と深田氏の「藤井氏がRevatronに対してスパイ行為を行った」などの一連の主張はどのように整合性が付くのだろうか。

6. 挙証責任

Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
橋下弁護士がデタラメだと考える根拠をご教示ください。また、橋下弁護士は深田萌絵さんの主張する当事者の「スパイ活動」の訴えも「デタラメ」だと主張なさっているんでしょうか。

二点、ご回答をよろしくお願いいたします。
木星3@tetsulovebird
人をつかまえて、背乗りだスパイだと言っている方に挙証責任があるのであって、「~でない」ことを証明する義務などないのですよ。魔女裁判じゃあるまいし。
告発状が受理されて起訴されれば、検察に挙証責任があるが、深田は相手にもされていない。
【挙証責任】
訴訟上、裁判所は、ある事実の存否について証拠から判断できない場合、その事実は存在しないと仮定するが、それによって受ける一方の当事者の不利益。例えば、金を貸したということが証明できない場合、金は貸していないとされて訴訟は進行する。刑事訴訟では検察官が、民事訴訟では原告が原則として挙証責任を負う。立証責任。証明責任。
コトバンク - 大辞林 第三版の解説

まとめにかえて

WiLLが藤井氏を一方的に「背乗りスパイ」として取り上げた『橋下徹さん、いかがでしょう?これが日本国籍乗っ取りの証拠です!』は公開から1年が過ぎた2020年6月現在もYoutubeで公開されている。すでに94万回以上視聴され、2.2万以上の高評価が付いている。どれだけの人が「深田氏が背乗りスパイの証拠を見つけた」と信じているのだろうか。

深田氏からブログやSNS上で戸籍を無断で公開されたり、「背乗りスパイ」と「誹謗」されたりしていることについて、藤井氏はブログで2016年時点ですでに被害を訴えていた。WiLL編集部は深田氏のそうした行いを少なくとも2018年にはすでに知っており、深田氏のブログ記事を「必読もの」と紹介するなど、藤井氏の戸籍情報を拡散させる深田氏の行いに加担していた。

そして、「F井K良であれば十分に匿名性を確保できる」という客観性を欠いた認識から、裁判目的で入手した藤井氏の身分情報を無断で取り上げ、「背乗りスパイ」と断定する動画を公開した。責任問題がWiLL編集部に波及する可能性が示唆されると「元々WiLL編集部は戸籍や背乗りに全く関心がなかった」という説明がされたが、そこに言葉の重みは感じない。
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
個人名を挙げたのは橋下さんですから、もし責任問題を論じるなら、橋下さんの責任も出てきますね。
WiLLが本当に「事件当事者の人権に配慮して匿名性を十分に確保していた」と信ずるのであれば、橋下氏に実名を「暴かれた」時点でまず動画の公開を中止する対処が当然取られるように思う。深田氏が誤解していた部分を訂正し、また法務省への問い合わせで明らかになった事実などの新情報を加えた上で、新たに動画を撮り直し、その上で橋下氏に対して損害賠償請求の訴えを起こせばいい。

だが、WiLLは「確保していた」と信じていた匿名性が保てなくなった今もなお動画を公開している。白川司編集長は公開から半年後の2020年2月にもTwitterで再び「中国人による日本国籍乗っ取りの実態について深田萌絵さんが解説」と動画を紹介している。「出生地記載から背乗りを見つけた」という主張が反証されてもなお公開を続けることに何か意味があるのだろうか。

他人の身分情報を無断で公開し、確たる証拠もないまま「背乗りスパイ」と断じることを「表現の自由」と信じているように思われることからも、結局のところWiLLは最初から「事件当事者の人権に配慮している」というポーズをとっていただけだったのではないだろうかという疑念を持たざるを得ない。

