WAC・深田萌絵事件サマリー(1) - ファーウェイ工作疑惑事件・シャープ買収騒動

2021-01-16

目次

【第1編】
【第2編】
4. JSF事件
5. ファーウェイ工作被害疑惑事件(2)
6. IRS事件
7. パナソニック軍事レーダー技術流出疑惑騒動
8. ネット掲示板殺害予告騒動

【第3編】
9. 小括
10. 秘密結社と台湾民政府
11. 新型コロナウイルス騒動
12. 新刊レビュー荒らし被害疑惑騒動
13. 外務副大臣脅迫被害疑惑騒動
14. Twitterアカウント凍結騒動
まとめにかえて
おわりに

はじめに

元株アイドルでYouTuberの深田萌絵氏がWiLLや自著などで「巻き込まれた」と語っている事件について、出版元のWAC自体がその全体像を把握していないのではないかと思われる節があるので、少し情報の整理を試みる。

深田事件の核心と見られる「JSF事件」および「背乗りスパイ疑惑事件」についてはすでにまとめを作成してある。事件はまだこの先も続くのかもしれないが、むやみに新しい展開を追いかけるとこれらの核心から遠ざかってしまうようにも思うので、事件サマリーは3つのまとめで完結とする。

この事件ではすでに深田氏から殺人の疑いまでかけられている人物も出ているので、WACには「事実関係に誤りはなかったか」、「視聴読者に誤解を与えるような表現はなかったか」など、該当出版物について改めて一度調査を行うことを提案する。

登場人物・組織

深田萌絵(本名:浅田麻衣子)
「深田萌絵チャンネル」を運営するYoutuber
Revatron株式会社代表取締役社長
WACが出版する『月刊WiLL』で執筆、同社運営の『WiLL増刊号』、『萌えちゃんねる』に出演

后健慈/Jason Ho Revatron CTO(技術長)台湾系米国人
※ 当初深田氏はブログ等で「マイケル・コー」、「王源慈」と呼んでいた。
Revatron: Jason Ho 代表プロフィール

徐秀瑩
后健慈氏と共にMai Logic Inc、亞圖科技などを経営。
Company Directory: MAI LOGIC INC.
永旺未上市: 亞圖科技股份有限公司

WAC株式会社
『月刊WiLL』などを発行する日本の出版社
深田氏の著書『日本のIT産業が中国に盗まれている』、『「5G革命」の真実』を出版している

1. ファーウェイ工作被害疑惑事件(1)

2012年、米連邦議会が中国通信機器大手のファーウェイとZTEに関する報告書を作成し、米国の安全保障上の脅威になると警告。翌年には同盟国のオーストラリアとカナダが国家の通信事業から同社を締め出すことを決定。また高度な無線通信網の構築をファーウェイに委託するという韓国の計画に対しても米オバマ政権が非公式に懸念を伝えたことが報じられた

Business Journalによると、深田萌絵氏(本名:浅田麻衣子)は2014年から「自分もファーウェイのスパイ事件に巻き込まれた」という話をいくつかのメディアに持ち込んだが、採用されなかった。2018年、ファーウェイのCFOが逮捕されたことを機に、WACから入稿済みの『日本のIT産業が中国に盗まれている』で事件ついて加筆してもよいという許可が出たという。

1-1. 背乗りスパイ疑惑事件

深田萌絵@Fukadamoe
ファーウェイのスパイ工作を、
議員も
銀行も
金融庁も
総務省も
経産省も
警察も
みんな知っている。
私が受けた被害をみんなで一生懸命もみ消したことも知っている。

日本のIT産業が中国に盗まれている | 深田 萌絵 |本 | 通販 | Amazon
https://t.co/24h8euAqni
2011年、深田氏はRevatronで開発中のVatroni FPGAの共同開発と販売について、大学時代の旧友・藤井一良氏が代表を務めるAlpha-IT Systemと業務提携の契約を交わした。だが、開発は何らかの理由で中止となり、設計資産と保証金1,000万円の取扱いをめぐる企業間紛争に発展した。

(1)深田氏と藤井氏は事前に交わした契約の内容に基づいて保証金の返還について話し合った。深田氏は保証金の返済を代わりに株式転換での解決を持ちかけたが、藤井氏に断られたため、「今は月10万円なら決済できる」と回答した。(録音データ書き起こし

(2)その後も保証金は返済されず、深田氏は「藤井氏に技術を詐取された」、「藤井氏は背乗りスパイだ」などの主張を始めた。藤井氏が証拠資料としている返済の話し合いの録音データについて、深田氏は自著『米中AI戦争の真実』(育鵬社)で「ディープフェイク技術による捏造」と主張しているようである。

(3)RevatronのCTO后健慈氏が藤井氏に対してオープンソースのソースコード(H.264のリファレンスコード)をダウンロードするよう指示。深田氏はそれについて「弊社の技術が盗まれた、流用された、無断でネット上に公開された」と主張しているようである。(《事件番号:平成26年ワ2779》で棄却されている)

(4)深田氏は「后健慈氏が暗号化ソフトの入ったUSBメモリを藤井氏に手渡した」と訴えを起こしているが、それを立証するような証拠が提出されておらず、棄却されている。后健慈氏自身の供述すら提出されなかったようである。《事件番号:平成26年ワ2779号》

(5)深田氏はブログやSNSなどで藤井氏の戸籍情報を公開し、「藤井氏は背乗りを行った」と主張しているが、立証されていない。その主張を元に「原告に保証金返還をめぐる訴訟の提起の資格はない」という訴えを起こしているが、確認の利益が無いとして却下されている。《平成28年(ワ)第11911号》

(6)深田氏は「弁護士が替わった」、「ストーカーが怖くて裁判の準備ができなかった」などの理由で、2013年からその保証金返還をめぐる裁判を先延ばしにしているようである。

藤井氏は学徒動員で中国に渡ってそのまま終戦を迎えた旧日本兵の孫、つまり中国残留邦人三世で、中国交正常化後に中国交正常化後に日本国籍を取得した経緯があり、深田氏はその戸籍手続きの特殊性に対して「戸籍を不正に取得した」、「防府市役所が中国に加担して死後婚姻を認めた」といった主張を繰り返している。

この事案は2020年7月現在も係争中だが、WiLLは2019年6月にYoutubeで『橋下徹さん、いかがでしょう?これが日本国籍乗っ取りの証拠です!』という動画を公開。動画のなかで深田氏は係争相手の藤井氏のものと思われる身分情報を無断で公にし、客観証拠を提示しないまま「ファーウェイの背乗りスパイ」と断じている。

動画は「戸籍の出生地記載から背乗りを見つけることができる」という情報が誤りであることが指摘されているほか、身分情報を公開された人物の匿名性が確保されておらず、簡単に特定できてしまうことなどから「重大な人権侵害の強い疑いがある」という意見が出ているが、WiLLは2020年7月現在も動画の公開を続けている。

なお、2019年5月、龍馬プロジェクトの神谷宗幣氏がチャンネル「CGS」で深田氏に「中国人に技術を盗まれた話」についてインタビューを行ったところ、クレームが寄せられたという。これに対して神谷氏は7月に「『深田萌絵は詐欺師なのか?』というテーマで再度インタビューを行ったので早めに配信する」とFacebookで告知しているが、2020年7月現在もその動画は配信されていない。
いす@chairtochair
深田萌絵=浅田麻衣子
「警察はチンピラの味方
国民守るの仕事じゃない
私もスパイに色々あって毎週警察に通ってる時期があった
ところがその情報を警察がファーウェイに横流ししてる」
神谷「えぇっ!?」
2019年5月7日

