WAC・深田萌絵事件サマリー(2) - JSF事件・IRS事件・パナソニック軍事レーダー技術流出疑惑騒動

2021-01-16

目次

【第1編】
はじめに
登場人物・組織
1. ファーウェイ工作被害疑惑事件(1)
2. シャープ買収騒動
3. JSF事件へ

【第2編】
【第3編】
9. 小括
10. 秘密結社と台湾民政府
11. 新型コロナウイルス騒動
12. 新刊レビュー荒らし被害疑惑騒動
13. 外務副大臣脅迫被害疑惑騒動
14. Twitterアカウント凍結騒動
まとめにかえて
おわりに

4. JSF事件

Revatron株式会社のCTO后健慈氏が同社の代表取締役・深田萌絵氏に語ったところによると、后健慈氏はかつて台湾で電子機器関連の企業を経営していた頃(1998年から2005年の間と見られる)に米軍の次世代戦闘機F-35のフライトコントローラー/ディスプレイシステムの開発に携わっていたが、その設計を秘密結社に奪われ、FBIの被害者保護プログラムを受けて米国に亡命したという。

その後、后健慈氏はNASAに技術提供をしていたところ、深田氏と出会った。2人が立ち上げたRevatron株式会社は、后健慈氏の設計する電子機器が民間スペックの100倍から1000倍だったことなどから顧客からの反応も上々で、特許を10個セットで1億円で販売するなどして時価総額10億円までに成長したが、過去の事件の因果から再び秘密結社に狙われることになったという。

前回のサマリーで整理したファーウェイ工作被害疑惑事件、シャープ買収騒動をはじめとする深田事件はすべてその秘密結社との戦いの一部として位置付けられており、后健慈氏が過去に台湾で設計を奪われたというJSF事件はそうした深田事件のいわば「背骨」とも言えるもののようだが、客観証拠に乏しく、また深田氏の発言にもいくつか大きな「揺れ」が見られる。

このサマリーでは大まかな事件像だけを記述する。事件検証の詳細については『JSF事件の虚像と実像』を参考されたい。

4-1. FBIに保護された天才エンジニア

まず、JSF事件の当事者である后健慈氏(英名:Jason Ho)氏の経歴について、Revatron株式会社の公式HPに掲載されていたプロフィールと深田氏のブログの断片情報から簡単に整理する。
1961年、台湾の新竹市に生まれる。両親は南京人で国民党軍に所属していた。3歳より台北市に移る。5歳の頃に知能指数が200あったことから米国の研究所に送られそうになる。6歳で米国人のエンジニアに設計を教えてほしいと請われ、10歳で論文を書く

1981年、交通大学の電気工学科に入学。在学中に立体音響の特許を取得し、日本のTEACから得たライセンス料で1988年にペンシルバニア・ステイト大学の電子工学科修士課程入学。修士論文「コンプレックス・メッシュ・ネットワークにおける最短距離を計算するためのアルゴリズム」はAT&Tなどの大手通信会社にまたたく間に知れ渡った。

1989年から92年まではLSI Logic、Altos Computer、Chips and Technologiesなどでデザインエンジニアとして従事。Texas Instrumentsの役員から30万ドルの投資を受けて独立起業。自社のデザインチームを率いて多くの大手半導体企業に技術ライセンス付与。初の非対称デュアルプロセッサーシステムを発案し、1996年にTexas Instrumentsとライセンス契約。

セキュリティと識別を目的とした固有の遺伝子をプロセッサー・チップに組み込む理念を世界で最初に開発。その理念は幅広く受け入れられ、プロセッサーの識別コードとユニークシードでセキュリティキーを生み出す技術は今ではほとんどのプロセッサーで使われるようになってきている。

また、コンピューターチップのセルラー構造を発案。IBMのスーパーコンピューター「DEEPBLUE」の改革的なセル・プロセッサーとして用いられ語り継がれている。セル・プロセッサーはのちに改良されて東芝およびSONYの製品に用いられている。

2000年の初頭には中国科学院の顧問を務める傍ら新チームを率いてゼロから米軍向けの技術開発を行った。F-35にフライト・コントローラーとディスプレイ・モジュールが採用されたが、台湾で秘密結社に設計を奪われ、FBIの被害者保護プログラムを受けて米国に渡る。当時400以上の特許を保有していたが、米国最大の弁護士事務所にサインを偽装されて失い、20億円近い借金を背負った。
2013年頃のRevatron株式会社の公式サイトでは代表プロフィールとして「ジェイソン・ホー」の経歴が公開されていた。その前年の2012年にも「ジェイソン・ホー」として合同会社SARR主催の事業創出サロンで講演を行ったり、米国特許相談会を開いて特許コンサルティングをしたりしていたようである。

深田氏が本名で運営する「Revatron(レバトロン)浅田麻衣子」ブログ「Revatron(レバトロン)株式会社 浅田麻衣子DBJファイナリスト」ブログ、失踪したらしい同社の副社長が運営していた「Revatron広報blog」などにも「ジェイソン・ホー」について書かれた記事がいくつか残っている。(2020年8月現在)

2013年にAlpha-IT Systemの藤井一良氏が保証金の返還を求めて訴えを起こすと、2014年1月にRevatron株式会社の代表を辞任。やがて公式HPからプロフィールが削除され、それに代わって深田氏が「マイケル・コー」(中国語名は「王源慈」)という仮名でブログなどに登場させるようになった。深田氏がJSF事件をはじめとする一連の事件についてネット上で発言を始めたのもこの頃のようである。

また深田氏は「マイケル・コー」という仮名を用いた上で、さらに「彼の現在の名前は本当の名前ではない。JSF事件のあとにFBIの被害者保護プログラムによって与えられた名前だ」という前置きをつけた。つまり「マイケル・コー」で調べても「現在の名前」だという「ジェイソン・ホー」で調べてもJSF事件以前の天才エンジニアらしき実績を確認できないのはそういった事情のためであるらしかった。

「ジェイソン・ホー」の過去と同様にJSF事件それ自体も多くの謎に包まれていた。深田氏の発言には肝心の「どのように設計を盗まれたのか」という点についてすら「揺れ」が見られたし、事件を受けて台湾政府が「台湾史上最悪の人権侵害だ」とセンセーショナルな発表をしたそうだが、国内外の記録にも人々の記憶にも全くそれらしい出来事が残っていないようだった。

当初、深田氏は「この事件の証人や証拠はすべて隠滅されてしまった」と説明していたが、2019年12月のパナソニック軍事レーダー技術流出疑惑騒動(第7節で整理する)の最中、突然JSF事件の資料を自ら公開し始めた。その真意は定かではないが、公開されたいくつかの資料からJSF事件の解明が進み、結果的にこれまでの深田氏の発言に対する疑念がより深まることになった。

深田氏が公開した資料からは「ジェイソン・ホー」がJSF事件以前から「Jason Ho」という名前であったことをはじめ、「后健慈」という中国語名、当時米国と台湾で経営していた企業の名前、「JSF計画でF-35のチップを開発していた」というのが実は「Articia P」というCPU周辺チップセットを提供する予定だっただけの話であったこと、さらには海外の子会社を使って2億元近くトンネリングしていたと告発されていたことまでもが明らかになった。

では、Revatron株式会社の公式HPに掲載されていた代表プロフィールや「FBIの被害者保護プログラムで名前が変わった」という話はいったい何だったのだろうか。

【参考】
自分の会社のCTOがPS3に搭載されたCPU(Cell/B.E)の開発に関わったと自称する深田萌絵さん

4-2. 后健慈氏 VS. 虹晶科技

まず「JSF計画」(Joint Strike Fighter Program)とは米国の次世代戦闘機開発計画で、共通の基本設計から空軍向け・海軍向け・海兵隊向けの新型機を開発することで開発費を抑えようというもの。2001年にLockheed Martinの試作機が採用され、「F-35」という制式名称が与えられた。(Wikipedia: 統合打撃戦闘機計画

当時、后健慈氏は米国でMai Logic Inc.という従業員17人程度の電子機器開発企業を経営しており、同社で発売予定だったCPU周辺チップセット「Ariticia P」がF-35のフライトコントローラー/ディスプレイシステムの部品の1つとして採用されたことが事件が起こるきっかけになった。



2003年、后健慈氏は台湾に設立した亞圖科技を通して虹晶科技に「Ariticia P」のフォトマスク作成を発注したものと見られる。ところが、何らかの理由で製品ができなかった。虹晶はその原因について「亞圖の技術の問題」との見解を示したが、亞圖は「TSMCでの試産は上手くいった」と主張して譲らなかった。虹晶は亞圖に対して訴訟を起こし、資産差押えの手続きに乗り出した。おそらく請負契約に基づく報酬が正当に支払われなかったことを訴えたのだろうと思われる。

2005年に后健慈氏は台湾を去り、亞圖は2006年に解散した。Mai Logicは2014年まで存続していたようだが、深田氏が「設計も知的財産権も失った」というようなことを語っていることから察するに、F-35に「Articia P」を提供する話は立ち消えになったものと思われる。(ちなみに「Articia P」は2004年5月にスペックに関する記事が出ているが、これまでにカタログ情報しか確認されていない)

2006年、后健慈氏が米国から1億ドルの損害賠償を求めて訴訟を提起したことが台湾の週刊誌『新新聞』によって報じられた。虹晶との企業間紛争について、后健慈氏は記者に「亞圖のチップは米国の次世代戦闘機のチップの技術に関連しており、人民解放軍が高い関心を持っている。華邦電子と虹晶科技は中国の最大手ファウンドリSMICにそれを横流しするつもりなのではないか」といった推察を語ったという。

記事は后健慈氏の推察を無批判に伝えているが、少し考えれば「仮に設計を横流しするつもりなら、企業間紛争など起こさず、友好関係を維持しながら秘密裏に行えばいいのではないだろうか?」、「わざわざF-35の開発遅延を引き起こすようなことをして米国政府の目につきやすくする必要はないのではないだろうか?」といった疑問が浮かぶように思う。

そもそも「Articia P」はあくまで汎用品で、フライトコントローラー/ディスプレイシステムの兵器としての本質にそれほど影響のある核心部品ではない。部品として採用されかけた以上、「米国の次世代戦闘機のチップの技術に関連している」という表現に誤りがあるとは言わないが、誇大な印象は否めない。

記事には「一億美金的科技官司,牽動台美中敏感神經」(1億ドルの科学技術訴訟に台米中が神経を尖らせている)とのセンセーショナルな肩見出しが付いているが、筆者がこれまでに確認している限り、当時JSF事件について報じているのは新新聞のこの《小小商用IC,暗藏軍機》(小さな商用ICに軍事機密が隠されている)という記事だけである。

より正確に言うと、2005年末に虹晶が「短期的な資金需要がないため」として上場廃止を決めたことについて、「海外で上場するのか、SMICから投資を受けるのか」といった憶測が出ていると報じた記事は他にも見つかったが、それが亞圖との企業間紛争と関係していると報じた記事は確認できない。しかも結果的にその憶測は外れて、虹晶は海外で上場することもSMICから投資を受けることもなかった。