橋下氏はWiLLが動画で「国籍乗っ取りを戸籍の出生地記載で発見した」と事実と異なる主張を大々的に行ったことについて、氏の持論である出生地戸籍記載不要論を意識したものと受け止め、「悪質」と断じている。WiLLは何を目的にそのようなことを行ったのだろうか。
【援軍お願いします!】
いま、ツイッターで橋下徹氏とそのフォロワーから誹謗中傷を受けてます。彼らは私のツイッターアカウントを凍結に追い込み、一方的にデマを流してます。 白川さんが反論してくれてましたが、既に体力の限界です。
皆さん一日に1ツイートでもいいので、橋下徹氏のツイッターで反論するために私のブログやFBコメントを貼ってください。
このままでは、新潮45のように廃刊にまで追い込まれるかもです。
維新からの嫌がらせにから言論の自由を守る為に手を貸してください! ─ Facebook - Moe Fukada(2019年6月17日)
深田氏は「維新から嫌がらせを受けている」と認識しているようで、他にも「維新のツイッター兵からガンガン攻撃を受けている」「橋下氏がフォロワーを煽って、罵倒、脅迫させて回ってる」、さらには「橋下氏がツイッター兵を雇って自身に賞賛のコメントを書かせている」と取れるような内容の発言さえしている。

また、WiLL編集部は次号の宣伝告知ツイートのなかで「橋下徹氏から、いささか上品とは思えないご意見がヒートアップしております」と橋下氏から意見があったことを前面に出している。(なお、橋下氏は「法違反によって他者を著しく傷付けた者に対して、違法にならないギリギリの範囲で品悪く批判しているだけ」と説明している。

筆者はWiLLが維新や橋下氏に対して日頃どういったスタンスをとっているのか詳しくは知らないが、後にWiLL編集部は別件で「維新はナチス」という政治批判を行っているようなので、印象として言えば両者の政治イデオロギーは大きく対立しているように感じる。動画もそうしたいわば反維新の視聴読者に向けて作られたのだろう。

おそらくはこういったことが、この背乗りスパイ疑惑事件が「深田氏と橋下氏(およびそれを支持する匿名軍団)による戸籍論争)」という構図で捉えられてしまうことの一因になっているのだろうと想像できるが、結局その構図というのはWiLLが話題作りのために、反維新の読視聴者のために、あるいはこの事件の本当の当事者である藤井氏の姿を見えなくするために作り上げた虚像のように思う。

背乗りスパイ疑惑事件をめぐって深田氏と橋下氏の間に何か論争があったかと言えば、WiLLがこれまで一度も取り上げてこなかった藤井氏の主張が橋下氏のツイートを通じてより公になり、深田氏の「藤井氏が残留孤児と主張している」、「防府市が死亡婚姻に加担した」、「藤井治氏と呉健華氏は別人物である」などの考えが誤解であることが明らかになっただけに過ぎない。

仮に深田氏と橋下氏の間に出生地戸籍記載不要論をめぐって「論争」というほどの論議が起きていたのだとしても、それは深田氏の「藤井氏が背乗りを行った。戸籍の不正取得を行った」という主張を裏付けるものにも否定するものにもなっていない。
Yes!叉吉@10fYes
もうこれ2コマで完結やん。


WiLLは前述の宣伝告知ツイートのなかで『6月26日発売の8月号で、初めて紙の雑誌「WiLL」誌面におきまして、この間の事情を明らかにいたします』と伝えていた。だが、結局はこの背乗りスパイ疑惑事件についてWiLLが誌面で何かを明らかにすることはなく、単に「萌絵チャンネル大炎上!私の言い分」という深田氏の自己弁護を掲載しただけだったようである。

深田氏が「持ち逃げされた」と主張するソースコードは結局どのような技術なのか?誰が開発したのか?契約書上の取り扱いや裁判の判決はどうなっているのか?三菱東京UFJ銀行は本当に深田氏の口座から横領したのか?藤井氏は「深田氏が裁判から7年間逃げ続けている」と言っているが、真相はどうなのか?耐放射線技術の話はどこへいったのか?背景にあるというF-35をめぐる事件は信じるに値するものなのか?

WiLLは何か1つでも明らかにしたのだろうか?

これから明らかにするのだろうか?