(::..`;;゚;ж;゚;∵:.).;:ブブ!!.;: pic.twitter.com/mqZJ1VSEpj
【参考】
深田萌絵氏の藤井一良氏に対する背乗りスパイ疑惑事件にWiLLはどう関わったか
深田萌絵(#浅田麻衣子)さんへの裁判レポート

1-2. 副社長失踪疑惑事件

深田萌絵@Fukadamoe
深田萌絵計画倒産説が出てますが副社長小林英里が会社印鑑を持って藤井一良側に逃げました。藤井一良が私の会社を倒産させる計画をしていたのです。計画倒産なら、私は金持ちになってるはずですが、そうではないですよね。
藤井一良@fujikazu7
私は小林英里さんに数回会ったことがありますが、とても上品で落ち着いた感じのとても誠実な方でした。
彼女が印鑑持ち逃げするとか絶対にありえないと思います。
深田氏のブログから少し経緯を見てみる。

副社長が「契約書を作る」と言って会社の印鑑と通帳を持ち帰り、その翌日から風邪を理由に欠勤。深田氏がLINEで「仕事にならないので自宅まで印鑑と通帳を取りに行く」と伝えたところ、親友に持って行かせるとの返信があり、しばらくして親友が会社のPCと印鑑と通帳を持って現れた。深田氏は受領書にサインをした。(こちらの記事から)

それからまたしばらくして副社長の携帯から電話がかかってきた。電話に出ると副社長の母親で、「書類を渡したいので至急お会いしたい」という用件だった。深田氏が「一日中オフィスにいる」と伝えると、その日の夕方に副社長の母親が辞表を持って現れた。副社長は鬱病で衰弱していて歩くこともできず、医師からもそうした診断が出ているという。

副社長の母親がその場で辞表に受領印を押すよう求めたため、深田氏は「株主の了承が必要なので自分だけで決められない。株主には早めに伝える」と伝えた。深田氏が「病気が長引きそうなら私物を持ち帰っておいたらどうか」と提案し、副社長のデスクの引き出しを開けると、あるはずの化粧ポーチやハンドクリームが無く、ロッカーも空っぽだった。

帰宅後、深田氏は副社長の私物が残っていなかったことを不審に思い、オフィスに戻った。開発中のシステムのケースを調べると、数千万円の開発費を費やしたチップやHDDがなくなっていた。深田氏は副社長が持ち逃げにしたものと考え、警察に被害届を出した。この盗難被害が原因でRevatronは「倒産」することになった、ということらしい。

なお、一時は「副社長は拉致されたのかもしれない」と考え、国会議員に相談しようとしたという。議員の秘書から「関係機関に問い合わせるので少し時間が欲しい」と言われたが、深田氏はいても立ってもいられず、土日も電話で問い合わせた。電話はつながらなかったが、月曜に折返しの連絡があり、土日に電話をかけたことを咎められた。最後は「警察にでも行け!」と電話を切られたそうである。

「拉致に強い保守系」国会議員の氏名は明らかにされていない。
深田萌絵@Fukadamoe
昔、元社員が失踪した時に、朝鮮系ヤクザに脅されていたので拉致担当議員の秘書に相談したら、すんごい恫喝されて泣いてしまったことあるよ。
「土日に電話してくるな!非常識だ!」
ってね。
社員や家族が失踪した身からしたら土日なんてない。
絶望的な時間だけが過ぎて曜日すら分からないんだ
深田萌絵@Fukadamoe
この拉致担当議員は真面目に拉致問題に取り組んでいたけど、秘書が左翼のスパイだったと後から聞いた。

メディアからのバッシングでその議員は落選した。

自民党議員の保守派のなかにもスパイ秘書がわんさかいても、それを取り締る法律もなく、マトモな議員が消えていく。

無知なので驚愕した。
ある日、深田氏は副社長の親友が持ってきた印鑑が「偽物」だと気付いた。また深田氏に副社長を紹介した人物はニュースで失踪が報じられ、さらに奇妙なことに副社長の情報がネット上からすべて消えていた。副社長が以前所属していた企業のHPに彼女のことを紹介するページが残っていたが、全く別人の写真に入れ替わっていた。深田氏がPCに保存していた写真は顔の部分だけ切り取られていた

その後、深田氏は元副社長について「デュアルユース技術を中国人民解放軍に横流しした」、「IT業界に蔓延るチンピラと組んで、情報収集、横領、企業秘密の盗むなどの活動を続けている」「寝返ってファーウェイの関連会社に移った」(中国人からそうした情報を得たという)と主張しているが、印鑑のことを含めていずれも立証されておらず、刑事事件になっている様子もうかがえない。

時価総額10億円弱だったというRevatronの衝撃的な「倒産」劇は奇妙なことに一般紙では報道されていない。さらに奇妙なことに国税庁などの公的資料からはRevatronが2010年から途切れることなく解散と設立を繰り返していることが確認できる。すでに判明しているRevatron4社が集めた資本金総額は1億2,669万円にものぼると見られている。なお、「倒産」後も株主との関係は良好だと深田氏は語っている。

2020年7月現在、深田氏のWikipedia上に「2012年、レバトロンホールディングス合同会社を設立」とあるが、公的資料を見る限り同社の設立は2014年であり、この「2012年」がどこから出てきたものなのかは定かでない。

【参考】
深田萌絵(浅田麻衣子)さんの会社関係を検証しました

1-3. 三菱東京UFJ銀行の仮差押債権をめぐる訴訟

深田萌絵@Fukadamoe
四年前、ファーウェイからの妨害工作で時価総額10億弱まで成長した弊社は倒産に追い込まれた。
三菱UFJ銀行がファーウェイの工作活動に加担し、弊社の銀行口座から金を横領した。

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2014年の裁判の記録《事件番号:平成26年ワ2779》によると、2012年に深田氏はAlpha-IT Systemの藤井氏と保証金1,000万円の返還について話し合いをしている。このとき深田氏は分割弁済を求めたが、結局その後弁済が行われなかったため、Alpha-IT Systemは仮差押えを申し立て、2013年に東京地裁が仮差押命令を出したという。

仮差押命令の債務者に記載されたのが「Revatron株式会社 代表取締役 ジィアンスィ・ジェイソン・ホウ」名義の口座であったことから深田氏は自分は債務者では無いと主張。「Revatron株式会社 代表取締役 浅田麻衣子(深田氏の本名)」名義の口座に仮差押の効力が及んだことに対し、「預金を横領された」と三菱東京UFJ銀行(以下、MUFJ)を訴え、一審では一部勝訴した。《事件番号:平成 27年(ワ)第19438号》

だが、東京高裁の控訴審では、MUFJが当該口座の預金をすでに法務局に供託していたことからRevatronの口座預金債権は消滅したと判断され、2017年3月7日に逆転敗訴の判決が出ている。《事件番号:平成27年(ネ)第6272号/平成28年(ネ)第1号》