4-3. 后健慈氏 VS. 華邦電子

深田萌絵@Fukadamoe
F35の超小型チップのデュアルユース設計を巡っての係争について、裏で糸を引いているのはウィンボンドCEO焦祐鈞だと報道した。

F35チップを盗んだ焦祐鈞が、証人潰しでCTOを訴訟したのだ。

#焦佑鈞
#青幇
#深田萌絵
深田氏はBusiness Journalでも「焦氏は軍事技術に対して強く興味を持っており、F35のフライトコントローラー用チップの技術の取得をめぐって、焦氏が支配する台湾企業を利用して争ったことが、2006年に台湾紙『新新聞』で報道されている」と書いている。なぜここで華邦電子(ウィンボンド)の焦佑鈞氏の名前が出てくるのか。

1998年、台湾で亞圖が設立されてまだ間もない頃、焦佑鈞氏はIBMから后健慈氏を紹介された。元々華邦はMai Logic(の前身であるMentor Arc Inc.)と提携するつもりだったが、后健慈氏から「IC製品の技術発展は重要ではない。現行技術を遥かに上回るシステム・セキュリティ関連の技術をすでに発明してある」と亞圖との提携を求められたという。

1999年、亞圖は資金ショートを起こしたことから新株発行による増資を決定した。目標金額は7,500万元だったが、期間中に達成することができず、さらに株主の買付代金も未決済だった。そこで亞圖は華非建設、華非貿易などから一時的に7,050万元を借り入れ、増資について虚偽登記を行った。《臺灣士林地方法院 105年度訴緝字24號》

1999年に亞圖が増資を行った際、焦佑鈞氏も1,500万元を投資している。后健慈氏によるとこの投資を通じて華邦と亞圖はパートナーシップ提携を結んだが、のちに華邦は「亞圖の技術には問題がある」と表明し、提携は解消になった。さらに焦佑鈞氏は后健慈氏が海外の子会社を使って亞圖から2億元近くトンネリングしていると告発したという。

后健慈氏はこれについて新新聞の記者に「実は焦佑鈞氏はかつて投資銀行の仲介の下で当時世大積體電路の社長だった張汝京氏(のちに中国でSMICを創業する)と共に聯華電子との合併について商談したことがある」と語り、「提携解消とトンネリング告発の裏にもSMICの影があるのではないか」というようなことをほのめかしたようである。

深田氏は后健慈氏のそうした「推察」を元に書かれた新新聞の記事を事件の「証拠」とし、「焦佑鈞氏はかつて后健慈氏からF-35のチップの設計を盗んだ」と主張している。

さらにはJSF事件の約10年前に起きた海軍汚職事件(参考:Wikipedia - ラファイエット事件)を持ち出した上で、焦佑鈞氏をその事件の首謀犯とし、「証人を少なくとも14人は殺した」と殺人の疑いをかけたり、「解放軍の総司令部顧問」、「世界の監視システムを牛耳る秘密結社の首領」などと主張したりすることまでしているが、いずれも客観証拠は提示されていない。

4-4. 后健慈氏の行方

深田氏によると、后健慈氏は台湾のマフィアや中国のスパイにF-35に関連する技術を狙われ、馬英九総統に無実の罪で投獄され、獄中で暗殺されそうになったところを当時立法院長だった王金平氏に救い出され、FBIの保護を受けて米国に亡命し、そのまま姿を消したそうだが、前項で取り上げた新新聞の記事にそういった経緯は一切書かれていない。

記事には「后健慈最後落得遠走美國,祇能尋求美國官方保護」(后健慈氏は最終的に遠く米国まで行く羽目になり、米国政府側に保護を求めるしかなかった)とあるが、米国から反訴を起こしたことを伝える記事であるから、この「保護」は「生命の保護」ではなく差し押さえが進んでいる「資産の保護」を意味しているものと捉えるのが自然だろう。

実際、后健慈氏はその後も2007年に米国で「Teklium Inc.」「Revatron Inc.」の2社を設立し、同年さらに中国江蘇省の「高層次創業創新人才引進計画」(高度創業イノベーション人材招致計画)の交渉中リストにも后健慈氏の名前を確認できる。2008年には日本でRevatron株式会社設立のためのプレマーケティングを始めるなど、途切れること無く精力的に企業活動を展開しているように見える。

ただし、前項で提示した1999年の虚偽登記事件の判決文によると、台湾では2005年8月から指名手配され、最後まで出頭することなく2016年2月に時効を迎えたようであるから、「台湾から姿を消した」という言い方であれば齟齬は少ないのかもしれない。深田氏の発言の真意は定かではない。

なお、行橋市議会議員の小坪慎也氏はかつて深田氏が連れてきた「F-35の技術者」にヒアリングを行い、「マジでFBIの保護プログラムを受けていた」という感想を持ったという。深田氏らから「日本の警察や公安を出し抜く形での身柄の保護、台湾側との折衝、中国に内通した者の調査・告発」などのオファーを受け、それをやり遂げた、というようなことを小坪氏はブログに書いている。

5. ファーウェイ工作被害疑惑事件(2)

秘密結社に狙われて米国に「亡命」したという后健慈氏と深田氏はどのように出会い、どういった経緯からRevatronを設立するに至ったのだろうか。本節ではRevatron株式会社の成り立ちを概観し、前回のサマリーで取り上げていなかったもう1つのファーウェイ工作被害疑惑事件について整理することにする。

5-1. 日本Revatron株式会社

2010年4月、后健慈氏は日本Revatron株式会社を設立する。社名から2007年に米国で設立したRevatron Inc.の日本法人のような印象を受けるが、Revatron Inc.は設立から約1年で解散している。当時どこか別の国でも「Revatron」を経営していたのか、単に所在地として「日本」を付けただけなのかは定かではないが、2011年1月には「Revatron株式会社」に商号変更されている。

なお、前回のサマリーでも少し触れたが、2020年8月現在までに法人番号の異なる「Revatron」が少なくとも4つ設立されている。2010年4月に日本で設立されたこの「Revatron」はこれまでに確認されている日本の「Revatron」のなかで最も早い時期に設立されたもので、本稿では便宜上「初代」と呼ぶことにする。以下の画像はこちらのまとめから拝借した。(登記簿)




2011年6月8日、次の3つの出来事が起きている。

1.「Revatron株式会社」から「Revatech株式会社」へ商号変更
2.「Revatech株式会社」の解散
3.「Revatron株式会社」(「2代目」と呼ぶ)の設立

2代目Revatronでは后健慈氏と深田氏の共同代表制となったようだが、初代Revatronを解散させるに至った理由は定かではない。

2代目Revatronの公式HPの会社沿革にも初代Revatronの設立と解散についての記述は無く、「2008年にプレマーケティングを始め、2011年6月にRevatron株式会社を創立した」というような書かれ方になっている。「日本Revatron株式会社」時代にあたる2010年11月の実績が1件記されているが、代替わりの事情を知らなければ2代目Revatronのプレマーケティング期間中の実績に見えるだろう。

一方、深田氏は2012年4月に自身のブログで「日本レバトロン株式会社とレバトロン株式会社は別法人です」と注意喚起のようなことを行っている。どういった状況から「別法人です」という説明が必要になったのかは定かではないが、前述のように「日本Revatron株式会社」は解散直前までは「Revatron株式会社」として活動しており、その言い回しには語弊があるように思う。

概して言うと「2011年6月8日に后健慈氏と深田氏が共同代表を務めるRevatron株式会社が創立するまで、Revatron株式会社は存在しなかった。日本Revatron株式会社という企業が存在していたが、弊社とは無関係だ。ただし、その企業の実績は弊社のものだ」と言っているように見える。

5-2. Revatron株式会社の設立エピソード

2代目Revatronの設立について、共同代表に就任した深田氏はどのような発言をしているのだろうか。

以下に日本政策投資銀行主催「第1回DBJ女性新ビジネスプランコンペティション」の応募プロフィール、「Revatron(レバトロン)浅田麻衣子」ブログ、「深田萌絵本人公式ノンポリ★ブログ」の記事、経営者のマッチングプラットフォーム「ONLY STORY」および「自動運転ラボ」のインタビュー記事の要約を古いものから順に並べる。



【2012年2-3月/DBJコンペティション】
「バークレイズ・キャピタル証券を経て独立、中小企業の資本提携や民事再生のサポートを行う。2010年、NASAに技術提供をしていたジェイソン・ホーと出会い、日本の赤字企業に資金と技術とパテントポートフォリオを注入し、事業再生を行う提案を受ける。震災後、日本経済立て直しを目指し、レバトロン株式会社の代表となる」
[URL]

【2013年12月/浅田麻衣子ブログ】
「隣に引っ越して来たアメリカ人と突然起業したのが2年前です。直感的にこれは儲かると思って、ジェイソンと組むことにしました」
[URL]

【2014年3月/深田萌絵ブログ】
「3年前からシリコンバレーから引っ越してきた米国人と半導体設計会社を立ち上げました。立ち上げた理由は、その頃は日本ってリーマンショック後で色んな企業が倒産したり倒産寸前だったりして、再生の現場にいたんです。/ そういうジレンマを抱えて仕事をしていましたが、このシリコンバレーから来た技術者と特許弁護士に出会って、技術と特許で日本を再生できるかもしれないなと淡い期待に夢をかけて挑戦してみました」
[[URL]

【2015年11月/深田萌絵ブログ】
「原発事故が多くの人の運命を変えたし、私の運命も変えたのだと思う。/彼が米軍向けに耐放射線チップを設計していたこと、動画をリアルタイムで無線伝送する技術を持っていることを思い出した。/それで、マイケルに連絡した。知り合ってから、半年ほど経ってのことだ。 最初、マイケルに一緒に会社やろうと誘って断られた。当時は国内中堅商社とマイケルはジョイントベンチャーを経営してたからだ。でも、粘った。給料無しで仕事した。/数ヶ月して、マイケルはようやく私と会社を一緒に始めることにした」
[URL]

【2018年4月/ONLY STORY】
東日本大震災による原発事故をきっかけに耐放射線設計による遠隔操作ソリューションやカメラソリューションを作ろうと考え、Revatronを起業した。元々は「コンピュータに詳しい人」を社長に据え、エンジニアを米国から招き、自身は財務に入るという形を考えていたが、社長になる予定だった人物が設立当日に逃げ出したため、自ら社長に就任した。
[URL]

【2018年10月/自動運転ラボ】
金融機関でコンサルなどをしていた頃にインテルの元社長から「Revatron株式会社の前身」のメンバーだった后健慈氏を紹介された。事業が上手く立ち上がらないと相談を受けたが、コンピュータに詳しくなかったので断った。
リーマンショックで金融機関を離職したあと、ファイナンシャル・アドバイザーとして企業再生のプランニングを手掛けていたところ、東日本大震災が発生し、后健慈氏の耐放射線チップ設計技術を思い出した。研究開発に資金が付いていなかった覚えがあり、「このままでは原子炉付近で作業するカメラやロボットの投入が頓挫するかもしれない」と考え、Revatronを引き継いだ。
[URL]


色々と気になる点があるが、4点だけ挙げておく。

(1)これらの発言を見ても初代Revatronを解散するに至った理由がさっぱり分からない。深田氏は后健慈氏から「日本の中小企業を再生させる提案」と「事業が上手く立ち上がらないという相談」を受け、Revatronを引き継ぎ、起業することにしたそうだが、商社とのジョイントベンチャーだったという初代Revatronに深田氏が財務なりコンサルタントとして加わる形でも良かったのではないだろうか。

(2)后健慈氏と出会った時期について、2015年の深田萌絵ブログによると、原発事故の発生後に連絡をしたのが知り合ってから半年後のことであるらしい。2011年3月に連絡したと仮定すると2010年9月頃に知り合ったことになる。DBJコンペティションのプロフィールでも2010年に出会ったと書かれており、一致している。