ここまでの印象で言えば、WiLLはこの係争中の背乗りスパイ疑惑事件に実はそれほど関心が無く、事件の当事者のことを「政敵を攻撃して見せるショービジネス」のための材料のようにしか見ていないのではないかとすら思える。今後WiLLがそうした印象を払拭するような企業判断を行うことを期待して、本稿の筆をおくことにする。

おわりに

深田萌絵@Fukadamoe
台湾は武漢ウイルスの株を昨年12月時点で取得して、新薬開発まで始めている。一月半ばに習近平の許可を得て武漢に調査団も派遣してる。
実情を知っていて当然なのに、情報を隠蔽して国際社会でアドバンテージを取るような真似は非人道的だ。
2020年4月上旬、深田萌絵氏が台湾の新型コロナウイルス対応について事実と異なる発言をしたことがSNSの台日交流コミュニティなどで小さな話題になった。深田氏の発言を遡ると台湾の大臣を「中国のスパイ」と誹謗するものもあった。さらに遡ると「台湾メディアが学校の給食に麻薬が入っていて400万人が薬物中毒と報じている」という明らかなデマや、道教を「カルト宗教」と呼んで侮辱する発言もあった。

やがて台湾のYoutuberが深田氏の防疫に関する誤情報を批判すると、台湾の2、3のメディアがこれを取り上げた。深田氏がどのような人物であるかを紹介するなかで、日本のネット民が「深田氏は藤井氏に対して1000万円の債務があり、藤井氏をスパイとして非難することで得た金でそれを返済しようとしている」と深田氏を批判していることが紹介された。

これについて白川編集長は深田氏が発信した情報の正誤にはふれず、「相手は『中国出身の日本人』のはずなのに、なぜか台湾のマスコミが批判するという不思議な構図]」とコメントしていたが、実際は台湾メディアは「深田氏は日本のネット民からそのように批判されている人物であるらしい」と紹介しただけだった。白川編集長がどうしてそのようなことを言ったのか、今なら分かるような気がする。
深田萌絵@Fukadamoe
そうですよ。
中国スパイを批判したら、台湾のネット言論兵が飛び出してきて私を批判してます。
台湾の言論兵と中国五毛党が連携している証拠です。
Tsukasa Shirakawa(白川司)@lingualandjp
深田萌絵さんが台湾の暗部(中国共産党とのつながり)を指摘し始めたら、台湾人の一部が大バッシングを始めた。台湾もやっぱり怖い国だ。https://t.co/edRkrROtdu
やがて『WiLL』2020年6月号に「台湾 紅いユーチューバーからのエゲツナイ攻撃」という記事が掲載された。記事のなかで深田氏は多くの抗議者から誤情報の指摘を受けたことには触れず、一部の抗議者が品悪く批判したことを取り上げて「私がデマを流しているという偏向報道がされている」と主張。台湾の防疫について誤情報を塗り重ねているようだった。

幸い、記事が出た頃にはすでに台湾のSNSで深田氏のことは話題に上らなくなっていたように思う。第一報は「日本のベストセラー作家の発言」と伝えていたが、日本の方たちに聞いても「誰?」と返ってくる。結局それも誤った情報だったのかもしれない。そもそも誤りを指摘しても訂正しないのだから抗議しても仕方がない。おそらくそうしてほとぼりは冷めていき、「茶番劇」は幕を閉じた。

今後台湾で再び話題に上ることはなさそうではあるが、WiLLは日本でそれなりに名の通った雑誌のようではあるから、深田氏が台湾で発生したと主張するF-35にまつわる事件(JSF事件)がどのようなものなのか、その事件から繋がっているらしいこの背乗りスパイ疑惑事件がどのようなものなのか、WiLLがそういった事件にどのように関わっているのか、整理して書き残しておくことにした。

なお、証人も証拠も隠滅されていて深田氏とRevatronのCTOである后健慈氏だけが全てを知っているらしいJSF事件については、本論中でも書いたように箸にも棒にもかからないようなものであることが分かっているが、こちらは「人殺し」とまで言われている方がいるようなので、今後もしかしたら中国語に翻訳したものを公開するかもしれない。再び話題に上ることがあるとしたらそのときだろうか。

最後に、台湾のために声をあげてくださっている日本の方たちに感謝すると共に、この拙い論考を最後まで読まれた方が事実に対して公平であること、そして事件の真相が明らかになることを願っている。
 

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