最高裁には係属していないようなので敗訴が確定しているものと思われるが、深田氏は東京地裁での一連の裁判で不正が行われたと考えているらしく、「MUFGがファーウェイの工作に加担した」、「MUFGが解放軍のために米軍技術横流しに加担した」「勝訴したのに預金が戻ってこない」と主張している。裁判官を名指しで「ファーウェイのスパイ」と断じることまでしているが、いずれも立証されていない。

「台湾のニュースが『東京地裁の職員120人が台湾暴力団から賄賂を受け取って不正を行っていることが明らかになった』と報じた」と述べたりもしているが、ソースを明らかにしていない。本当にそのようなことが報じられたのであれば、事件の舞台である日本はもちろん他の国でも大きく報じられるはずだが、そういったニュースは確認できない。

なお、2020年7月現在、Wikipediaに深田氏の一審勝訴の記述がある。
個人投資家の銀行口座を横領
2013年11月1日に三菱東京UFJ銀行の新宿中央支店長が、同銀行にある経済評論家の深田萌絵の口座より全額を引き出した。問い合わせたところ、「口座を差し押さえた」と回答があった。そこで深田は11月27日に損害賠償請求を起こし、勝訴した。
─ Wikipedia - 三菱UFJ銀行
  差押えられた理由が書かれておらず、深田氏の個人口座が突然差押えられたかのような書かれ方になっている。また深田氏の訴えが全て認められたかのように見えるが、実際は損害賠償請求は一審でも棄却されているようである。この記述の出典を辿っていくと深田氏のブログ記事に行き着くが、すでに削除されていて確認できない。
深田萌絵@Fukadamoe
某経営者から連絡があった。早く三菱銀行事件を広めて揉み消されないレベルに持ち込まないと三菱暗殺部隊が動くと。皆様拡散よろしくお願いします。

https://news.livedoor.com/article/detail/11012812/
深田萌絵@Fukadamoe
【拡散お願い!】
三菱UFJ銀行に預金を横領され、裁判でも勝訴しましたが、三菱UFJ銀行側は預金を返還してきません。
他でも三菱UFJ銀行に預金を無断凍結された方もいます!
三菱UFJ銀行から預金を移しましょう!!
【参考】
深田萌絵(浅田麻衣子)、三菱東京UFJ銀行との裁判経過を誤魔化していた
深田萌絵さんによる三菱東京UFJ銀行への誹謗中傷

1-4. 衛星ハッキング疑惑事件

深田萌絵@Fukadamoe
ファーウェイに衛星をハッキングされそうだと総務省に通報した時に「衛星をハッキングされてもかまわない」と総務省から電話で回答がありました。

本当に良いのですか?

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2014年8月の産経新聞によると、Revatronは2013年8月に独立行政法人情報通信研究機構(以下NICT)から「3次元立体画像のリアルタイム伝送システム」の案件を受注したという。(記事中ではRevatronは「R社」、后健慈氏は「K氏」とされている)

ニッポン放送の「須田慎一郎のニュースアウトサイダー」によると、その後、NICTを訪れた深田氏は、ファーウェイがイラン人のエンジニアと共謀して日本の衛星通信をハッキングしようとしていた現場に出くわした。総務省や警察に相談したが、「衛星ってハッキングされたらいけないんですかね?」というような反応だったため、FBIに通報したという。

ブログにその当日のことを書いたものと思われる記事がいくつかある。

それによると、深田氏と后健慈氏はファーウェイがRevatronの共同研究先の大学研究室に多額の寄付を積み、共同研究が白紙になったことを知り、「ファーウェイが衛星実験を狙っている」と考えたという。NICTのイラン人のエンジニアにそのことを説明し、一緒にFBIへ通報しようと協力を求めたが、「スパイなんていない」と拒まれた。1ヶ月後にそのエンジニアは謎のプログラムと共に研究所から突然姿を消した。(こちらの記事から)

そして、そのエンジニアが衛星実験前に中国経由でイランに帰国していたこと、またNICTの職員が「情報収集衛星研究室に北朝鮮人が採用された」とぼやいていたことなどから、深田氏らは「ファーウェイがイラン人と共謀して衛星通信をハッキングしようとしていた」と考えた、ということらしい。(こちらの記事から)

2016年、深田氏はこの件に関して「衛星実験でハッキング機能付きのシステムを導入するためにRevatronのシステムを破壊し、それに酷似したファーウェイのシステムの導入を勧めた」、「Revatronのソースコードを中国科学院に転売するよう説得した」などとして訴訟を提起したようだが、訴状の一部準備書面が公開されているのみで詳しいことはよく分からない。《事件番号:平成28年(ワ)43245号》

2020年には「佐川急便の関連会社・SGシステム(深田氏によるとNICTの案件の元請け業者だという)はファーウェイ製品を日本国内で売り込んで回っている」、「NICTはファーウェイのために衛星ハッキングを隠蔽している」、「(失踪したという)元副社長の夫はこの事件のあとにNICTから仕事をもらう結果になった」といったような発言もしている

ところが、この事件の大前提となる「衛星実験に関する3次元立体画像のリアルタイム伝送システムの案件」が、NICTが公示している入札情報から確認できない。さらに「静止衛星経由で(人が酔わないレベルの)リアルタイム伝送は光速超えないと無理」といった技術面からの指摘もある。ハッキングの現場に出くわしたかどうか以前に、そもそもRevatronはNICTに出入りしていたのだろうか。

NICTの案件を受注したという2013年8月頃の深田氏のブログを見ても、それらしい記事は見当たらない。11月に「政府案件でスーパーコンピュータを開発中」として定年エンジニアを募集している。12月には「3Dの技術が国の研究所で採用されました」と書いているが、どちらの案件も具体的な内容については明かされておらず、Revatronから正式なプレスリリースも出ていない。

なお、深田氏によると産経新聞にRevatronの記事が掲載されたのは「早大政経時代の恩師」の判断によるものだったという。同大の元非常勤講師で産経新聞の特別記者・編集委員を務める田村秀男氏のことではないかと指摘する声もあるが、真偽は定かではない。

FACTAの2014年4月号に掲載された《中国Huaweiの「第五列」浸透》では、「過去にF-35やドローンの画像システム開発に携わって台湾から米国に亡命した」という経歴とともに后健慈氏(記事中ではJ氏)が紹介され、記者に対して「NICTに納入する予定だったR社のシステムがファーウェイに狙われた」というようなことを語ったと書かれている

深田氏はブログで「そんな雑誌の取材を受けたことも無いので、インドネシアの友人から連絡を受けて驚きました。/私たちは全く知らなかったのですが、何故か私たちのようなことが掲載されて、内容は多少違います」とコメントしていたが、前述の《平成28年(ワ)43245号》ではこのFACTAの記事を証拠として「Revatronが受注したNICTの案件に対してファーウェイがスパイ活動を行っていることが当時報道されていた」という主張を行っている。

なお、Revatronと共同研究をするはずだったという大学研究室についてはブログで「N大三次元映像研究室」、「W大通信研究室」、「O大光学研究室」と名前を伏せられている。どうして深田氏が名前を伏せているのか分からないが、FACTAの記事には名古屋大学、早稲田大学、大阪大学にファーウェイの技術者が訪問したということが書かれている。

【参考】
ファーウェイによる衛星ハッキング(デマ)を目撃した深田萌絵に関わった産経新聞とFACTAの失態

1-5. 科学技術振興機構データ流出疑惑事件

深田萌絵@Fukadamoe
科学技術振興機構のサーバーが河北省保定市にある解放軍の地下データセンターに移管されてるのを発見し、科学技術振興機構に通報したら、「それが何かいけないんですか?」と聞かれた。