一方、自動運転ラボのインタビューでは「金融機関でコンサルなどをしていた頃」と語っている。深田氏は2009年11月頃にはバークレイズ・キャピタル証券を退社している。退社後はファイナンシャル・プランナーとして独立したそうであるし、ブログを見ても2010年2月に「某企業監査役に就任」、10月には電子機器メーカーの経営に携わっていると思しき発言があり、2010年9月頃に金融機関に在籍していた様子はうかがえない。

(3)深田氏宅の隣に引っ越してきた后健慈氏を紹介したというインテルの元社長については名前が明かされていないが、元インテル社長の傳田信行氏が2010年6月に日本Revatron株式会社の顧問に就任していたことが傳田アソシエイツの公式サイトから分かる。実績紹介によると「経営指導」を行っていたようだが、ある時期を境に実績紹介から日本Revatron株式会社の名前が消えている。

(4)元々は「日本経済立て直しのため」という抽象的な話だったのが、2015年頃から「耐放射線技術で廃炉事業を後押しするため」とかなり具体性を帯びたものになった印象を受ける。筆者が確認していないだけで実際には設立当初から廃炉事業が最たる動機だったのかもしれないので、これを「変化」として見ることはしないが、深田氏が日本経済立て直しの望みをかけた后健慈氏の耐放射線技術とはいったいどのようなものなのだろうか。

5-3. Revatronの耐放射線技術

2012年2月頃、Revatron株式会社は経済産業省の廃炉事業技術カタログ(除染関連・一次公募)に応募している。

タイトルは「宇宙、飛行、高線量下の環境でも動作する耐破壊性再設定可能コンピュータチップ、及び高解像度映像圧縮・解凍チップ」で、実績の欄には「Joint Strike Fighter(統合攻撃戦闘機)に使用するフライトコントロールコンピューターと、グラフィック/ディスプレイコンピューターエンジンのリアルチップを、技術要求・仕様を全てクリアした上で開発」とある。

后健慈氏とJSF計画の関わりは「CPU周辺チップセットを提供する予定だった」という程度のはずだが、技術カタログでは「破壊されても自動的に 1 秒以内で再構築され、全体の 30%程度までが破壊されても放射線によって穴を開けられても動作可能(ダイのみ)で、さらには画質 8k8k の映像をエンコードすることまで可能」なチップを開発していたかのように書かれている。





后健慈氏がこのSF映画のような技術を米国からどのように持ち出したのか、どうして2000年代にそのような技術を開発していながらその業績が全く知られていないのか、どうして研究開発の資金がついていなかったのか、といったことは定かではないが、本当にRevatronがそのような技術を保有しているのであれば、確かに廃炉事業にとって大きな弾みとなることが期待される。

ところが、深田氏によるとその技術は日本で「中国人」に盗まれてしまったという。2004年に米国で開発した技術をどのように日本で盗まれたのだろうか。知財的な影響が出ていないのであれば廃炉事業への提供にはさほど支障がないのではないだろうか。それともこのような技術がすでに日本を含む世界各国で特許登録されているということなのだろうか。疑念は募るばかりである。

【参考】
深田萌絵(浅田麻衣子)さんが、どうして会社を設立したのか調べてみた。

5-4. 耐放射線技術詐取被害疑惑事件

深田萌絵@Fukadamoe
ホントは福島の為に耐放射線技術を持ってきた。それを中国人に盗まれた。なのに、国は知らんぷり。
深田氏の大学時代の旧友・藤井一良氏の経営するAlpha-IT SystemとRevatronの企業間紛争、およびそこから派生した事件については前回のサマリーで「ファーウェイ工作被害疑惑事件」として整理した。深田氏は設計資産と保証金の取扱いをめぐる訴訟それ自体もファーウェイの工作と見なし、裁判官も警察も政府もそれに加担していると長年主張しているが、2020年8月現在まで立証されていない。

さて、福島の廃炉事業のために起業したという2代目Revatronだったが、肝心の耐放射線技術を「中国人」に盗まれてしまったらしい。深田氏によるとその「中国人」とは藤井氏のことであるという。

これについて深田氏はブログで、2014年に旅費だけでも100万円近い費用を費やして中国共産党トップ10幹部の秘書にコンタクトし、中国の諜報機関から情報を得るなどして証拠資料を集め、Alpha-IT Systemを訴えたが、「耐放射線技術には価値が無いから、盗まれても構わない」というような判決が出て敗訴したと書いている。

ところが、Revatronが敗訴したその裁判の記録《平成26年(ワ)2779》を見ると、Revatron側が「詐取された」と主張していた技術は暗号化ソフトと画像圧縮ソフトのソースコードであり、耐放射線技術は係争事案と全く関係が無かったことが分かる。「耐放射線技術を盗まれた」という話は何だったのだろうか。

これに関連して苦言を呈すると、Revatronには他にも例えば「Inter BEEに新製品を出展する」とプレスリリースが出ていながら出展企業一覧にその名前を確認できなかったり、「NTTドコモの展示で新日鉄住金ソリューションズが弊社の超低遅延映像伝送システムを一部採用した」というプレスリリースが出ていながらいずれの企業からも採用のリリースが確認できなかったり、といった広報の不手際がいくつか指摘されている。

WACから出版されている深田氏の著書『日本のIT産業が中国に盗まれている』、『「5G革命」の真実』などの著者紹介に「現在はコンピューター設計、チップ・ソリューション、AI高速処理設計を国内の大手企業に提供している」といった記述が見られるが、WACはRevatronのそうした実績についてどのように裏取りを行ったのだろうか。

6. IRS事件

2013年、Alpha-IT Systemからの保証金返還の求めに応じなかったRevatron株式会社に対し、東京地裁から仮差押命令が出された。MUFGはそれに基づいてRevatron株式会社の法人口座からおよそ15万円を別保管としたが、深田氏はそれを不服としてMUFGに対して訴訟を提起した上で「MUFGが米軍技術の横流しに加担した」などの主張を行っている。(詳細は前回サマリー参照)

実はそれと同時期に深田氏は「JSF事件を闇に葬るために華邦電子の焦佑鈞氏とAlpha-IT Systemの藤井氏が米国のIRSやFBIと共謀して偽の仮差押命令を出させた」といった主張も行っている。なお、「IRS」(Internal Revenue Service:内国歳入庁)とは日本の国税庁に相当する米国の連邦政府機関である。(以下は深田氏作成のIRS偽仮差押事件MAP



6-1. IRS偽仮差押事件(1)

深田氏のブログからまとめる。

2015年4月、Alpha-IT Systemから保証金の返還を求められて仮差押を受けたRevatron株式会社(2代目)の法人口座が、IRSによって后健慈氏の隠し口座と見なされ、税務調査を受けることになった。領収書原本、会計資料原本、契約書原本、開発資料、銀行通帳原本などを提出するように求められたが、深田氏は「うちは日本の会社だから、関係ないでしょ」と提出を拒否した

6月にはIRSから1日に数十回ほど電話がかかってくる状態で、「提出しないとRevatronが保有する全ての知的財産権、設計情報、特許情報を差し押さえる」と念を押されたが、深田氏は「弊社は日本企業で、代表は日本人、米国居住歴も無い」と主張し、東京地方裁判所で米国政府はじめ、IRS長官や担当エージェントを主権侵害行為および人権侵害行為で提訴し、在日米大使館に内容証明を送った

一方、IRSの調査資料によると、后健慈氏はRevatronに税務調査が入ったという4月時点でIRSのインタビューに応じており、IRSのGroup ManagerであるNick Connors氏に対して「Revatronは米国政府機関と日本政府が共同で立ち上げた企業で、中国か台湾のような敵対政府がこの企業を標的にするかどうかを調べている」、「Revatronの最終顧客は日本の防衛省だ」といったことを語ったという。(「Japanese Military」とあるので’「自衛隊」かもしれない)

IRSから「関係するFBIかその他の機関の人物の名前を提供するように。そこから指揮命令系統を辿って税務調査を中止すべきかどうかを決定する」との判断が示されたことを受け、后健慈氏が雇った代理人Jerold Reiton氏は事実関係を確認するためにFBI捜査官のForst氏に連絡をとった。Forst氏から得た情報をIRSに提供した結果、税務調査は継続することになった。(深田氏はReiton氏が無断でFBIに連絡をとったと主張している

Reiton氏が税務調査を止めるどころか後押しをしているように見えたことから、深田氏らは「Reiton氏は最初からIRSの担当税務調査官Jowei Campbell氏と通じていた。Forst氏はFBIの保護プログラムに基づいて后健慈氏を守るはずであったが、Reiton氏が手を回して止めたのだろう」と考えた。(のちに「自分たちをスパイに仕立て上げるためにIRSに偽情報を流した」、「FBIの捜査情報を中国スパイに売った」とも主張している)

また深田氏はReiton氏が「被害者保護プログラム」「証人保護プログラム」と呼び替えていることに気付いた。后健慈氏によると前者が文字通り「被害者を守るための制度」であるのに対し、後者は「国際裁判や大規模な犯罪組織などが関係している刑事裁判の重要証人を守るための制度」だという。深田氏らはReiton氏が自分たちをIRSに高く売るためにそう呼び替えているのだろうと考えた。

だが、同時に深田氏は1つ不審に思うことがあった。思い起こせば日本で巻き込まれた衛星ハッキング疑惑事件でも被害者保護プログラム下にあるはずの后健慈氏が守られることはなかった。当時、在日米大使館に駐在するFBI捜査官「ジョン・デビッドソン」氏に通報したが、副社長失踪疑惑事件から連絡が取れなくなっていた。

今回も在日米大使館に向かうと「デビッドソン」氏が平然とそこにいた。「IRSから税務調査とは関係のないスパイ情報や防衛省の情報を要求されている」と相談したが、「デビッドソン」氏は持参した資料には見向きもしなかった。中国の公安部から藤井氏の情報を入手したことを伝えた結果、深田氏は中国のスパイとして疑われ、CIAに報告されることになった。(深田氏がどのようにそれを知ったのかは不明)

2016年、深田氏はIRSのRevatronに対する税務調査の手順について情報公開を求めた。開示された資料のなかにIRSが后健慈氏に行ったインタビューの調書を見付け、自分たちがどうしてIRSやFBIからスパイだと疑われていたのかを知った。「この調書は偽造されたものだ。IRSを公文書偽造で告発すれば勝てるが、裁判が長期化するとRevatronのような零細企業では財務体力的に厳しい」、「IRSは裁判を長引かせてRevatronを潰すつもりだろう」と深田氏らは考えた

結果的に裁判は長期化したようで、深田氏は2018年7月に「理不尽な召喚をしないこと」を求めてIRSと裁判で争っているとブログで報告している。また米国の裁判所の判決データベースを見ると2019年2月に裁判スケジュール会議を開く予定であったことが分かるが、后健慈氏は2019年を迎える前に体調を崩し、命を失いかけているそうであるから(本節の第4項で整理する)、もしかしたら裁判スケジュールにも影響が出ているかもしれない。

疑念1. どのような書類の提出を求められたか

深田氏によると、2015年4月にIRSから領収書原本、会計資料原本、契約書原本、**開発資料**、銀行通帳原本などを提出するように求められたそうだが、6月に在日米大使館宛に送ったという内容証明を見ると「弊社の全て帳簿原本、銀行通帳現物、契約書類コピーを提出しなければ弊社の開発者及び弊社に対して罰金を課すとのファックスを頂戴いたしました」とあり、ブログなどに書かれている提出書類との相違が見られる。



2017年11月にも「先日IRSから連絡があり、后健慈氏が以前の会社でLockheed Martin(F-35の主製造社)に提出した開発内容も含むすべての書類を開示せよと迫られた」というようなことを深田氏はブログで書いている。自著などで綴っているJSF事件について証拠資料が求められた可能性は考えられるが、本当に開示の要求があったのか、どのような経緯から開示を要求されるに至ったのかについては定かではない。

疑念2. 代理人とIRSは共謀したか

深田氏は「Jerold Reiton氏は后健慈氏と出会って代理人に就任する2015年5月以前に代理人を自称してIRSと会っていた」と主張している。以下の画像は「Reiton氏が2015年4月20日にIRSに連絡し、同月22日、29日にIRSオフィスへ行く約束した」ことの証拠資料だという。この断片だけ提示されても何の資料なのかすら判別できないが、とりあえず中身を見てみることにする。




まず、4月20日の1つ前の欄に次のようにある。
If not receiving reschedule by 4/22/15, 4/29/15 1 PM appointment is confirmed. If TP do not show up on the appointment on 4/29 1 PM, GM wants RA to start summonsing TP.
《4月22日までに日程変更の連絡がなければ4月29日の午後1時でアポイントメント確定。TPが4月29日に現れなければ、GMはRAがTPの召喚に動き出すことを望む。》

TP: Tax Payer(納税者)
GM: Group Manager=Nick Connors氏?
RA: Revenue Agent(税務調査官)

そして、4月20日の欄には次のようにある。
RA receives fax from POA, Jeroid A. Reiton about his representation for both C Corp and Shareholder(Ho). POA said TP will come into his office this afternoon and he will get back to me, after hearing TP's explanation about his unique situation under FBI witness protection.
《RAはPOA(Power of Attorney: 代理人)のJerold Reiton氏からC-Corpと株主(后)の代理権についてのFAXを受け取った。「TPが今日の午後にオフィスに来るので、TPから証人保護プログラム下にあるという特殊な状況について説明を聞いたあと、折返し私に連絡する」とのこと。》

つまり、この資料から分かるのは、確かにReiton氏は4月20日にIRSの税務調査官にFAXを送っているが、その内容はIRSと22日、29日に会う約束を取り付けるようなものではなく、29日にIRSとアポイントメントがあったのはTP自身だったということである。

疑念3. 「TP」と「TPH」

以下の資料は2015年4月にIRSが后健慈氏に対して行ったインタビューの調書とされるもので、前述のように深田氏はその内容について「后健慈氏が言っていないことが書かれている」としてIRSのNick Connors氏による改ざんを主張している。(画像中の赤い下線は深田氏によるもの)



中身をよく読むと、このインタビューが実は「TP」(Taxpayer)と「TPH」(Taxpayer Husband)の2名に対して行われていることが分かる。后健慈氏に夫がいないのであれば、「TPH」には后健慈氏、「TP」には后健慈氏の妻がそれぞれ当てはまる。仮に后健慈氏が「TP」であれば、もう一方は「TPW」(Taxpayer Wife)になるはずである。

それを念頭に調書の内容を簡単に確認する。

IRSからの「他に外国企業を所有しているのか」という質問に対し、当初TPHは「日本のRevatronの株式を80%所有している」と答えていた。これまでにForm 5471(米国法人および個人による特定外国法人に係る情報申告書)が提出されたことはなく、TPはこのインタビューの前までその要求を知らなかったようだが、TPHは「RevatronのJohn Shieh氏に知らせていた」と主張した。

ところが、インタビューの後半にTPHはその主張を撤回し、「実はこの会社は日本政府の会社だ」と言い始めた。TPもまた「Revatronは米国政府機関と日本政府が共同で立ち上げた企業で、中国か台湾のような敵対政府がこの企業を標的にするかどうかを調べている」、「他の外国諜報機関の標的になることがなかったため、ビジネスは中止になった」、「最終顧客は日本の防衛省だ」と主張している。

気になった点を3つ挙げる。

(1)深田氏はこうしたTPの陳述とTPHの陳述を区別せずに、いずれも后健慈氏の陳述として書かれているかのように説明した上で、「実際には言っていない」と否定している。2020年8月現在までIRS事件以外でも后健慈氏のパートナーの存在に言及したことはなかったように思うが、それは何故なのだろうか。(JSF事件で婚約者を失ったという発言はある)

(2)深田氏のブログなどを読む限りでは、2015年4月に何の前触れもなくIRSの税務調査が始まったようだが、Revatronの株式を80%保有していながらForm 5471が提出されていなかったということが調書に書かれており、深田氏はこれについて否定するようなコメントをしていない。Form 5471の提出を求める通知はもっと早くから届いていたのではないだろうか。

(3)これまで一度もForm 5471が提出されていなかった理由が「Revatronは日米両政府が諜報のために設立した会社だから」でないとするならば、本当の理由は何なのだろうか。

なお、2016年10月、深田氏は弁護士から「IRSが起訴の準備をしているようだ。后健慈氏が15年前に設立したBVI企業C社とD社で数十億ドルの取引があった分の申告が漏れているとIRSから来た書類にある」との連絡を受け、「IRSも起訴するって言いながら、もう二年が過ぎたし、単なる脅しっていう可能性はない?」と返事をしたという。

疑念4. 「TP」は誰を指しているのか

2018年7月、深田氏はIRSとの裁判の進行状況を報告するなかで「判決がよっぽど面白かったらしく、向こうの判例集みたいな雑誌に掲載されてしまった」と書いている

調べてみると「Leagle」という判例情報サイトでも后健慈氏らがIRSからの召喚の無効を求めて争ったらしき4つの裁判が紹介されている。「the Court is not persuaded by conspiracy theories of the type that Maiko Asada levied against the IRS in petitioners' attachments to their reply brief. 」(裁判所は浅田麻衣子氏が彼らの弁駁書に添付したような陰謀論には納得しない)という一文があり、確かに深田氏が関係しているようである。

だが、訴訟当事者を見ると「HSIU-YING HSU v. U.S.」とあり、主たる原告が后健慈氏ではなくHsiu-Ying Hsu氏であることが分かる。両者の関係性については特に書かれていないが、Hsiu-Ying Hsu氏の中国語名は「徐秀瑩」という女性名のようであるし、後述のように長らく后健慈氏と企業経営をしてきた人物のようであるから、IRSの調査記録にあった「TP」「TPH」がそこに当てはまるような気がしないでもない。

カリフォルニア州が提供している企業検索サービスで調べると、1992年創業のMai Logicをはじめ、1997年創業のInguard、2007年創業のRevatronおよびTekliumなど、后健慈氏がCEOを務めたいずれの企業の「Statements of Information」(州内の企業に提出が義務付けられている年次報告申請)にも徐秀瑩氏の名前がある。また台湾の株式情報サイトにも徐秀瑩氏が亞圖科技の董事(≒取締役)を務めていたという情報が残っている。

なお、上で挙げた企業のうち唯一現在も存続しているTekliumの「Statements of Information」(2020年1月提出)を見ると、CEOをASADA MAIKO氏、秘書およびCFOを徐秀瑩氏がそれぞれ務めていることが分かる。こうしたことからも深田氏と徐秀瑩氏は面識があるのではないかと思われるが、深田氏のIRS事件の話には徐秀瑩氏の名前も同氏と比定できそうな人物も登場していない。

6-2. IRS偽仮差押事件(2)

2013年にAlpha-IT Systemの求めによって東京地裁がRevatron株式会社に対して出した仮差押命令は当時同社の代表取締役だった后健慈氏を対象にしたもので、その法的効力は「Revatron株式会社 代表取締役 浅田麻衣子」名義の法人口座にも及んだ。深田氏はこれを「私の口座を后健慈氏の隠し口座であるかのように見せかける攻撃だ」と捉えたようである

深田氏は「IRSは仮差押の訴訟記録を元に隠し口座があると疑っているのだろう」という考えから「担当税務調査官Jowei Campbell氏は当事者や利害関係人しか謄写できない訴訟記録を隠し持っている。藤井氏とその弁護士がIRSに対して偽情報を流して通報を行ったのではないか」といった疑いを持つに至り、IRSに対して「公益通報者の名前を言え」と散々問い合わせたが、回答は得られなかった。

また、前述のBVI会社の申告漏れについて、深田氏は焦佑鈞氏がIRSに対して通報したと疑っているようである

后健慈氏が深田氏に語ったところによると、后健慈氏は1998年に会計士から特許管理会社としてBVI企業の設立を勧められた。会計士から「社名に4つの候補がある」と説明を受け、后健慈氏はそれぞれの社名の設立書類にサインをした。後日、会計士はうち2社を設立して残り2社の設立書類は破棄しておくと后健慈氏に伝えた。

ところが、設立書類は破棄されておらず、后健慈氏の知らぬ間に残り2社も設立されていた。実は会計士は焦佑鈞氏と繋がっており、その2社は后健慈氏の開発したF-35のチップの設計密売のために使われた。焦佑鈞氏は藤井氏と共謀し、IRSに対して偽の情報を流し、后健慈氏はその2社の取引の申告漏れについて咎めを受けることになった…ということを深田氏らは考えたらしい。

1998年に設立されたというBVI企業4社の企業名は明らかにされておらず、またIRSからの起訴内容が見て取れるような資料も提示されていないため、事実関係については筆者にはさっぱり分からないが、Google Patentsからは1997年にはすでに后健慈氏が「Hsin-Ying Pai」(中国語名は「白心萤」)という人物と共にBVI企業「Geneticware Co. Ltd.」名義で特許出願を行っていることが確認できる

いずれにせよ深田氏はIRSから税務調査を求められていることについて「焦佑鈞氏と藤井氏が共謀してJSF事件を闇に葬ろうとしている」と捉えているようで、そこからさらに「2人が同じ秘密結社に所属している」という考えを持つに至ったようだが、それを裏付けるような客観証拠はこれまで提示されておらず、根拠のない主張だけがネットやメディアで独り歩きしているような印象を受ける。

2018年3月22日にチャンネルくららが公開した特別番組《台湾と北朝鮮の知られざる関係~中華DNAを語る!》のなかで深田氏は内藤陽介氏、倉山満氏らと対談し、かつて后健慈氏からデュアルユース技術を奪ったという秘密結社「青幫」について語っている。(以下は番組のキャプチャー画像。フリップは藤井氏の写真付き身分証明証を拡大したもの。写真部分は黒く塗りつぶした)



深田氏が焦佑鈞氏をその秘密結社の首領とみなしていることについては前にも述べたが、この番組のなかで深田氏はその秘密結社の構成員として鴻海の郭台銘氏、馬英九前総統らの名前と共に藤井氏の名前も挙げ、「うちから技術を盗んでいった」、「科学技術振興機構の情報も全部やられている」、「日本の議員の情報も全部中国側に筒抜けだ」と語っている。

その後、動画は何の説明もないまま削除されていたが、のちにチャンネルくららはTwitterで寄せられた問い合わせに対し、「Youtubeのコミュニティ・ガイドラインに抵触したため」と削除の理由を明かしている。