日本のIT産業が中国に盗まれている | 深田 萌絵 |本 | 通販 | Amazon
https://t.co/24h8euAqni
深田氏のブログによると次のようなことらしい。

深田氏は係争相手のAlpha-IT Systemが科学技術振興機構主催の日中大学フェアのサイトを管理運営していることを知り、そのサイトのIPアドレスを調べた。

深田氏はサイトのIPアドレスからサーバー設置場所の詳細な住所を特定できると誤解しており、サイトのサーバーが河北省保定市の田園地帯にあることを「発見」、さらに知り合いの中国人から「保定市の近隣には地下三十階建ての解放軍最大地下基地がある」と聞いたことから、「科学技術振興機構のサーバーが人民解放軍基地内のデータセンターにある」と確信したらしい。

なお、深田氏はAlpha-IT Systemとの裁判での控訴理由にも「独立行政法人のサーバーを解放軍基地に設置している」とこの件を使用しているようで、別の記事には「科学技術振興機構がデータセンターに保管する研究情報は解放軍のデータセンターを経由して鴻海と共有されている」といったことまで書かれている。
たま5@6abaCRcZE3D5k8K
@MoeFukada どこに書こうか迷いましたがこちらに書きます。先日JSTに背乗り男が河北省にサーバーを置いて日本の情報ダダ漏れは許せんので、調べて返事しろとメールしまして返事が来ました。以下同文。深田萌絵氏の「日本の研究所サーバーを解放軍人息子が中国へ移管を通報したが
たま5@6abaCRcZE3D5k8K
@MoeFukada 警察に無視された件」としたyoutubeにおける「日本人の血税で研究したデータが中国に移管されている」旨のお話については、全くの事実無根です。弊機構としては、国の方針に従い、情報セキュリティに万全の配慮をして事業活動を進めているところであり、今後とも、何ら御懸念が生じることがないように
たま5@6abaCRcZE3D5k8K
@MoeFukada 対応して参ります。との回答でした。お役に立てずにすみません。自分はもちろん深田萌絵さんを信じておりますので、今後とも頑張って下さい。

1-6. 国家機密漏洩疑惑事件

深田氏は「藤井一良氏が政治家の今井雅人氏を使って反日活動を行っている」といった主張もしている。曰く「私の元夫を利用して民主党政権の国会議員に取り入り議員のサーバー管理してました。政府情報は全て中国に筒抜けだったのです」とのことで、情報を漏洩させていたとする客観証拠は提示していないが、自著『日本のIT産業が中国に盗まれている』(WAC)でこれについても書いているようである。

細かいことを言うと、Facebookでは「私の元夫を利用して取り入った」と主張しているが、「藤井氏の戸籍は無効であり、保証金の返還の訴えを起こす権利はない」として国を訴えた平成28年(ワ)11911号の訴状のなかでは、「原告は藤井一良を今井雅人現国会議員に紹介し、今井雅人が運営する会社のサーバー管理の仕事も任されるようになった」と、自身が今井氏を紹介したという説明がされている。

またブログでは、「今井氏の元で働いていたエンジニアから飲みに誘われ、藤井氏との裁判や収入について聞かれた。その人物のスマホは見ると、赤く点滅して『録音中』となっていた。藤井氏は元副社長を使って裁判の証拠を捏造しようとしていたが、元副社長が逃げてしまったので今度は今井氏の部下をよこしたのだろう」というようなことを書いている

ところが、Twitterで『ブログに書かれていた「今井氏の部下」は自分のことかもしれない』と名乗り出る人物が現れた。今井氏の会社の元システム担当で、深田氏・藤井氏の双方と面識のある松村氏で、「自分から飲みに誘った覚えはなく、LINEで連絡してきたのは深田氏」、「使用しているiPhoneは赤く点滅する仕様ではないし、そもそも録音していない」、「国会議員や藤井氏のスパイとして動いた事実はない」と記事の内容を否定。LINEの履歴も残っているという。

さらに松村氏によると、今井氏が藤井氏に発注したのはFX(外国為替証拠金取引)情報をFTP等で企業に配信するだけのB to Bの情報配信サーバーで、国家機密とは全く関係が無いという。藤井氏もこれについて「そのとおりです」と認めており、深田氏の元夫から「とにかく裁判を最後まで進めて、1000万円を取り返してほしい、法によって裁かれるべき」と言われているということも明かしている。
藤井一良@fujikazu7
実は、私は、深田氏との事件後も元旦那様とは何度もお会いしております。
「とにかく裁判を最後まで進めて、1000万円を取り返してほしい、法によって裁かれるべき」と、強くおっしゃっておりました。
藤井一良@fujikazu7
深田氏との事件後、元旦那様とお会いしたときに、もう1つ強く言われたことがありました。
元旦那様は、「浅田麻衣子とは金輪際関わりたくない。私の連絡先を絶対に絶対に教えないでください!!!」とおっしゃっておりました。
松村@東京@Trade_2017
僕も元旦那さんから2007年8月21日に同様のメールを受け取っています。

前述の訴状のなかで深田氏は次のように書いている。
 平成16年春ごろ、原告代表者浅田は、早稲田大学政治経済学部において開かれた金融工学の授業において藤井一良と同じクラスになり、知り合った事実がある。その際、藤井は「浅田さんのご主人のファンです」と偶然を装って、浅田の夫の書籍を指し出して浅田に近づいてきた。/
 その後、原告は被告を家に招き、原告の元夫を被告に紹介し、原告夫が勤めるファンドに被告を紹介し、夫が勤める会社から自動売買システムの開発や、2000万円の資金を運用するなどの仕事を受注した。
藤井氏によると深田氏の元夫は「大学生のときに大変お世話になったインターン先の上司」で、保証金名目でRevatronに1000万円を貸した一番の理由もその恩義のためだという。深田氏が何を以て「偶然を装って自分に近づいてきた」と考えたのかは定かではないが、学生時代のブログを見ると、藤井氏は株サークルのエース的な存在として紹介されており、卒業後も深田氏から自動売買システムの開発を請われたりしていたようである。
 一昨日の日曜日に、ストックリーグの仲間+学生株仲間と一緒にパンローリングの監修者の長尾さんに質問に行ってまいりました。
 我がストックリーグチームの優秀クォンツアナリストのカズ君は、分析の質問を持って参上し、私はといえば今度マネージャパンに掲載予定のジム・ロジャーズインタビュー記事の邦訳の誤訳チェックをお願いしに伺いました。長尾さんとは、パンローリングのセミナーで知り合いましたが、いつも意味不明なことを仰っているので変わった人だと思っていました。長尾さんは理系人間なので、口を開くと遠い国の言葉の呪文を唱えているように聞こえてくるので、その場にいる人間一同、「は?」と言って首を傾げていました。私なんかは右の耳から左の耳へといった感じです。
 ところがどっこい、うちの理工学部のカズ君は100%の理系人間でめっぽうコンピューターに強い。長尾さんの話を「ああ、なんだ。そうだったのか~」ってこの19歳の少年がニコニコして聞いているのを見て、私は仰天しました。長尾さんの話を、なるほどって言って聞いている人をはじめて見たからです。そこで「あ、長尾さんの言っていることは、非常にご尤もな話なんだけれど、それを理解できるのは一部の理系人間だけなんだな」と理解しました。いままでチンプンカンプンで右から左に流していた彼の話の中に、重要な情報が詰まっていたのだな~と考えると、「勿体無いことしたな~~」って思います。
─ 萌絵のトレーディング☆トレーニング (2004年10月19日)
 昨日はアルファITの社長のカズ君とクォンツ・アナリストの人とご飯を食べました。
 というのも、最近たくらんでいることがあって、自分のトレードを完全に自動化したいなっていう企てがあるからです。
 とはいっても、JAVAもC言語も分からないので、カズ君に作ってもらうことにしました。カズ君は、この日記を二年前から読んでいる人なら知ってる可能性がありますが、大学で同じ授業を取っていた理系の天才大学生です。その後、仲良くなって、ヘッジファンドに紹介したら、カズ君が市価の半分ほどの値段でプロと同じレベルのデータベースを構築できること分かってシステム会社を起業してしまいました。
 そのうち、自動売買システムを開発して1年で資を倍にしてしまいました。萌絵は、ようやくシステム・トレードを始めたのですが、売買シグナル通りにトレードできない。天性ののろまさのため、パソコンのスピードよりも遅いし、打ち間違いも鬼のように発生。
「あー、もう、これを解消するのは、パソコンにすべてを任せるしかない」
 そう、思って、カズ君に泣きついて、開発をOKしてもらいました♪
─ 萌絵のトレーディング☆トレーニング (2006年7月8日)
 カズ君のハードワーキングのおかげで、明日から、自動売買のテスト・トレードを始められるようになりました。あんまり、カズ君を仕事ばっかりさせると、彼女に怒られちゃうかなって心配もしつつ。
 なんかね、手動でトレードするのも緊張するから、完全自動でポジションを持ちたいって思ってたけど、やっぱりポジション持つって緊張するね。
 明日からどうなるのかな~。。。楽しみでワクワクしちゃう。
─ 萌絵のトレーディング☆トレーニング (2006年10月9日)
【参考】
【iPhone】深田萌絵さんの創作スパイ話が雑すぎて・・・w【赤いランプどこ?】