6-3. 核テロ計画疑惑騒動

2016年1月、深田氏はFacebookで「Reiton弁護士がIRSからの要請でFBIの捜査情報を漏洩しているという英文クレームを作って、共和党議員に送りまくった」と書いている。「送りまくった」のは2015年末のことらしい。「英文クレーム」の詳細は明らかにしていないが、12月中旬に深田氏はFacebookで唐突に英語記事を書いている。以下に概訳する。
2015年12月7日、沖縄の普天間基地で米軍海兵隊の訓練中のヘリにレーザーポインターを照射した疑いで56歳の男性が逮捕され、テロ行為の罪に問われた。初動捜査でその容疑者が極左団体の見守り弁護団に所属していることが判明した。容疑者と見守り弁護団の支援に米国の税金が不正に用いられている可能性がある。 日本政府は横須賀の米軍基地を狙った核テロを理由に見守り弁護団を捜査中だが、米政府職員が政府権力の濫用などによって捜査情報を入手し、見守り弁護団に漏洩。 重要参考人Revatronは日本政府機関の助言でこの米政府職員に対してテロ計画の幇助、テロ捜査妨害、核兵器技術の拡散を含む民事・刑事訴訟を東京の裁判所で起こした。目的は集めた証拠の確保である。

后健慈氏はかつて米国防省の元請けに高度な兵器技術を提供していたが、中国スパイに狙われて被害者支援プログラム下に入った。2009年にFBIの助言でビジネス拠点を日本に移したが、2012年に巡航ミサイル誘導システムの軍事技術の主要部分を詐欺とハッキングで藤井氏から盗まれた。2013年、技術を盗んだのが見守り弁護団であることを日本当局から知らされて以降、后健慈氏はFBIをよく知る日本当局と連携している。 2013年11月、見守り弁護団の弁護士と藤井氏は后健慈氏の信用を失墜させるために裁判官の協力を得て后健慈氏の偽の銀行口座を押収した。これがIRSの監査の引き金になった。日本当局は見守り弁護団がこの差し押さえを利用して個人攻撃を仕掛ける可能性があると警告したが、IRSはHonda議員の影響力などによって監査を実施した。

后健慈氏はIRSの税務調査官Campbell氏の要請に応じて数百ページに及ぶ文書を提供したが、Campbell氏の関心は后健慈氏と日本政府の関係にあり、Revatronのビジネス関連書類の原本を全て提供するよう要求した。

后健慈氏は税の弁護士Reiton氏に対し、Campbell氏が関与している可能性のある犯罪の捜査が日本で進行中であることを伝え、日本政府の秘密捜査に関連する情報の収集ではなく、税務問題に焦点を当てることで監査を終わらせる手助けをしてほしいと依頼したが、Reiton氏はCampbell氏に捜査情報を漏洩した。 これを受けて日本当局は、RevatronにIRSのCampbell氏やConnors氏に対する民事・刑事告訴をさせることを決定したが、IRSはこれを拒否。IRSは監査を終える条件として日本政府の捜査官の名前、役職、指揮命令系統などの詳細な情報の提供を要求。こうした「ハンドラー」の情報を要求することで后健慈氏を日本政府の工作員に仕立て上げ、信用を失墜させて后健慈氏が集めた核テロ計画の証拠を使えないようにする戦略である。
深田氏はレーザー照射事件の容疑者について、この英語記事では「見守り弁護団に所属していることが明らかになった」と書いているが、ブログの日本語記事では「容疑者は(社民党党首の)福島みずほと仲良く写真を撮っていた」としか書いていない。そのソースとして深田氏が引用している記事を見ると職業は弁護士ではなく写真家とされている。別の報道では「映像関連会社を経営」とあり、逮捕理由も「テロ行為」ではなく威力業務妨害の疑いのようである。

この英語記事の最も大きな特徴は、后健慈氏が日本当局と連携して事件の対処にあたっているように書かれていること、さらにRevatronの米政府職員やIRS職員に対する訴訟提起が日本当局の助言や決定によるものとされていることで、筆者が確認した限りでは日本語記事ではこういった記述はなかったように思う。もっと言えば日本語記事では「深田氏がいくら『技術を盗まれた』と主張しても日本政府も警察も動かなかった」という話ではなかったか。

感想としては「外国の政府職員が日本で不正にテロ計画の捜査情報を入手・漏洩させたことを受けて、日本当局が民間企業に裁判でその責任を追求させたり、テロ準備の証拠を確保させたりする」という成り行きが不可解で、仮に日本当局が秘密捜査を行っているとしても、深田氏がそれをFacebookで公にするのもよく分からない。(これは「被害者保護プログラム下にある」と言い広めることについても言えることだが)

なお、深田氏はIRSから代理人のReiton氏の元に送られてきたというFAXを提示し、IRSが「マスタースパイ」の情報を求めてきた「証拠」としている。FAXの文中の「handler」が「マスタースパイ」を意味するとのことだが、よく読むと「Taxpayer's handler」と書かれていることが分かる。納税を催促されている文脈から考えても、IRSが提出を求めているのはおそらく「納税者の代理人」の情報だろう。
深田萌絵@Fukadamoe
納税者のハンドラーの情報を寄越せと米国国税局が要求するのは何故?ハンドラー=英語でマスタースパイの意味

6-4. 国連スピーチ妨害疑惑事件

深田萌絵@Fukadamoe
私は数年前まで「従軍慰安婦問題」なんて気にも留めなかった。
ところが、ファーウェイがカリフォルニアの抗日史実維護連合会を通じてマイクホンダを利用しているのを知って背筋が寒くなった。

従軍慰安婦問題、裏で糸を引いているのは間違いなく中国です。
深田氏のブログから経緯をまとめる。

2015年、IRSはRevatronに対してソースコードと設計資料の提出を要求した。不服に思った深田氏は担当税務調査官のJowei Campbell氏について調べた。

深田氏は「Jowei Campbell氏が下院議員のMike Honda氏の選挙資金を管理している」、「Mike Honda氏が慰安婦像設置などを求める抗日史実維護連合会から献金を受けている」、「抗日史実維護連合会はファーウェイのフロント団体のうちの1つ」といった情報を得て、それを総合した結果、「中国がRevatronから技術を盗むことに慰安婦団体が加担している」という考えに辿り着いた。

IRSが「監査が必要である証拠」としている資料が深田氏が「ファーウェイの背乗りスパイ」と見なしている藤井氏との訴訟記録だったことなども含めて国会議員の杉田水脈氏に相談した結果、2018年3月、深田氏は国連女性の地位委員会で「歴史の真実を求める世界連合会」(GAHT)が主催するパラレルイベントでスピーチを行うことになった。



深田氏はスピーチのなかで「慰安婦団体は中国が技術を盗むことに加担している」と告発するつもりだったが、NYに到着したその日、自分のスピーチが中止になったことを告げられた。飛行機で米国へ向かっている間に「深田萌絵は日中のダブルスパイでFBIに指名手配されていて米国に入ることすらできない」といった内容の怪文書が出回っていた。

主催者からは「あなた売春して生きてきたんでしょ。そんなことはやめなさい」、「あなたみたいな人間は今そうでなくてもいずれそうなるのよ」と罵倒された。その様子を満足そうに眺めながら「あなたも櫻井よしこも杉田水脈も、いずれは消えるのよ」と叫ぶ女性もいたそうである。

その後、どうにかスピーチまではこぎつけたが、15分あったスピーチは検閲を何度も受けて4分まで削られ、肝心の「抗日史実維護連合会」に関する記述は全面的に削除されたという。

なお、深田氏が特別講師を務める人材サービス会社イッツスタッフのブログに「浅田麻衣子(ペンネーム深田萌絵)先生がニューヨークの国連サイドイベントにてスピーチ致しました。女性活躍推進委員会に各国から参加のNGOメンバーのひとりとしての登壇です」とある。

深田氏は各所で「女性活躍推進委員会」と話しているが、正しくは「女性の地位委員会」(Commission on the Status of Women)のようである。また「各国から参加のNGOメンバーのひとりとしての登壇」とあるが、登壇者はGAHT代表の目良浩一氏、作家の河添恵子氏、なでしこアクションのカルペッパー静子氏と深田氏の4人である。

疑念1. スピーチが決まるまでの経緯

深田氏からIRS事件について相談を受け、GAHT主催のパラレルイベントでのスピーチを勧めたとされる杉田水脈氏は、スピーチから約1ヶ月後の2018年4月にチャンネルくららが公開した《杉田水脈の国政報告「国連委員会報告・Facebookの情報管理」》(他出演:田沼隆志、深田萌絵)のなかで、次のように語っている。
元々は私も「萌絵ちゃんがNYに行くことに決まりました」って聞いたとき、すごいびっくりしたんですけど、今年の1月?去年?(GAHT副代表の)山本優美子さんと私のトークショーに萌絵ちゃん来てくれて。それでそのときに優美子さんとつながって。

私のところにも「今度のスピーカーは深田萌絵さんがいいと思うんだけど、どう思う?」って優美子さんから来たんです。「深田萌絵さん、いいんじゃないの」って返して。「じゃあ、私からも推薦します」っていうことで、行って、なかなか素敵なスピーチをしてきてくださって…【3:54~】
つまり、元々GAHTサイドで深田氏がスピーチの候補者にする話が出ており、杉田氏は山本氏からそれについて相談を受けた際に「いいんじゃないの」程度の肯定的な回答をした。その後、深田氏がスピーチをすることになったと聞いて「すごいびっくりした」ということらしい。「IRS事件について杉田氏に相談し、彼女の勧めでスピーチをすることになった」という深田氏の説明とは若干異なる印象を受ける。

また深田氏によると、杉田氏から勧められたというスピーチは様々な「妨害」を受け、肝心のIRS事件に関する記述は原稿から削除されたそうだが、この動画ではそういった出来事が深田氏からも杉田氏からも語られておらず、「IRS」や「抗日史実維護連合会」といった単語も一切出てこない。「素敵なスピーチ」の報告に終始している。こういったことにも違和感をおぼえる。

時系列的には、2018年3月のスピーチ当日に「目良先生、杉田先生、推薦くださった山本優美子様に感謝です」といった謝辞を述べ、4月にこの「杉田議員の国政報告」でスピーチの報告を行い、12月にブログでスピーチまでの経緯や「妨害」を受けたことを書き、さらにその1年後にTwitterで「私も去年国連行ったら言論検閲と言論弾圧セットで付いてきたw」と書いている

なお、深田氏がブログでスピーチについて書いたその翌月、Wikipediaの「深田萌絵」ページに「国会議員と連携し、国際連合の小委員会である女性活躍推進委員会に登壇しスピーチを行った」という記述が加えられたが、その記述は8月にRevatronの精算と設立についての記述などと共に削除されている。(削除を行ったのは深田氏に対するMUFJの横領疑惑事件について記述を行った人物と同一のようである)

疑念2. スピーチの妨害はあったのか

深田氏が飛行機でNYに向かっている間に「深田萌絵は日中のダブルスパイ」という怪文書が出回ったという。どういった形で出回ったのかは定かではないが、深田氏は以前からIRSのインタビュー調書とされるものをブログで公開しており、そこには「Revatronはスパイ活動の調査のために米国政府機関と日本政府が立ち上げた」というようなことが書かれている。自分たちがFBIから中国のスパイと疑われてCIAに報告されたということも以前から書いている。

例えば、イベント関係者、あるいは参観予定者が登壇者について下調べをしたところ、本人のブログからこういった情報が見つかった。さらによく見ると裁判所とも揉めているらしい。他人の戸籍情報を公開したりもしている。これは何事か、というような問い合わせがあったときに、主催者がその事情を把握していなかったのであれば、その登壇者のスピーチを中止にするという選択はあり得るように思う。