1-7. みんかぶアカウント凍結事件

深田萌絵@Fukadamoe
Yahoo!ファイナンスのコラムを書いていたけど、三菱UFJ銀行の横領事件を書いたら担当から「そんな事を書くな!お前らは金が儲かりそうな話だけ適当に書いて真実は書くな」と言われ、私のコラムを一方的に削除するだけでなく、コラムは凍結された。

情報は統制され、読者は真実を知りえない

#metoo
深田氏のブログから経緯を説明する。

MUFJとの裁判で一審に勝訴した翌月の2015年12月、深田氏は投資情報SNSみんかぶに「(深田氏の口座から)横領を行った人物の昇進に疑惑がある」、「横領の裏には軍事技術横流しの裏取引がある」、「MUFJとみずほ銀行は融資の返済を延期しないことでシャープを民事再生法申請まで追い込み、鴻海に再生のスポンサーをさせようとしている可能性がある。市場最大のインサイダー取引だ」といった内容のコラム記事を寄稿

深田氏のコラム記事はYahoo!ファイナンス内の「投資の達人」という投資予想コンテンツで掲載される仕組みになっていた。記事は公開から数日でみんかぶに削除され、さらにアカウントも凍結。これについて深田氏はFacebookでみんかぶの代表取締役に質問状を送ったが、回答が無かった。Yahoo!ニュースでもこの件についてコメントを書き込んだが、それも削除された。

そして、2016年1月、深田氏は「インサイダー取引隠ぺいの為の市場操作及び詐欺行為に対する損害賠償事件」としてみんかぶとYahoo!JAPANに対して訴訟を提起したらしい。その後の経過は明らかではないが、この事件は「シャープ買収事件MAP」(次節)のなかで「ヤフージャパンによる深田萌絵言論弾圧」として書かれている。

訴状を見ると、みんかぶのGMから「自分の思い込みで記事を書くな」と注意を受けたことに対し、深田氏は「有価証券報告書、決算短信、国内ニュース20以上、MUFJに関する記事、MUFJと台湾銀行に関する日本語と台湾語の記事、鴻海の資金繰りに関する台湾語のリーク記事、鴻海の資金ではシャープは買えないという英文ニュースサイトなどを読んで分析を行なった結果だ」と反論している。

具体的にどの記事から「鴻海の資金ではシャープは買えない」と判断したのかは定かではないが、そもそもの「融資の返済を延期しないことで民事再生法申請まで追い込もうとしている」という出発点に無理があるように思う。当時のニュースを少し調べてみると、MUFJとみずほ銀行が3年前にも返済期限の延長を行っていることも分かる。
シャープ、赤字転落で金融支援を要請へ
2011年度、12年度に計9000億円もの巨額赤字を計上したシャープ。2013年6月には主力2行の協調融資3600億円の返済期限が迫り、資金繰りに窮した。しかし、2013年度以降の3カ年中期経営計画の達成を前提に、返済期限が2016年3月に延長された。
シャープも2013年秋に公募増資で約1300億円を調達。2013年9月から2014年9月にかけて計3回、3300億円の社債償還を乗り切り、財務危機の峠は越えたと見られていた。
ただし、2014年末時点で依然として返済期限が1年以内の短期借入金は7172億円に上り、前述の協調融資の期限も2016年3月に迫る。本来なら、中期経営計画(2013年度~2015年度)の実行で財務体質改善につなげ、返済原資を捻出する計画だったが、2014年末から頼みの中小型液晶パネル事業が失速。白物家電や太陽電池は円安による調達コスト増が打撃となり、2月には今通期最終赤字に転落すると公表。"返済シナリオ"は狂った格好だ。
─ 東洋経済(2015年3月6日)
なお、台湾のニュース記事は一般的に台湾語ではなく中国語で書かれているので、深田氏がここで言っている「台湾語」はおそらく「台湾で話されている中国語」(日本では「台湾華語」と呼ばれることがある)の意味かと思われる。

深田氏の中国語能力について言えば、大学時代に中国語研究会に所属し、さらに大連理工大学の語学学校に短期留学するなどして基礎を固めたようで、中国人の兄嫁と会話したり、日本に土地を買いに来る中国人投資家を案内したりできるくらいには話せるらしい。ただ、これから少し見ていくが、中国語の記事を引用しているように見えて実際の記事内容と異なることを書いているケースが散見される。

2. シャープ買収騒動

口座の仮差押をめぐる三菱東京UFJ銀行(MUFJ)との裁判を経て、深田氏はRevatronとAlpha-IT Systemの企業間紛争が台湾の鴻海精密工業によるシャープ買収とつながっていると考えた。以下は深田氏のブログで公開されているシャープ買収事件MAP。相関図にはRevatronの元副社長や科学技術振興機構も含まれている。



深田氏のシャープ買収についての言及は多々あるが、「某アナリストから電話がかかってきた」、「中国の飲み会での嘲笑のネタになっている」といった情報源の不確なものを1つ1つを検証することはしたくないので、出典が明示されているものを中心にいくつか見ていくことにする。

検証1. 日本政界進出の陰謀(1)