ただ、すでに日本からやって来ていた登壇者からすれば「何を今さら」という話で、言い合いになれば登壇者の選考段階でそういった事情を見落としていた(あるいはそれほど大事に捉えていなかった)主催者側の責任が問われるかもしれない。しかもそこに「議員と連携している」という話が出てきていたとしたらさらに厄介な話になる。自分たちが懇意にしている議員であれば、なおさら無下にはできない。

イベント開始が迫るなか、場を丸く収めるために「時間を短縮し、スピーチの内容を主催者側に事前確認させること」を条件に登壇を認める措置がとられた…ということであれば両者の言い分もそれぞれ一理あるように思うが、あくまで筆者の推測の域を出ない。深田氏の批判に対するGAHT側からの声明は出ておらず、スピーチ原稿の事前確認が本当に行われたのかどうかも確認できない。

仮に事前確認が本当に行われたとして、深田氏が「言論検閲・言論弾圧」といった厳しい言葉で主催者を批判している割には自身が経営するRevatronのFacebookでは実際に話された4分間のスピーチ文しか公開していないのは何故なのだろうか。オリジナルの原稿をそこで公開することでRevatronにどのような影響が及ぶのか、どのような責任が生じるのかを分かっているからなのだろうか。

2018年5月、深田氏はTwitterで「なでしこオピニオンの会」主催の『深田萌絵×はすみとしこトークショー』の告知を行っており、そのなかで「国連スピーチ報告と、中国最新軍事事情も含めて話します」と書いている。(「なでしこオピニオンの会」というのは一般社団法人「美し国」の女性部のような組織で、杉田水脈氏が設立したらしい)

同年7月、チャンネルAJERがそのトークショーの映像をネット上で公開しているが、「深田萌絵様のご発言部分につきましては、深田様及び、当チャンネルへの影響を考慮し割愛させて頂き、はすみとしこ様のご発言部分を放送させて頂きます」という注意書きがある

疑念3. 耐放射線技術の行方

深田萌絵@Fukadamoe
おはよう。

日本の未来の為に戦った福島原発の作業員やがれき処理の皆様に国連サイドイベントで謝辞を述べてきます。

この国の皆様に感謝。
スピーチ原稿終わってないけど(=´∀`)

#wetoojapan
深田氏のスピーチ原稿がRevatronのFacebookで公開されていることはすでに述べた。タイトルは「ICT is Nothing New, Nothing is Different from IT」で、有志の方が日本語に翻訳されているので、それを元に大まかな内容を書き出してみる。(スピーチの動画はこちら
私はICTが女性が豊かになるチャンスを与えてくれるものだと自分自身の経験から信じている。私の家は貧しかったが、ネットオークションやネット株取引、ブログの広告収入などのネットビジネスで稼いで大学に行く余裕ができた。卒業後は福島の破損原子炉付近のような重度の放射線環境下で使用できる電子製品を開発するために起業を決意した。

今日、それが実現している。私たちは強い放射線に耐えうる超低遅延の映像伝送を実現するカメラを開発しており、これは世界で私たちだけが持っている技術である。さらに私たちは宇宙空間での通信システムの構築のために日本政府機関と共同開発を始めたところだ。私にICTビジネスを始めるきっかけを与えてくれた、福島の復興に尽力してくれた、勇敢な方たちに感謝したい。
これはつまり、現在Revatronが廃炉事業の技術カタログに掲載されたあのSF映画のような耐放射線技術を用いて電子製品を開発しているということなのだろうか。政府機関との共同開発についても2020年8月現在までRevatron株式会社、政府機関のいずれからもそれらしいプレスリリースは出ておらず、具体的な内容は明らかになっていない。

6-5. ホワイトハウス請願署名活動

深田萌絵@Fukadamoe
ファーウェイ事件、佳境となり著書「日本のIT産業が中国に盗まれている」出版後に弊社CTO倒れ、医者に「毒を盛られた可能性」を指摘された。
この請願に10万署名があれば、米政府から公式見解が得られます。

確認メールが来れば署名完了。

宜しくお願いします!

https://petitions.whitehouse.gov/petition/stop-internal-revenue-service-stealing-us-citizens-information-and-selling-it-china
深田氏のブログからまとめる。

2018年(詳細な時期は不明)から后健慈氏が体調を崩し、憂鬱な気分で「死んだ方がいいかもしれない」と言い出すようになった。日本の病院でいくつも検査をしているうちに后健慈氏は若い女性と仲良くなり、新興宗教に傾倒するようになった。后健慈氏と徐々に連絡が取れなくなり「米国に帰る」と言ってから、1日以上完全に連絡が途絶えた。

やがて知人から連絡があり、その若い女性が「后健慈氏を人間として尊敬しているので、一緒に死に場所を探している」と言っているとのことだった。深田氏は后健慈氏がその女性と新興宗教の瞑想施設に行くと言っていたことを思い出し、警察に届けた。女性とその親には警察から連絡がついたが、后健慈氏はその後も2日間連絡が取れなかった。

だが、実は后健慈氏は米国へ帰国していただけで、空港で倒れて病院にいたことが分かった。日本の病院での検査結果からは日常生活では接していないはずの毒性の高い重金属が正常範囲を超えて出ていた。医師によると「中毒というほどではないが、症状はすでに出ている」という。(こちらの記事から)

スタンフォード大学の医師からは「毒を盛られたのかもしれない」と告げられた。2019年4月時点ではすでに回復基調にあるが、IRSから担当医の名前を教えるように催促されており、深田氏としてはそれが不服だった。そこでホワイトハウスの請願サイトに「后健慈氏の技術情報などをIRSがファーウェイに売ろうとしている。この問題について議会で取り上げてほしい」といった旨を投稿し、ブログやSNSで署名を呼びかけた。(こちらの記事から)

以下は深田氏が公開している請願の日本語訳。
IRSはアメリカ市民の情報を盗みそしてそれを中国に売るためにFBIと協力してきました。 監査中に、IRSは彼らに「マスタースパイ情報」と私たちの機微な技術情報を与えるように私たちに要求しました、
しかしそれは税金に関連したものではありません。 私達のCTOはF35軍用機用の飛行管制官のためのディスプレイシステムを開発しました、そして、彼は中国と台湾のスパイの両方によって攻撃されました。 当時、F35の最先端技術は中国によって盗まれていました。
私たちのCTOは「FBI被害者支援プログラム」の下で保護されていましたが、IRSはFBIと協力して中国最大の通信会社Huaweiを通じて中国に情報を販売しています。 米国議会はすべての米国市民と政治家のためにこの重大な問題を調査するべきです。
結果、目標10万人分に対して599人分の署名しか集まらず、米国政府から公式見解を得ることはできなかったようだが、深田氏はそれについて特にコメントをしておらず、その後のIRSとの争いの行方も明らかになっていない。(そもそも深田氏がこれまでに提示している断片的な資料からは何が争点なのかもはっきり確認できないが)

2019年4月時点で回復基調にあると報告していた后健慈氏の容体については、7月に藤井一良氏に対してブログで「命を失いかけている」と説明している。「ほとんど日本にいない」とも書いているので、時おり米国・日本間を飛行機で移動できるくらいの容体ではあるのかもしれない。(なお、急激に体調が悪化したのは日本の病院で検査のために薬剤を入れてからだという新情報がこのとき明らかになった)

これまで深田氏が一人で基板の開発管理や組み立て、半田付けまでを行ってきたというRevatron株式会社の経営については、后健慈氏の体調不良を受けて自社でのハードウェア製品の管理が困難になったそうで、同年12月には「エンジニア殺されかけて、ワンオペ状態の個人事業」「オフィスは撤退」といった発言も見られる。(その後、オフィスは銀座から内神田へ「移転」したようである)

しかし、深田氏は他にも例えば「事務所から開発中の設計が入ったHDDが盗まれた」というようなことをこれまでにブログで書いているが、Revatron株式会社の公式情報としてはR&Dセンターは米国に所在し、「設計チームは全員シリコンバレーにいて、日本はビジネスチームとマーケティングチームだけ」といった説明をしてきており、どういった組織体制になっているのか今ひとつ要領を得ない。

Revatron株式会社のFacebookは2018年12月から更新が途絶えており、2019年5月には深田氏が自身のブログ内で広報活動を行っていくことを報告したが、その後、2020年8月現在まで広報は行われていない。

7. パナソニック軍事レーダー技術流出疑惑騒動

深田萌絵@Fukadamoe
【シェアお願い】

パナソニック半導体事業を台湾青幇トップ焦佑鈞の企業『新唐科技』に売却されるのを阻止する為に、シャープの時のようにネット上での言論戦に入ります。

シャープの時は、車のタイヤに釘を打たれ、サイバー攻撃でウェブサーバーも潰され、Facebookは凍結されました。
深田萌絵@Fukadamoe
パナソニック半導体は米軍向けレーダーチップを生産しており、これが台湾経由で中国に渡ると米中の軍事力バランスは崩れかねません。

それに加担してるのが台湾だけでなく、日本企業だというのは情け無いことではないですか。
深田萌絵@Fukadamoe
シャープが台湾青幇に売却される時には、何人もの社員たちが話に来てくれた。

パナソニック半導体は軍事レーダーRFチップも作っていて、親中台湾企業の手に渡れば中国のミサイル技術増強で軍事バランスが崩れる。

パナソニック役員や社員に良心はないのか?

日本の次世代に未来を残さないのか?
まず、パナソニックが半導体事業の売却に至った経緯を当時の報道などから少し整理する。

2014年、パナソニックは赤字事業だった半導体事業の軽量化の一環として日本国内で運営していた半導体製品の拠点工場をグループから切り離し、イスラエルのファウンドリ企業タワーセミコンダクター(タワージャズ)との合弁企業TPSCoに移管した。同時に民生用から車載用・産業用へのシフトが進められた。(以下はパナソニックの「新中期計画2013年度の事業方針」から参考画像)



タワージャズと合弁でTPSCoを設立するにあたり、半導体の設計・開発事業を担うパナソニックの子会社PSCSはタワージャズから5年間にわたってウエハー(半導体製造の材料)を仕入れる契約を結んだ。のちに日経新聞はその仕入れ価格が市中価格より平均で3割程度高く、2019年までの5年間でその契約に絡む流出額は数千億円にのぼっていたという関係者の話を報じている。



2019年4月、車載向けの強化を進め、家電向けなど異なる分野の縮小・整理を急ぐパナソニックは半導体事業の一部(主に家電などに使われるダイオードなどの半導体)を日本の半導体企業ロームに譲渡することを発表。5期連続で営業赤字となった同事業の存続条件として2020年3月期までの黒字化を掲げた。(こちらの記事より)

2019年11月、TPSCoの契約見直しで収益が改善するものの黒字化は依然として難しいという判断から、パナソニックは半導体事業からの完全撤退を決定。事業会社の全株式と施設を新唐科技に譲渡することを発表した。その譲渡対象にTPSCoの持ち分49%が含まれていたことに深田氏が反応した。(新唐科技は焦佑鈞氏の華邦電子から分社化された半導体メーカー)

深田氏は「TPSCoは米軍向けレーダー技術を生産している。焦佑鈞氏は秘密結社の首領で、かつてF-35の技術をSMICに横流しした。今回の売却でもTPSCoの軍事技術が中国に流れるおそれがある」、「それほど企業価値があるのに270億円で事業を売却するのは不自然だ。鴻海がシャープを買収したときに似ている」というようなことをWiLLやSNSなどで語った。

だが、実際には米軍向け軍事レーダーチップはタワージャズ単独の米国工場で作られており、TPSCoの工場とは無関係である。そもそも譲渡契約の内容を伝えるプレスリリースには政府機関等の承認取得を前提とした契約であることが明記されており、仮に本当に国防上の問題があるなら日本政府がストップをかけるはずであるし、米国政府も見過ごしはしないだろう。

なお、深田氏はこの騒動の最中にも「焦祐鈞氏がIRSに対してCTOの特許から知的財産権の主張をしている」、「后健慈氏が藤井氏に渡した暗号技術を元に焦祐鈞氏が特許を取得した」(《事件番号:平成26年(ワ)2779》でUSBメモリに入れて手渡したと主張していたものを指しているらしい)といった主張を行っているが、具体的にどの特許がそれに該当するのかといったことは明らかにしていない。

特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」で確認すると、「后健慈」名義の日本特許で2020年8月現在有効なものは1件も無い。1999年から2001年にかけて13件の特許出願があったようだが、うち拒絶査定11件、取り下げ1件、唯一取得できた「キーボード装置およびそれを用いたパスワード認証方法」も2004年に放棄されている。「Revatron」および「レバトロン」として保有している特許はGoogle Patentsで国外まで見ても1件も確認できない。

もう1つ権利面について書いておくと「Revatron」および「レバトロン」の商標も、世界最長のWi-Fi伝送距離と世界最低遅延伝送、世界最速伝送を実現したという同社の超高性能エンコーダ/デコーダ「Vatroni」の商標も登録されていないようである。

さて、以下にこの騒動の検証ツイートをまとめておく。
Daisuke@dadada1daisuke
【#深田萌絵】#パナソニック #半導体 事業売却で日本が本当にヤバい!【WiLL増刊号 #109】
日本国頑張れ@yoshiIngk
たまたまこの投稿見つけたので。パナソニックの半導体事業をWinbondの子会社に売却することが何の問題があるなか。パナには低レベルの技術しか残ってない。主要技術は既に富士通、DBJとの合弁会社に移管済み、パナのGaNの技術なんて2-3流。#深田萌絵 さんの主張の根拠が知りたい。
mnoレジャーチャンネル@BMqhfLzjknF6ooc
日本と海外の半導体技術者それぞれ一人ずつと中国台湾の民間人にこういう事言ってる日本人が居るって聞いたけど、全然的外れだぞ今のところ。

・敵対的買収の事
・兵器転用の事
・中台のつながり
・藤井さんに対する評価
・深田に対する圧力の事

全部これ、仮説の状態なので根拠を示せ、根拠。
mnoレジャーチャンネル@BMqhfLzjknF6ooc
半導体は装置産業でそれでも2000年代前半までは日本の独自技術で何とか業界を支えていたけど近年はそれもなかなか厳しくなってきた。
→日本人半導体技術者談

半導体そのものの技術としてはスマホやPC、車両のデバイスが主なので普通にここは中韓米に分があるのでは。
→外国人半導体技術者談
mnoレジャーチャンネル@BMqhfLzjknF6ooc
更にこれに加えて藤井さんとか他の一般ユーザーさんをスパイだとか言ったり、また中台の関係を根底から覆すような陰謀論も添付されててさ。

論が大きいのは良いんだけど、ちゃんとそれなりの論拠を添付しないとただの言いがかりじゃんこんなの。大人のやる事じゃねーよ。
mnoレジャーチャンネル@BMqhfLzjknF6ooc
パナソニックの半導体事業にだけ可能な技術があるからって話でしたよね?

早くそれが何か教えてくれって話なんですよ。

こっちは2週間黙って見てるんですよ。誰か一般ユーザーの方がコメントで

「技術開発に関わった事ないでしょ?」

みたいな感じで。僕もそう思いますよ。このやりとり見てて。
ZF ⚡@ZF_phantom
本当に国防的にまずい事業があれば、切り離して国内に残すはずなんですよね。事例 ↓

IHIエアロスペース(元・日産の航空宇宙部門)
https://ja.wikipedia.org/?curid=992706

ロームのように一般には無名でも堅実に半導体事業やってる会社もありますし。
https://www.rohm.co.jp/
ゴンドウ@redpanderEn
日本の技術って言うか、パナソニックと合弁会社を作ったタワージャズ社の米軍レーダー技術と言ってますね。
んで、タワージャズ社のレポート見たら、そもそもレーダー関係は今回売却するパナソニックとの合弁会社の日本国内工場ではなく、タワージャズ社単独の米国カリフォルニア州の工場で作ってる。

ゴンドウ@redpanderEn
こんな記述もありです。

> Additionally, TowerJazz, through its joint venture in Japan, TPSCo, can supply advanced node fabrication and services for the A&D community with ITAR compliant protocol.

日本国内で作るにしてもITAR(国際武器取引規則)に従う。
ZF ⚡@ZF_phantom
教えてもらったサイトにいい情報が。

画像1)背景が簡潔にわかる。
画像2)『本契約は、各国・地域の競争法当局その他政府機関の承認取得を前提としております』とちゃんと書いてある。

わかりましたか? #深田萌絵 さん。

半導体事業の譲渡について(パナソニック)
https://news.panasonic.com/jp/press/data/2019/11/jn191128-1/jn191128-1.html

ZF ⚡@ZF_phantom
確かに、そのタワージャス社側(パナと無関係の方)に防衛関連の紹介があって、米国防総省のサプライヤだよ、と書いてある。気にすべきはこの部分のはずだし、ここに事業譲渡の話が出れば米側が騒いで阻止するでしょ。日本側で騒ぎ立てる意味なし。

Aerospace & Defense
https://towersemi.com/manufacturing/aerospace-defense/

ZF ⚡@ZF_phantom
日本企業が外国企業に事業譲渡する時に、日本政府がこれを阻止する国内法があるかどうかは私は知らない。だけど、当該日本企業が大企業ならなおさら政府の意向は無視しない。

なぜなら、以下のように官公庁向け事業もやってるから。無視するとこっちに影響が及びかねない。

https://panasonic.co.jp/ls/plsnw/example/index_03.html
ZF ⚡@ZF_phantom
こっちにも貼っておく。事業譲渡に際して国防関連に支障があれば、必ず米国政府と議会が動くから今は大丈夫。日本企業の案件でも日本政府が動くだろうし、米側からも動くでしょ。

トランプ政権、中国企業による米半導体企業買収を阻止(中国、米国) | ビジネス短信 - ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/biznews/2017/09/5a879ad2e651d6fc.html
ZF ⚡@ZF_phantom
#深田萌絵 さん。この珍妙な理屈は何?w 軍用と民生用の差は仕様の違いでなく“焼き上がり具合”だと言ってるの?笑

パナ自身が《政府機関の承認前提》と言ってるのに、パナが、あるいは経産省もグルで違法行為すると思ってるの? あるいはパナ自身も知らない軍事用途製品があるの? 具体的説明求む。



ZF ⚡@ZF_phantom
#深田萌絵 さん。軍用の半導体にも要求仕様があるでしょう。温度環境(真夏の戦車クソ暑そう)とか、振動(ミサイルの振動にボンディングワイヤ耐えれる?)とか。専用設計しても要求仕様が厳しいために製造の歩留まりは悪化するでしょうけど、それと「高品質」の話を混同してませんか?
ゴンドウ@redpanderEn
>軍事用のチップは民生品と軍事品は同じウエハから切り出され、高品質を軍事に分類しますから工場単体を見て軍事か否かと切り分けられません。

ウエハとはこちら。
半導体の製造品質だけで軍需と民需を分けるという謎理論を展開。設計技術やフォトマスクの流出ガーとか騒いでた信者の梯子を外すなよ…

ゴンドウ@redpanderEn
ウエハとは半導体の電子回路が焼き付けられる板のことで、円盤状になってます。その回路焼き付けに使うのがフォトマスクで、電子回路のマイクロフィルムみたいなものです。
このフォトマスクだけあっても、同じ設計や性能の半導体を作る事は出来ないのですが、貴重な設計資料ではあります。
ゴンドウ@redpanderEn
で、そう言う肝となる設計資料の流出はマズいよねと思うわけですが、タワージャズは軍事向け製造についてはITAR(International Traffic in Arms Regulations:国際武器取引規則)に従うと言ってるので、日本向けだろうと、相当制限されてるんだろうなと推測出来るわけです。
Tkumi@Tkumi47
パナソニックの半導体部門の経営戦略がまずくてしりすぼみで
タワージャズ社と合弁会社を作ったもののそれもにっちもさっちもいかなくなって売却するって話しで、やっぱり深田萌絵さんの言ってる事が理解できない…。
Tkumi@Tkumi47
んで、軍事産業云々関係なくないですか?
主に家電関係の半導体では?🤔
ゴンドウ@redpanderEn
公開資料見てると日本国内工場の売りは車載用レーダーとか民生品向けですね。民生用=家電とは言い辛いのでご理解下さいm(_ _)m

車載用レーダーも軍事転用は可能っちゃ可能なので輸出制限はありますが、あくまで「転用」なので、軍事「向け」とは全然性能が違います。

いつもの大袈裟与太話かと。
ホルモンの人@musetosix
Panasonic半導体事業買収で右派論客の深田萌絵さんが騒いでいますが、PC老人から見ると新唐科技ってnuvotron?ああSuperIO
のWinbondか。中国外しの米国の差し金ですね。いいとこに売れたじゃん、はいはい解散。というところです。これサーバやPCのキーボードや暗号扱ってるところなので自社生産必須
ホルモンの人@musetosix
SuperIOチップってのはもうこれいじょう進化の必要なチップではありませんが、サーバやPCがある限り絶対必要なチップです。Panasonicの工場の雇用維持が期待できます。nuvotronも知財を使って新しい商売が始められる。誰も損をしない。PanaはTSMCに製造を委託することが出来ます。
ホルモンの人@musetosix
もちょっと詳しく解説すると、SuperIOチップというのはPCやサーバに必須のチップで、VIAとnuvotronしか残っていません。5V信号などや昔の盲腸部分、そして重要なのがTPMチップという暗号を受ける部分でもあります。シリコンに仕込まれると事実上「よけいなもの」の検出が出来ないのです。
ホルモンの人@musetosix
実は重要なチップですから信用第一。かつ高電圧のロジックで生産する必要があるので、時代遅れの32nmによる自社生産を選んだのでしょう。日本だと同盟国の供給体制は安泰ですからね。乱数は他でも作れますが、TPMを受ける部分は全体の暗号化に必須だからです。
ホルモンの人@musetosix
なので新唐科技=nuvotronによるPanasonic半導体事業の買収は何の心配もありません。本当にいいお客さんを見つけたなと思います。深田さんにお伝えいただけると幸いです。

8. ネット掲示板殺害予告騒動

深田氏のブログとFacebookからまとめる。

2019年12月19日、東京の牛込警察署から深田氏の元に連絡があり、『月刊WiLL』2月号に掲載された記事が名誉棄損にあたるので藤井氏から被害届が出ていると告げられた。記事では焦佑鈞氏の名前を書いたが、藤井氏の名前は書いていなかった。そこで深田氏は「藤井氏が焦佑鈞氏と共に刑事告訴して自分を黙らせようとしている」と考えた。(こちらの記事から)