堀江貴文(Takafumi Horie)@takapon_jp
こいつサイコパスですね
RT @ykatou: 深田萌絵さん、今日もぶっ飛ばしてます。|【シャープ株】シャープ買収を踏み台に日本乗っ取り策
https://ameblo.jp/fukadamoe/entry-12124951958.html
深田萌絵@Fukadamoe
こんばんはー!台湾のテレビでは普通に報道されてますよー!
堀江氏のリツイート元に貼られている深田氏のブログ記事「【シャープ株】シャープ買収を踏み台に日本乗っ取り策」はすでに削除されているが、調べてみると「バックアップブログ」の方にまだ記事が残っていた。

記事にはMUFJ・みずほ銀行と鴻海のインサイダー取引疑惑の話をはじめ、郭台銘氏が「日本の15人の国会議員に献金して新しい政党を立上げ、日本の政治にテコ入れする」と語っていること、日本の政治家のまとめ役として台湾の暴力団・竹聯幇のトップが訪日することなどが書かれている。出典については「ニュースが流れました」、「某エコノミストから電話ありました」とだけある。

深田氏の元記事が削除されたのはおそらくこういった内容が利用規約に違反していると見なされたためではないかと思われるが、深田氏は「サイバー攻撃」と受け止めているようで、当時は「読者参加型サイバー戦」と称してミラーサイトを管理するボランティアを募るなどしていた。結果、7つの「バックアップブログ」が設立されたようだが、うち4つは閉鎖、残る3つも設立から数ヶ月で更新が止まっている。

なお、深田氏は堀江氏のツイートにリプライしてから2週間後に週刊朝日の記事を取り上げ、そのなかの「(鴻海によるシャープ買収の是非をめぐって)ネット上では堀江貴文氏が経済評論家とやりあう一幕も」という一文について、「ホリエモンと私のバトル書いてます」とツイートしている。

だが、堀江氏は深田氏のブログについて書かれた第三者のツイートをコメント付きリツイートしただけで、深田氏のリプライには応答していない。これを「バトル」と捉えるのは無理があるように思う。週刊朝日の記事中の「経済評論家」は深田氏ではない別の人物を指しているのではないだろうか。いずれにせよ「シャープ買収事件MAP」では堀江氏から深田氏への矢印で「嫌がらせ」と書かれている。

この頃、深田氏はFacebookでも「アップルデイリーでプレイボーイに出ていた爆乳アイドルスターが鴻海のシャープ買収陰謀説を唱えていると報道されているようです。いいなー、台湾は言論の自由があって。羨ましい」と、自身のブログが台湾で取り上げられたかのように語っているが、引用されている蘋果日報の《鴻夏戀 狂亂的大和魂》という投稿記事を見ると、それらしいことは書かれていない。
不願日本技術外流的民族信念,在八卦媒體中,已經升級到陰謀論。以清涼女星照片為主要賣點《週刊Playboy》最新一期報導,說若不是前經濟再生擔當大臣甘利明,日前因為政治獻金醜聞突然下台,鴻海是不可能偷襲成功的。而鴻海能夠提供鉅款戰勝INCJ,甘利明的突然醜聞,後面是有中國勢力的「黑幕」……。
《日本の技術流出を望まない民族的信念がゴシップメディアのなかで陰謀論にまで発展している。クールな女性スターの写真が売りの『週刊プレイボーイ』の最新ニュースでは「もし甘利明氏が政治献金スキャンダルで経済再生大臣を辞任していなかったら鴻海の襲撃は成功しなかっただろう。鴻海がINCJに勝る巨額な資金を提供でき、甘利前大臣は突然のスキャンダル。その裏には中国勢力の黒幕が…」と伝えている。》

調べてみると『週刊プレイボーイ』のニュースサイト「週刊プレNEWS」が《シャープ電撃買収の裏に甘利大臣辞任の大誤算。家電業界“復活再編”が白紙に!》(取材:近兼拓史)という記事を配信しており、蘋果日報は深田氏のブログではなく、この記事について書いたものと思われる。


検証2. 日本政界進出の陰謀(2)

深田氏は別の記事でも「日本乗っ取り策」について書いている。
テリーゴウに関するニュースによると、下記を豪語しています。

・オリンピック委員会のメンバーになり、日本のオリンピック予算を支配する。
・パナソニックを買収し、オリンピック向け事業はホンハイが行なう。
・キャノンを買収する。
・日本の民進党をサポートしているので大臣になる。
・マイナス金利なので、メガバンクから金を借りまくって金利を稼ぐ

─ 深田萌絵 本人公式ノンポリ★ブログ(2016年4月5日)
こちらは「引用元」として台湾の蘋果新聞の記事のURLが2つ貼られている。

1つは《郭董高橋 共披關公圍巾》( 2016年4月5日)という記事で、郭台銘氏と高橋興三社長が「忠義仁勇」と書かれたストールを一緒に肩にかけた写真を紹介している。「鴻海とシャープの盟誓の象徴のようだ。今後関公の加持の下、鴻海とシャープがさらなる100年の繁栄を共創することへの期待が表れている」といったことしか書かれていない。

もう1つはリンクミスなのか本文が表示されないが、URLから《【鴻夏戀】利率匯率兩頭賺郭董買夏普超合算》(2016年4月5日)という記事であることが分かる。記事の内容はタイトルの通り「金利と為替レートの両方で得をする。シャープ買収は非常に割に合っている」といったもので、キヤノンもパナソニックも登場しなければ、オリンピックの話も政界進出の話も書かれていない。

マイナス金利については「日本は現在マイナス金利で、借りても利息を受け取れるに等しい。鴻海は日本でのローンを必ず選択するだろう。マイナス金利による利潤圧縮と市況低迷の状況のなかで、日本の銀行も比較的好条件を提示して鴻海とシャープのシンジケートローンを得ることを望むだろう」という記者の見解が書かれている。「借りまくって金利を稼ぐ」とはだいぶ印象が異なる。

検証3. 中国人10万人移住計画

深田萌絵@Fukadamoe
鴻海、シャープ7000人日本人リストラ強要の陰で中国人10万人採用して大阪へ移住計画。
http://fukadamoe.blog.fc2.com/blog-entry-3516.html


深田氏がブログで引用している画像は台湾の「104人力銀行」という求人サイトの画像で、台湾メディアの中時電子報の《鴻海大舉獵日語人才 電話被打爆》(2016年6月11日)という記事から借用したものと思われる。記事の概要は次のようなもの。
鴻海の企業文化の洗礼に臨むシャープでは社内公用語の英語化が求められている。だが、鴻海は言語や文化の隔たりを解決するために日本語や日本の企業文化を熟知する人材を100人近く募集すると説明している。台湾ソニーの主管者が非公式に語ったところによると、ここ数日すさまじい量のヘッドハンティングの電話があり、そのすべてが鴻海の求人だという。
深田氏はブログで「台湾ソニーの幹部が秘密裏に人材募集を手伝っている」と書いているが、実際の記事にはこのように「ヘッドハンティングの電話を受けている」といったことしか書かれていない。

記事には「中国人を10万人採用して大阪に移住させる計画」どころか「中国で求人を行っている」ということすら書かれていないが、中国人から「中国で日本語を話せる人材の大量募集が始まったのは鴻海がシャープに派遣するためではないか」、「秘密警察出身の応募者が優遇される」などの噂を聞いていた深田氏には、この台湾の記事を見て腑に落ちるところがあった、ということらしい。