実は19日の朝、ある人から「警察に呼び出されても行ってはいけない。行けば、たまたま薬中が居合わせて、その場で殺される」と連絡があった。さらに香港人からも「匿名サイトで深田氏に対する殺害予告らしきものを見つけた」と連絡があった。確認するとその怪文書には深田事件の検証情報をブログで公開しているZF氏の名前があった。

ネットで「殺害予告」を受けたことを牛込署に伝えたが対応してもらえず、深田氏は「牛込署はネットで藤井氏やZF氏のサイトから虚偽の情報を集めて、自分を国際犯罪集団の詐欺師だと思っているようだ」と考えた。

警察からは23日か24日の朝に出頭するよう言われたが、偶然にも24日はパナソニックの半導体事業売却を止めることのできる政府要人に会う予定だった。怪文書などから「出頭すると殺される」と考えた深田氏は「このままでは潰されるかもしれない。今月号のWiLLの自分の記事をコピーして、国会議員や官僚の元へ陳情に回ってほしい」といった呼びかけをブログやSNSで行った。(こちらの記事から)

なお、徳島文理大学教授の八幡和郎氏がこの呼びかけに応じ、「深田萌絵さんがSOSを出している」、「深田さんを守るために政府も含めて日本人は力を尽くすべきだと思う」と数度に渡って深田氏の記事をFacebookで拡散している。ZF氏は事実無根であることをTwitterで八幡氏に伝えたが、何の回答も得られていないようである。

出頭を要請されていた24日当日、「殺害予告」が出ている件を別の警察署に相談し、最終的にこの日は出頭しなくてもよいということになった。その1時間後には中国人の知人から「国際犯罪集団のスパイ容疑の刑事告訴は取り下げられた」と連絡があったそうだが、深田氏が要人に会ったかどうかは定かではない。(こちらの記事より)

2020年1月3日、チャンネルAJERの新春特別番組《日中犯罪人引き渡し協定(前半)》で杉並区議会議員の小林ゆみ氏と対談を行った際にも深田氏は「パナソニックはタワージャズとの合弁の工場でTHAADやF-35のレーダーのチップを製造している」、「表向きは民間向けの工場だが、軍用と民生用のチップは実は同じチップだ」とした上で「パナソニック事件を記事に書いたら殺害予告」と語っている。



こちらも動画の公開後、ZF氏が小林氏に対して全く身に覚えのない濡れ衣であること、自身は深田氏が「巻き込まれた」と主張するスパイ事件につい調べているだけであることをTwitterで説明しているが、やはり何の回答も得られていないようである。(小林氏は深田氏を姉のように慕って尊敬しており、藤井氏に対する背乗り主張についても「私の塾の教え子も、過去に戸籍乗っ取りをされるところでした」とコメントしている

深田氏はそのほかにも「牛込署の担当刑事はなりすまし日本人の中国人だから気を付けろと連絡があった」と別の警察署に相談するなどしていたようだが、2020年1月24日、Twitterで「前日に警察から5時間弱の取り調べを受け、中国解放軍高官の息子を中国スパイと呼んだ罪で名誉毀損で起訴されることになった」といった報告をしている。(警察から書類送検された話なのか、検察がすでに起訴までしているのかは不明)

8-1. 起訴はあったか

藤井氏は少なくとも2016年頃から「藤井一良 風評対策ブログ」で「深田氏から名誉毀損、人権侵害、誹謗中傷、信用毀損、営業妨害を受けている」と被害を訴えており、「担当弁護士と相談の上、厳正に法的適正手続きに則って対応している」と説明しているが、名誉毀損で起訴するに至ったという声明は2020年8月現在も確認できず、また深田氏も取り調べを受けた後の経過を明らかにしていない。

問題となった『月刊WiLL』2020年2月号に掲載されたのは「パナソニック半導体事業売却 中国の軍事力を高める亡国の選択」という記事で、おそらく前節で取り上げた軍事レーダー技術流出疑惑について書かれたものと思われるが、筆者は記事の内容を確認していないので、「藤井氏の名前」を書いていないだけなのか、藤井氏に関することを一切書いていないのか、といったことは分からない。

筆者が少し気になったのは、その2020年2月号の発売日が2019年12月20日で、牛込署から連絡があったとされるのがその前日の12月19日であることだが、1日程度であれば発売日より早く書店に陳列されていたとしてもそれほどおかしくはないのかもしれない。

なお、2018年12月20日に発売された2019年2月号にも深田氏の記事が掲載されている。タイトルは「ファーウェイとの八年戦争」で、記事の紹介に「ファーウェイが我が国の衛星通信システム開発を妨害している!/巨大スパイ組織ファーウェイとの絶望的な”我が闘争”の日々を全て告白!!」とあることから、藤井氏に対するファーウェイ工作被害疑惑事件について書かれた記事であることは想像できる。

いずれにせよ前述のように藤井氏からも深田氏からもその後の経過が語られておらず、はっきりとしたことは分からない。「起訴された」との報告から1年半が過ぎた現在も『月刊WiLL』は2019年2月号も2020年2月号も販売差し止めになっている様子は無く、この騒動についての深田氏の発言も削除されずにそのまま残っているように見える。 【参考】 藤井一良 風評対策ブログ

8-2. 怪文書について

ZF ⚡@ZF_phantom
では、例の件をまとめる。

深田萌絵さんのFBによれば、画像のような投稿があったという。

深田さんの公式ブログから、その訳文を借りると以下だという。
http://archive.vn/Vd7le

《『中国を害する浅田麻衣子は三日後に牛棚署に入れば、神に召されて、再度出てくることはない。ZF』》

怪文書が投稿されていたとされるのは英企業が運営する「amirite.com」というサイト。ユーザーは自由に短い意見を書き込み、他のユーザーがそれに同意か不同意かの評価をする。ユーザー登録せずに投稿・評価することもでき、投稿した場合は深田氏がFacebookで公開したスクリーンショットのように「Anonymous」と表示される。(ZF氏が上のツイートで引用しているのは深田氏が公開したスクリーンショット)

また、それぞれの投稿の右上には同意・不同意のどちらが優勢であるかが数字で表示される仕組みになっている。例えば「同意10/不同意5」なら緑の「5」、逆に「不同意5/不同意10」であれば赤の「5」が表示される。同意・不同意で拮抗している場合には「0」が表示される。評価が1つも付いていない場合は数字は表示されない。(以下は参考画像)



筆者が2020年8月にサイトをざっと見た印象では、いずれの投稿も英語が用いられており、少なくとも中国語や広東語、日本語の投稿はキーワード検索した限りでは見つからなかった。また怪文書が投稿された日時を確認するためにサイト内で投稿の検索を行ったが、当該投稿は見つからなかった。投稿のURLが不明なので確証は得ないが、すでに運営に削除されたものと思われる。

深田氏から「殺害予告」を行った犯人として名指しされたZF氏は以下のような声明を出した上で、「(amirite.comの)Privacy Policyにはログを記録していると明記されている。犯罪予告的な投稿であるから日本の警察から英国政府に照会すればIPアドレスその他の情報を取得できるのではないか」と語っている
ZF ⚡@ZF_phantom
そういうのが流れてるようですが…

1)私はそんなマヌケな書き込みしません。
2)私はそんなサイト知りません。
3)私は中国語?読み書きできません。
4)私が『神』に言及する時の用法と異なります。
5)『牛棚』? 私はそのような名称知りません。

何かの偽装工作でしょうね。

8-3. 「深田さんのお話の疑念」

ZF氏はこの騒動の約4ヶ月前にも奇妙な出来事に遭遇している。

2019年8月、ZF氏のブログの「深田さんのお話の疑念」という記事のコメント欄にRevatronの顧客を名乗る人物が現れ、JSF事件やIRS事件などを含めた深田事件の検証記事をすべて削除するよう求めた。ZF氏は検証記事のどの部分に問題があるのかを尋ねたが、要求を繰り返すだけで削除が妥当だと判断できるような回答が無かったため、記事削除には応じなかった。

その人物の発言について気になった点を以下にいくつか挙げる。

(1)后健慈氏が約20年前に米国で取得した「半導体メモリの欠陥ビットの回避方法」の特許について、当時それに類する特許が無数に出ており、実際に后健慈氏が日本で申請した際にも「新規性なしで拒絶査定」の結果が出ているにも関わらず、「当時このような特許を出願した人を一般的には天才と呼ぶ」と考えている

(2)最初のコメントでは「私のような技術者からすると」と専門的な知見を有しているような書き方をしていたが、技術に対する論評を求められると「現在は開発には手を出さず、若者を応援しているだけ」、「特許を取得したことはない」、「私の技術力は低い前提で」と及び腰になり、ZF氏が解説しても「専門外の領域」と言って取り合わない

(3)それにも関わらず「后健慈氏から高い技術力を感じ、また深田氏から製品に対する熱い想いを聞いた」という理由だけで、発売開始のプレスリリースが出ていない、商標登録もされていない、公式サイトで仕様も公開されていない、販売代理店からの製品紹介もないRevatronの製品を1,000万円分近く納品したという

(4)Revatronの公式サイトに后健慈氏が80以上の特許を取得していると書かれていたことについて、深田氏本人から実際はZF氏の調査結果「日本国内外の合計で47件(重複分を除けば18件)」と同程度であるという回答を得たという

(5)Revatronの公式サイトには他にも例えば后健慈氏がPowerPC系列プロセッサの設計思想の生みの親であるかのような記述があるが、そういったことについて「ちょっと盛りすぎなだけでスタートアップには許されるレベル」と言い、それを自分の見解で留めるならまだしも、何故かZF氏の検証記事から該当記述を削除するよう要求している

(6)深田氏がRevatronの浅田麻衣子氏と自身を同一人物であることを認めているにも関わらず、深田氏が自身のブログやメディアで語っているFBI証人保護プログラムや中国スパイに狙われている話などについて見解を求められると、「深田萌絵としての活動には関心が無い」として回答を拒否する

(7)ZF氏の年齢や性別、職業、勤務先などに対して非常に強い興味を示しており、直接会って話すことを持ちかけ、またそれらの個人情報を聞き出すことを断念したあとも「時間がかかるが、調べようと思う」と述べている

なお、深田氏自身もZF氏の検証記事を疎ましく思っているのか、殺害予告騒動の最中、「偽の情報を流している」、「台湾調査局しか持っていないはずの資料が出ている」、「しかもその資料を使う前に他のサイトに貼り付けて引用したふりをしている」といったことをFacebookで書いているが、具体的にどの記述やどの資料がそれに該当するのか論理立てて説明するようなことはしていない。

例えば、Revatronの顧客を名乗る人物が現れた「深田さんのお話の疑念」という記事で資料として引用されているのは、深田氏自身がブログやSNSで公開したものを除けば、Googleパテント、独立行政法人INPITの「J-PlatPat」、国税庁法人番号公表サイト、企業の登記情報、裁判の判決文、Mai Logicの製品の仕様情報など、誰でも取得可能な公開情報のようである。

そもそも、后健慈氏の名前が被害者保護プログラムで変わった様子が無いことも、「JSF計画でF-35のフライトコントローラー/ディスプレイシステムのチップを開発していた」というのが実は「Articia P」というCPU周辺チップセットを提供する予定だっただけの話であったことも、海外の子会社を使って2億元近くトンネリングしていたと告発されたことも、すべて深田氏自身が公開した資料から明らかになっている。

【参考】
深田事件の考察一覧 - ZF

9. 小括

⇒ 第3編につづく

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