以下は鴻海の求人に関する聯合報の別記事から参考画像。



なお、シャープの決算概要資料に「グローバルで最大7,000人程度の人員削減」という記述があったことについては事実のようなので、それについての日本のニュースも紹介しておく。ただし、発表から1時間後には「グローバルでの人員適正化」という記述に訂正されたという。
7000人削減検討…鴻海、雇用維持困難と判断
経営再建中のシャープを買収する台湾の電子機器受託製造大手、鴻海(ホンハイ)精密工業が、シャープの国内外グループ従業員約4万3000人のうち、最大7000人を削減する検討に入ったことが12日、分かった。中国の拠点で抱える1万人以上の従業員などが対象になる見通し。
(中略)
人員削減は、鴻海と重複する海外拠点や不振の太陽電池事業、本社の管理部門が対象になるとみられ、今年度中の実施を検討している。シャープは経営危機が表面化して以降、2012年度に国内社員約3000人、15年度に同約3200人が、それぞれ希望退職に応じた。今回検討されている国内外7000人はグループ全体の約16%に相当する大規模な削減になる。
─ 毎日新聞 (2016年5月13日)

検証4. カルト宗教

深田萌絵@Fukadamoe
シャープ買収提案のホンハイCEOはカルト宗教で赤ちゃんの血を使った儀式してるって業界では有名。オレンジのストールは自分が神様の証だそうです。

深田萌絵@Fukadamoe
どこの国の企業買収に条件がカルト宗教への加入と忠誠が義務付けられてるのでしょうか。この金色のストールはカルト関公で使われてる血の儀式のものです。本当にありえない。

深田氏はブログで「高橋興三社長は台湾でカルト宗教関公の神様になった」とまで書いているが、「関公」とは『三国志』で劉備に仕えて忠義を貫いたと言われる関羽の敬称で、道教では武神や財神として一般的に信仰されている。「赤ちゃんの血を使った儀式」など行われていないし、ストールが神になったことを表すなどといったこともない。
内政部の統計によると、2011年末の時点で道教は台湾全土の寺や廟の78.2%を占め、最大となっている。(中略)道教は多神教に属し、民間の伝説や歴史上の人物と結びついたものも多い。台湾で良く知られるのは、「玉皇大帝」(道教における天界の指導者で地位の最も高い神の一つ)、媽祖(海上の守護神)、関聖帝君(三国時代の関羽。忠と義をいずれも全うしたことで神格化された。軍人、警察の守護神でもある)、財神(財福を司る神)、文昌帝君(学問の神)、土地公(福徳正神とも呼ばれる。地方の末端行政単位での神で、その土地を守る)などである。
─ TAIWAN TODAY - 台湾の伝統宗教:道教編
余談になるが、深田氏に限らずWiLLの宗教に対する無理解には残念に思うところがある。
【白川 司】テリー・ゴウの出馬、真の狙いとは!【WiLL増刊号 #039】
白川司氏:(郭台銘氏が「媽祖が夢に現れ、総統選に立候補するよう告げられた」と語ったことについて)日本統治時代に禁止されてきたものが出てきたってことは逆ですよね。ちょっと反日的な気がしますよね。あるいは親中国ですかね。[02:28~]




検証5. 暴力団首領と義兄弟

深田萌絵@Fukadamoe
シャープ買収提案ホンハイCEOが暴力団首領殺人犯と義兄弟であるニュース。台湾では有名で、なんで日本人は台湾暴力団を招き入れたいんだろ?って話題です。これ、私の削除されたアメブロに貼ってました。ブログに貼ると消されるので注意。


深田氏が「シャープ買収提案ホンハイCEOが暴力団首領殺人犯と義兄弟であるニュース」として提示しているのは、TVBSという台湾メディアの記事、《分析武將精神 白狼、郭台銘談關公》(2013年8月13日)から切り取った文章と思われる。

記事では台湾のナショナルジオグラフィックの特集『武聖關公』のなかで新北市副市長(当時)の侯友宜氏、鴻海の郭台銘氏、竹聯幇の「白狼」こと張安樂氏らが語った「関公」に対するそれぞれの考えが紹介されている。「誰と誰が義兄弟の関係にある」といったことはどこにも書かれていない。

郭台銘氏は「経済の視点から言えば、関公は武財神であり、国際化に向かうブランドの1つだ」と語っている。張安樂氏は「兄弟関係の最高の境地は義である。我々の世界では異なる姓の相手と兄弟関係を結ぶ。異姓兄弟の模範は劉備・関羽・張飛の結義である」と語っている。

参考までに『武聖關公』のCMを紹介しておく。登場するのは郭台銘氏、張安樂氏のほか、台湾民俗学者の林茂賢氏、新北市副市長の侯友宜氏(元警察官僚)、京劇の名優として知られる朱陸豪氏。冒頭、ヘルメットをかぶった人たちの頭上をロケット花火が飛び交う映像は、台南市で毎年行われる「鹽水蜂炮」という祭りの様子。



これに関連して深田氏は次のようなことも述べている。
深田萌絵@Fukadamoe
台湾の人口二千万人のうち四百万人が薬物中毒。小学校の給食にまで麻薬を混ぜるのが、中国共産党の戦略でそれに加担してるのが台湾暴力団青幇だと報じてます。シャープを買収したテリーゴウも青幇ですが、大丈夫でしょうか。https://www.youtube.com/watch?v=7Svrt321B5I
☆Chris*台湾人☆@bluesayuri
つけた画像先全部見た!全く学校の給食の事に触ってない!中は「蒋介石が中国で麻薬を売ってた事!」そして台湾の番組中の出鱈目な話、新聞でない!ソースにとしてやっぱり根も葉もない話!麻薬は学校の給食に入れ?あるなら、台湾の新聞報道自由度は日本より高い、なぜないの?
深田萌絵@Fukadamoe
台湾も、日本もメディアはかなり制御されてますね。ただ、台湾の人の方が報道の努力してると思います。レベルが高いニュースを台湾で見ますよ。正晶時限とか。単語は難しいですが。
深田氏がソースとして引用しているのは台湾の社会文化や現象、不文律を中心に扱った『驚爆新聞線』というゴシップ系トーク番組で、念のために筆者も2016年4月23日放送分を確認したが、やはり深田氏は番組の内容を創作して伝えており、実際には「給食に麻薬を混入」どころか薬物使用者の統計すら出てこなかった。

検証6. 兵器技術コンテストに出場

深田萌絵@Fukadamoe
ホンハイの中国法人富士康(フォックスコン)は、人民解放軍の兵器技術コンテストに出場してます。参加者の殆どが解放軍とホンハイです。そんな会社がシャープを買ったらどうなるのでしょうか?何故、朝日もNHKも報じないのでしょうか。

深田氏によるとこの画像は「富士康が人民解放軍の兵器技術コンテストに参加したこと」を示しているらしい。確かに画像には「富士康」の名前がある。またイベントの名称には「国防」という言葉が使われており、人民解放軍の工場からの参加者も散見される。そういった点だけを見ればそれらしく見えるのかもしれない。

だが、そういった言葉に惑わされずに記事の見出しをよく見れば、それが成都市主催の「成都百萬職工技能大賽」という職工技能競技大会で、競われたのが「維修電工」(maintenance electrician)の技術であったことが分かるはず。(深田氏の画像はおそらくこのページのスクリーンショットと思われる)

では「維修電工」とはどのような技術なのだろうか。調べてみると、電気設備や電気系統の配線、部品などの取り付け、デバッグ、メンテナンス、修理などを行う国家職業資格であるらしい。(日本の電気工事士のようなものだろうか?)

以下は参考情報として広汽本田汽車が運営を務めた維修電工の技能競技大会の様子。(会場となった「實訓基地」というのは学内や学外(企業内)に設置される実習・実験のための場所のことだそう)



成都百萬職工技能大賽に関しては、少し古い情報だが、2005年大会の結果発表のページを見ると、維修電工以外にも電子計算機の基礎知識からフラワーアレンジメントまで幅広い技能が競われているようである。兵器技術に該当するものは確認できない。ちなみに優秀団体のリストには「四川丰田汽车有限公司」(現・四川一汽トヨタ自動車)の名前も確認できる。

3. JSF事件へ

井上雅夫(IPCC報告書研究家)@co2tw
中国国籍があり、死んだ日本人の戸籍を乗っ取った“成りすまし日本人”が、民主党時代の今井雅人議員のサーバーを管理し、科学技術振興機構のデータベース構築までしていたというのだから、わが国の機密情報はどうなっているのだろう。
「日本のIT産業が中国に盗まれている」深田萌絵

三枝 玄太郎@SaigusaGentaro
深田萌絵さんの「日本のIT産業が中国に盗まれている」を読んでいる。経済に疎い僕が一番、「ゲッ」となったのは、鴻海の郭台銘会長が「竹聯幇」と義兄弟で、竹聯幇が沖縄独立を支援している、という74ページの下り。
深田萌絵@Fukadamoe
WiLL3月号で門田隆将先生に著書「日本のIT産業が中国に盗まれている」をご紹介して頂きました。
ありがとうございます!!

筆者は今のところ『日本のIT産業が中国に盗まれている』をはじめとする深田氏の著書や『月刊WiLL』などに目を通す機会を得られていないが、ネット上の断片的な情報から「深田氏が巻き込まれたというファーウェイ工作疑惑事件やシャープ買収騒動のことが多かれ少なかれ書かれているのだろう」と思われる。

作家の門田隆将氏の書評から、深田氏の著書の背景にあるのがF-35のチップにまつわる事件(JSF事件)、すなわち「RevatronのCTOはかつて台湾でスパイやマフィアから軍事技術を盗まれ、無実の罪で投獄され、FBIの保護を受けて米国に亡命した天才エンジニア」という物語だということも分かる。

JSF事件の概要については次のサマリーで改めて書くことにして、このまとめでは鴻海の郭台銘氏に関連する部分だけもう少し書いておくことにする。

3-1. ひまわり学生運動

以下は深田氏がブログで公開しているJSF事件の相関図。



深田氏によると、2005年ごろ、后健慈氏は台北市長の馬英九氏に無実の罪で投獄され、獄中で暗殺されそうになったところを国民党の重鎮で当時立法院長(国会の議長)だった王金平氏に救い出されたという。(印象としてはおそらく2013年に起きた馬英九総統と王金平立法院長の「九月政争」が下敷きになっているのではないかと思われる)

時は流れて2014年、台湾・中国間のサービス貿易協定の批准をめぐって台湾で学生運動が起きた。与党・国民党が内政委員会で審議終了・本会議送付を強行したことに対し、立法院前で批准に抗議していた約300人の学生たちが議場まで押し寄せて占拠。学生側は馬英九総統に「協定を撤回し、両岸協議監督条例(台中間の協議を監視する法律)を法制化してから再審議すること」を要求した。

立法院長の王金平氏は「学生の強制排除は行わない」と言明し、馬英九総統が呼びかけた行政院(内閣)と立法院の二院間協議も欠席した。馬英九総統は学生側に対話を提案したが、条件が折り合わず、膠着状態が続いた。総統府前では学生側の支持者が約11万人規模(警察発表)の集会を開いた。立法院前では「白狼」こと張安楽氏を総裁とする中華統一促進党の支持者などと衝突する一幕もあった。



3週間続いた立法院の占拠を終わらせたのは王金平氏の鶴の一声だった。王金平氏は立法院を訪れて「条例が法制化されるまでは協定の審議に入らない」と表明、学生に退去を呼びかけた。国民党幹部はそうした声明の内容はおろか声明を発表するということすら事前に知らされておらず、党内で波紋を呼んだが、いずれにせよ学生側は態度を軟化させ、退去を決定した。(参考:東京外国語大学の小笠原欣幸教授による解説

深田氏はブログでこの出来事のことを書いている。前年の九月政争がこのときに同時発生していたかのように書かれていたり、「李登輝総統が両岸協議監督条例を廃止した」、「7000人の特殊部隊が立法院を取り囲んだ」、「馬英九総統が学生たちを殺すよう命じた」など、深田氏の創作がふんだんに織り込まれている印象だが、王金平氏の対応について「本物の台湾人」と肯定的に評価していることが分かる。



深田氏が「オレンジのストールは神様の証だそうです」と提示したこのニュースは、実はひまわり学生運動について報じたもので、字幕をよく見ると「郭台銘出面協助 暗助王金平」(郭台銘氏が顔を出して協力、暗に王金平氏を助けた)とあることに気付くはず。これはどういうことだろうか。(ちなみに「發爐」というのは香炉の線香が突然燃え上がる現象で、神託とされることがある)

実は王金平氏が学生に対して退去を呼びかける数日前、郭台銘氏は国民党の2人の立法委員(議員)と野党・民進党の總召(院内総務)に「台湾の未来のために条例を立法してから再審議すべきだ」と話し、王金平氏に「両党とも調整できた。学生に返答してほしい」と電話していたという。さらに、王金平氏が郭台銘氏に馬英九総統へ学生の要求を伝えるよう頼んでいたことも明らかになっている

深田氏はなぜこの2人の関係に触れなかったのだろうか。

3-2. 総統選出馬

2019年、郭台銘氏は鴻海の董事長(会長)を辞任し、総統選の公認候補者を決める国民党の予備選に立候補した。深田氏は「關公はカルト宗教」、「暴力団首領と義兄弟」などと言っているが、后健慈氏を獄中から救い出したという王金平氏はこの頃に郭台銘氏を実家に招き、2人で《關公兄弟好時光》というライブ配信をしていた。





予備選であえなく落選した郭台銘氏は、「総統選に向けて党内団結を」という党の呼びかけに応じず、無所属からの立候補を模索し始めた。このとき民衆党の主席で台北市長の柯文哲氏と王金平氏が郭台銘氏を推す動きを見せており、その協力関係が長らく注目されていた。

最終的に郭台銘氏は国民党を離党したものの総統選には出馬せず、同日実施の立法委員選挙で自身の腹心を民衆党と親民党の比例代表から立候補させるにとどまったが、王金平氏はその後のインタビューで今後も協力体制を継続するかを問われた際、「彼が選挙に出るなら私が支持し、私が出るなら彼が支持すると約束してある」と回答している。

深田氏は后健慈氏の命の恩人であるらしい王金平氏のこうした動向について一切取り上げていない。おそらくこういったことも「無実の罪で投獄され、暗殺されそうになったところを救い出されてFBIに保護された」という話の信憑性に疑念を抱かせる要因の1つになっているように思うが、WAC・WiLLの編集者は気にならないのだろうか。
【参考】 深田萌絵の作成する相関図の検証したらトンデモ相関図だった件。

4. JSF事件

⇒ 第2編につづく

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